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2011年1月

2011年1月25日 (火)

資源のある国

「日本は資源がない国」というフレーズは、「日本は貿易立国」とか「日本は技術立国」などと同じくらい頻繁に使われ、もはや国民的な常識といってもよいだろう。

ここでいう“資源”とは、いわゆる鉱物資源(原油、鉄鉱石、レアメタル、金などの貴金属等)や農水産物(小麦、大豆、トウモロコシ、魚類等)のことを指しているというのが一般的で、日本の場合、原油や鉄鉱石などはほぼ100%輸入しているし、農産物の輸入依存度なら小麦89%、大豆94%、家畜用飼料75%、砂糖67%、牛肉57%、油脂類86%といったところ(農林水産省資料、H21品目別食料自給率)で、メジャーな鉱物資源や食糧を輸入に頼っている印象が強い。

一方で、食料に限っては、米は自給率100%、同じくイモ類78%、野菜83%、みかん101%、豚肉55%、鶏肉70%、卵96%、牛乳71%、魚62%、きのこ87%など大概の食品は結構高い自給率を保っているし、主食用穀物の自給率は58%、生産額ベースの総合食料自給率は70%とバランスのとれた状況にあり、閉鎖的だとか生産性が低いとか何かと批判される日本の農業の底力を感じる結果となっている。(農林水産省資料、H21品目別食料自給率)

ちなみに、各国の自給率や輸入依存度は次のとおり。

【エネルギー輸入依存度(原子力含む)2005年電気事業連合会資料】

                                     
 

日本

 
 

81%

 
 

イギリス

 
 

13%

 
 

イタリア

 
 

85%

 
 

中国

 
 

5%

 
 

ドイツ

 
 

61%

 
 

カナダ

 
 

48%

 
 

フランス

 
 

50%

 
 

ロシア

 
 

83%

 
 

アメリカ

 
 

30%

 
 

カナダ・ロシアは純輸出国

 

*中国は2009年の原油自給率が50%を割り込み、2020年には35-40%になるとの報告もある。

 

【食料自給率(カロリーベース)2007年農林水産省資料】

                                       
 

日本

 
 

40%

 
 

イギリス

 
 

65%

 
 

イタリア

 
 

63%

 
 

スペイン

 
 

82%

 
 

ドイツ

 
 

80%

 
 

韓国

 
 

44%

 
 

フランス

 
 

111%

 
 

オーストラリア

 
 

173%

 
 

アメリカ

 
 

124%

 
 

カナダ

 
 

168%

 

 

当たり前のことだが、原油であれ鉄鉱石であれ、はたまた小麦であれ、原材料単体では何の役にも立たない。原油から石油や関連製品、鉄鉱石から鉄鋼素材、小麦からパンへと製品化して付加価値を高めるには、技術と設備、資金、販路、人材などなど多くの“資源”を別に投入する必要がある。だからこそ、有り余るほど原油が湧き出るイラクやイランでガソリンが不足で行列ができたり、天然ガスの世界最大の産出国であるロシアで凍える人が出たりといったおかしな事態が発生する。

世界には、①資源も技術もない国 ②資源はない(乏しい)が技術はある国 ③資源も技術もある(100%ではないが)国 ④資源しかない国(技術なし)4パターンがあり、日本は間違いなく②のパターンに該当する。だが、それは、知ったかぶりの評論家やマスコミが卑下するほど深刻なものではなく、いわゆる先進国とされる国は大抵このカテゴリーに入る。フランスのように食料自給率は100%を超えてもエネルギー自給率が50%しかなければ、(実際にはほとんど起こり得ないが)いざ、エネルギー有事となった場合の深刻さは、さほど日本と変わらないだろう。いまさら焚火をしてパンを焼くわけにはいかないからだ。

エネルギーや食糧の純輸出国の事情も同じで、純輸出国と言えば聞こえはいいが、過剰なエネルギーや食糧は単に在庫を持て余しているのと同じことで、何とか販路を開拓するのに四苦八苦することになる。おまけに、天然ガスとか小麦などの原料系品目は、付加価値を付与するのが難しい品目でもあり、いきおい原料供給基地的な位置づけに甘んじることになる。北海道のたらこが、福岡で明太子に加工され(最近は北海道産以外の原料も多いと聞く)、付加価値が福岡に持っていかれていると揶揄されるのと同じことだ。(明太子の売れ行きも近頃は芳しくないとのこと)

世界には、資源も技術もない国や資源しかない国(=資源を売るしか生計を立てる術がない国)が掃いて捨てるほどある。ましてや、日本は、工業製品でも食品加工分野においても世界を大きくリードする高度な生産加工技術を有しており、資源に乏しいからと悲観する必要などない。低次元の資源を加工して付加価値の高い製品に仕上げる技術や設備、販路や人材など、もうひとつの大切な“技術”を持っているのだから。

冒頭の「日本は資源がない国」というフレーズは、最近では、海外から労働者を受け入れろだとか、平成の開国をしろなどといった寝言を正当化しようとする時や中国との付き合いを強要しようとする時によく使われるのでご注意願いたい。

2011年1月19日 (水)

詐欺師は危機感を煽りたがる

 インチキな投資話や詐欺事件が相変わらず続いている。
 先日も、福岡県の投資コンサルタント会社「夢大陸」の幹部が、フランス国債など外国債券へのニセの投資話で、全国400人余りから総額67億円もの資金を騙し取ったとして逮捕された。   
 記憶に新しいものでも、H21のL&Gによる円天詐欺事件(被害者約4万人、被害総額約1,285億円)、H20のふるさと牧場による和牛商法詐欺事件((被害者約1.4万人、被害総額約387億円)、同じくワールドオーシャンファームによるフィリピンでのエビ養殖詐欺事件(被害者約3.5万人、被害総額約849億円)のほか、平成電電、大和都市管財、近未来通信、全国八葉物流などなど枚挙に暇がない。警視庁の資料によると、H21年中に摘発された嘘の投資話(詐欺)に騙された被害者は5.4万人、被害総額は約1,654億円に上る(被害者数は振り込め詐欺の7.5倍、被害総額は17.2倍)というのだから驚く。   
 無論、憎むべきは詐欺を引き起こした犯罪者達であり、被害者を責めるのは酷というもの。(犯罪者たちは、出所後に密かに使うべく集めた金を既に秘匿しているのか、その多くは逃げもせず、逮捕されても飄々としている。) 犯罪者達が逮捕されると、販促時のセミナーの様子や勧誘のパンフレットなどがTVで紹介される。そこに映る詐欺の張本人は、大抵、金縁の眼鏡や派手なスーツに趣味の悪いネクタイや指輪を身に付けて見るからに怪しい恰好をしてるし、組織の名前にも“夢”とか“ワールド・コスモ・未来・グローバル”とか、軽薄そうな文字を使っている。なのに、小金を持った良識ある(と思われても仕方のない年代の)人々が、なぜかコロリと騙されてしまうのは不思議でしょうがない。   
 以前、金融機関の不良債権処理問題が一段落していた頃の話だが、筆者の取引先(年配の男性)が、“銀行は俺たちを騙そうとしている、銀行なんて信用できない”と息巻いて、怪しげな“○○管財”なる名称の企業が販売する抵当証券を数百万円単位で購入していた。件の顧客に、いくら預金保険の話を説明しても一向に聞く耳を持たず、とにかく銀行は信用できない(信用したくない)の一点張りであったが、今頃どうしているだろうか。   
 “1年間で投資が倍になります”とか“今なら金利が15%つきます”とかいった現実離れした嘘に、用心深い彼ら(投資詐欺事件の被害者)が簡単に騙されてしまうのはなぜなのか。恐らく、彼らの中に「自分は世間並み以上の資金を保有しており、運用の果実(利得)を得るに値する人間だ」という気持ちがあり、「そんな自分がお金を預けさえすれば、勝手に誰かが増やしてくれるのは当然のこと」などと思い込んでいるからだろう。   
 少し考えればわかることだが、年利○%のリターンがあるということは、少なくとも元金+そのリターン分を支払う“誰か”が存在して初めて成り立つ話だ。例えば、年利20%の配当を謳う投資話があるなら、投資家から集められた資金を原資にして様々な事業や投資が行われ、少なくとも1年間で元金に金利分20%(+事務経費)をONした以上の収益を上げなくてはならないが、日本だけでなく世界中でモノが売れずに困っている世の中でそんな上手い話があるわけない。こんなことは一般の社会人なら常識のレベルだろう。普通にTVや新聞を眺めていれば、長引くデフレ不況により名だたる大手企業でさえ売り上げ確保に四苦八苦しているのを知らないはずがないと思うのだが、海外銘柄なら大丈夫とか新規に株式公開するあの会社なら大丈夫といった幼稚な嘘話を根拠もなく信じ切ってしまうのが実情だ。   
 詐欺の勧誘ツールによく使われる“業界注目の○○技術”とか“特許取得済み”といった類のレベルの話なら、実際には業界内に腐るほど転がっている程度の話で、決して大化けするようなシロモノではない。よく、個人で株の売買を始める人が、株は経済の勉強になる(大抵は株をやるための言いわけ)と得意げに言っているが、会社四季報やネットの情報を収集する程度のことは“勉強”したうちに入らない。(日経ビジネスやダイヤモンドなどを読んで業界通気取りになっている人は要注意)   
 「誰かの収益は、他の誰かからの支払いによって生まれる」という当たり前の理屈や実体経済の仕組みを理解していない(しようとしない)から、子供だましの詐欺話に騙される人が後を絶たないのだろう。本当に安全性の高い投資(運用)で儲けたいと思うなら、かつての高度成長期やバブル期のような内需主導型の経済成長を実現させて資金需要を高めたうえで、預金など安全な金融商品の金利が上がるような経済環境を創るほかない。   
 冒頭の夢大陸は、「日本経済は破綻する」などと投資家の不安を煽っておいて金集めをしていたようだ。被害者も、日本が破綻すると煽っておきながら“日本円”を必死に集めようとする連中を見て怪しいと思わなかったのだろうか? 年がら年中マスコミやインチキな評論家に、さんざん日本破綻論を吹き込まれているから、意外にあっさりとこんな嘘話を信じる人も多いのだろう。   
 実際にそんなことはあり得ないのに、“○○しなければ悪いことが起きる”的な脅し文句に日本人は弱い。弱いからこそインチキな投資話や怪しげな新興宗教に騙される。
  「構造改革しなければ…」、「グローバル化しなければ…」、「規制緩和しなければ…」、「プライマリーバランスを黒字化しなければ…」といったお約束の脅し文句に加えて、最近は「TPPを締結しなければ、グローバル化のバスに乗り遅れる」や「増税しなければ、社会保障が維持できなくなる」といった新種の呪文が跋扈している。 当然のことながら、構造改革や規制緩和をしたって、売上や賃金などフリーに使えるカネ、いわば需要に回せる資金の絶対額が増えなければ内需の回復、ひいては経済成長などありえない。先の投資話のところで述べたように、投資が成立するには、リターン分の資金を提供する者の存在が絶対に必要なのだが、構造改革・規制緩和絶対教の信者には、その視点が欠落している。需要という“経済成長の根拠”を無視して、供給力を高めるためのアクションを起こせばよい結果が生まれると妄信している。供給に対する需要がなければ経済成長など成立しえないが、彼らは、国内需要の創出はそっちのけで、大した期待もできない海外需要が無限にあることを信じ込み、供給力を高めることばかりを唱えている。   
 バブル崩壊後の20年間、国民はこの手の詐欺話に騙されてきたが、いまだに圧倒的多数の人が、不況の原因は官僚の無駄遣いにあるなどといった類のおとぎ話を信じ込んでおり、勉強不足も甚だしい。   
 これら構造改革教の信者による詐欺の被害額(実現できなかった名目GDPの総額)は年間数百兆円にも上り、詐欺の被害額などとは比べ物にならない。

2011年1月 5日 (水)

経済問題には妄言がつきもの

 TVや新聞、雑誌などのマスメディアには、経済問題、特に日本経済に関する妄言が溢れ返っている。
 そのひとつが、“日本(人)は●●だから、財政支出をしても消費は回復しない”というもの。この「●●」には、少子高齢化、社会保障に対する不安感、政権が不安定、財政の悪化、日銀のB/Sの悪化…などといったお馴染みのキーワードが、ケースに応じて埋め込まれる。
 中でもよく使われる(日経やその周辺メディアによく登場する)のが、“消費者が本当に欲しいと思わせるような商品がない”という文句だろう。この時にお約束で引き合いに出されるのが、iPadやiPhone(ひと昔前ならiPod、さらに前ならiMac)で、その洗練されたデザインや発想の柔軟さを褒めたたえる一方で日本製品をこき下ろすのが常だ。比較的社会的な地位の高い人物や著名な人物が好んで使う言葉でもあるせいか、普通の人はコロッと騙されてしまうが、彼らがいつも引き合いに出すネタはアップルの製品ばかりだ。(バカのひとつ覚えとはこのことだ)
 皆、我が身を振り返れば簡単に判ることだが、日常お金を使うシーンで、本当に欲しいと思うかどうかなんて真剣に考えている訳がない。何かものを買おうとする際に、じっくり時間をかけて商品を比較検討するのは、住宅、車、家電などの耐久財や宝飾品、PC、スポーツ用品などの高額商品を買う時に限られる。それらは日常的に消費されるものではなく、購入機会も数年に一度というケースがほとんどだろう。ちなみに総務省の家計調査によるとこういった耐久財購入の家計消費全体に占める割合は全国平均で年間6%程度とのことで、本当に欲しいかどうかなんて時間をかけて選ぶものは消費全体のごく一部に過ぎないのが現実だ。
 消費の大半を占める日常の買い物、例えば、スーパーで夕食のおかずを買う時に、売り場の卵やキャベツを手にとって、いちいち本当に欲しいものか、自分にとって価値あるものか…なんて悩むバカがいるだろうか。せいぜい隣のスーパーのチラシとにらめっこして価格を比べるくらいのものだ。消費支出の大半を占める日常の消費行動の判断基準は、ほぼ条件反射的なもので、本当にいいものかどうかなんて考えていたら今日の晩飯は抜きになる。
 ましてや、今年も国債残高が増えたから、日銀のバランスシートが悪化したから、政府がだらしないからなどといった理由で支出を切り詰めようとする変わった人などいないだろう。「今年も国債の発行額が増えて、累計で●兆円になるのか。よし、俺も今日から昼飯代を50円削るぞっ」なんて張り切っている人がいるなら、よほどのアホだ。支出の動機なんて単純なもので、いちいち国家財政や国際的な経済情勢を睨んで…なんて高尚なことを考えて支出している人など現実にはいない。
 消費が所得の内数である以上、当たり前のことだが、消費(支出)を増やすかどうかは、現に収入が増えるか、将来的に増える見通しがあるかどうかにかかっている。人々がモノを買うのは、それが本当にいいモノかどうかなんて関係ない、財布の中に十分におカネが入っていれば、この先も消費は十分に伸ばせる。GDPの根幹を成す個人消費が伸びないのは単純に給与所得の減少(雇用機会の喪失)によるものだ。国税庁の資料によると、H21年の平均給与は4,059千円でH11年(10年前)の4,613千円と比較して12%も減少している。これでは消費が伸びるわけがない。この本質を切り込まない限り消費の回復、ひいてはGDP(名目)の成長などありえない。世の中にはモノが売れないと悩む経営者は多いが、消費者(需要サイド)の財布が膨らまない限りその悩みが解決することはない。
 “●●だから消費の伸びは期待できない”というのは財政破綻論の妄信者か日本が成長しては困る特殊な人々の安っぽい屁理屈にすぎない。“法人税減税(企業の国際競争力を上げろ)+消費税増税(国民は政府に甘えるな、我慢しろ)”が彼らの常套句だが、実社会での勉強が足りないせいか、視野が狭く、社会常識に欠け、世の中の仕組みが理解できないような連中が政治・経済や言論界をリードしている現状に強い危惧を覚える。

 ※このほかにも“●●は日本の国際公約”(大抵、●●には、日本の経済成長を阻害する文句がはめ込まれる)なる言い回しも妄言のひとつと言えるが、これについては後日改めて採りあげたい。

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