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2010年10月

2010年10月27日 (水)

国債発行をためらうな

 平成22年度の補正予算が4.8兆円規模で閣議決定された。今回の補正予算は新規の国債発行を伴わないのがウリのようで、財政健全化責任法案などという時代錯誤な法案を国会提出しようとする自公両党への配慮もあるとされている。

 国債の新規発行といえば、すぐにハイパーインフレになるだの、国債が暴落して金利が高騰して利払い負担が大幅に増えるだの、国債を大量に保有する金融機関に多大な含み損が発生するなどと寝ぼけた意見を吐く輩が現れる。

 ハイパーインフレや過度なインフレ発生については、デフレ下で大量のモノ余りに見舞われている現状を無視した教条的で幼稚な意見としか言いようがない。

 金利高騰に伴う財政負担云々についても、今後発行する新発債の金利こそ多少上がるだろうが900~1,000兆ともされる既発債の殆どは当然固定金利での発行であり、市場金利の動向に左右されるはずがない。金利上昇の影響が出るのは、あくまでこれから発行する国債のみである。巷でよく言われるように、金利が1%上がると国債の利払い負担が9兆円も増えるなどと言うのは小学生並みの知識レベルで、経済評論などする資格はない。

 国債価格の下落による金融機関の保有資産の変動についても、データは古いが、日銀や各政府系金融機関のディスクロージャー資料(平成20年度)によると、ゆうちょ銀行を除く国内金融機関(銀行、信金、商工中金、農林中金、農協、漁協)の資産内訳をみると、それらの国債保有額は合計118兆円に上る。一方で、貸出金は合計543兆円、株式等の有価証券は101兆円でその合計は644兆円になる。

 一般的に、金利が上昇するということは、資金への需要が高まり景気回復局面にあるということになる。また、金利が上昇すれば多くが変動金利制である貸出金の利率も上昇するはずで、当然金融機関の収益はUPする。国債保有高118兆円に対して金利上昇で金融機関の収益性向上に寄与すると思われる貸出金や株式等は644兆円と5.4倍にも上る。このことから、金利の上昇で多少の国債保有に対する評価損が出たとしても、その5倍以上の保有資産の収益が上昇するのだから、収益性が好転するであろうことは明らかだ。また、国債は最良の安全資産でもあり、満期保有すれば資産を棄損することはない。

 財政支出や国債発行すること自体を忌み嫌うあまりに、こういうバカげた“都市伝説”が罷りとおっているのは嘆かわしいことだ。

2010年10月12日 (火)

「日本病」? 罹ってます

 リーマンショックやギリシャの財政危機問題から端を発したアメリカやユーロ諸国の財政問題に絡めて、彼らがバブル崩壊後長引く不況に苦しむ日本と同様に“日本型デフレ”や“日本病”に陥る可能性について言及されることが多くなった。

 同じ先進国とはいえ、彼らと日本とではGDPの構成比た国内産業の集積構造、失業率や雇用に対する考え方、貯蓄や消費に対する概念など種々の点において大きくことなっており、デフレという大きな共通課題を前にしても、必ずしも同じような処方箋がベストな選択になるとは限らない。

 ただ、一つ言えるのは、バブル崩壊もしくは経済情勢の悪化という課題に直面した後の彼ら(政府や国民)の反応が、日本のそれとよく似ているということだ。

 例えば、イギリスのオズボーン財務相は、積み上がった政府債務に委縮して、付加価値税率の大幅な引上げ(17.5%→20%)や一部を除く政府予算の大幅な削減(5年間で25%減)を打ち出しており、ギリシャやスペインでも同じような理由で、現政権から緊縮政策が提案され国民の強い反発を受けている。また、アメリカでも州によっては大幅な予算削減を余儀なくされ、州職員や教育関係の職員の待遇切り下げや解雇のみならず、囚人の早期釈放や道路の舗装をはがして砂利道へ戻すなど呆れた政策が現実に行われている。

 また、景気後退への対策も金融政策(低金利+金融緩和)や為替切り下げよる輸出振興に頼り切りで、財政支出を極端に忌避しようとしている。国民も消費(浪費も含めて)そのものに忌避感や罪悪感に近いものを抱き、いまさらのように政府の債務残高を咎め、財政支出自体を蔑視するような意見が大勢を占めつつあるようだ。

 彼らは、過去20年間で日本が経験してきた誤ったレールの上を辿ろうとしている。1997年をピークに名目GDPが殆ど成長してない日本の失敗事例を研究する機会は多々あったにもかかわらず、見事に同じような失敗を切り返そうとしている。まさに、彼らは「日本病」に罹っている。

 このまま行けば、間違いなく欧米諸国はデフレ経済に直面(既にデフレ下にあると思うが)し、国内の雇用減少→消費や名目GDPの低下→貯蓄率の上昇・設備投資減少→企業の海外移転という悪循環に陥ることになる。それは、日本やドイツ、中国、韓国など主に先進諸国への輸出に活路を見出そうとする国々にとって大きな市場の縮小となる。隆盛が期待される新興諸国とて、主要な輸出先の欧米諸国の需要が低迷すれば、経済の失速は免れない。場合によっては世界恐慌につながりかねない憂慮すべき事態にあるといえる。

 バブルの崩壊→消費や浪費への罪悪感→無駄遣いと財政支出の必要性の取り違え→緊縮財政実行→企業活動や消費の低迷→経済情勢の悪化→金融政策や通貨切り下げによる外需振興→国内経済の悪化→緩和した資金の行き場の集中によるバブル発生という日本では飽きるほど論議し尽くされた典型的な日本型デフレに陥らないためにも、いまこそ財政政策の必要性に目を向けるべきだ。それも単発のものではなく、国民や企業が長期的に収益機会を期待しうるような規模になるよう長期かつ大規模な水準が必要で、民主党が緊急経済対策として示した5兆円程度ではなく、デフレギャップを埋めて年に3-6%程度(当初の数年は高い水準でよい)の名目GDP成長が達成できるような規模(20-30兆円)にすることが肝心だ。金融政策が支持され、日銀がいやいやながらも事実上のインフレターゲットを容認している今なら、インフレを適正水準に抑えた財政政策が可能だろう。

 国民も個人レベルの家計のやりくりと政府の経済運営を同一視したり、中途半端な倫理観を盾にして財政支出を批判すべきではない。家計も企業も海外もカネを出せない中で、唯一実体経済にカネを供給できるのは政府しかいないのだから。

(追記)

 衆議院議員北海道5区の補欠選挙が今日公示された。相変わらずマスコミは、政治とカネの問題が最大の争点だなどとアホなコメントを垂れ流しているが、当該選挙区の有権者への選挙の争点に関する電話調査では、年金や医療、景気回復など生活に直結する問題が、軒並み50%以上の回答を得た(複数回答)のに対して、クリーンな政治との回答は20%に過ぎなかったそうだ。これだけ不況が長引いているのだから当然なのだが、それを認めたくないマスコミの連中は、無理やり選挙の争点をずらそうとしているようだ。構造改革派の政治家や経済学者、エコノミストなど未だに目の覚めてない連中は多くいるが、不況の元凶はまさにアホなマスコミだろう。

 

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