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2013年3月

2013年3月18日 (月)

イコールフッティング

『安倍首相は、自民党の全国幹事長会議であいさつし、TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を表明したことについて、「判断は間違っていなかったと思ってもらえる交渉を展開していく」と述べ、理解を求めた。安倍首相は「TPPについて、『あの時、参加した判断は間違っていなかった』、多くの方々にそう思っていただけるような交渉を展開をしてまいります。どうか、私を信頼をしていただきたい」と述べ、TPPへの交渉参加表明に理解を求めると同時に、「アジア太平洋地域の大きな経済圏で、日本も主導的な役割を担うルール作りを行っていくという判断をした」と強調した。』(FNNニュースより)

 

315日に行われた安倍首相によるTPP交渉参加表明会見に、がっかりさせられた方も多いだろう。

交渉参加を匂わす事前のマスコミ報道もあり、ある程度予想はされていた。しかし、実際に首相の口から、小泉・竹中時代を彷彿とさせられる構造改革チックなセリフを聞かされ、日本経済の行方を暗澹たる思いで見つめている方も多いと思う。

 

TPP参加による具体的なメリットや国益を説明することなく、「私を信頼してほしい」という安っぽいセリフしか吐けないのは、例の『トラスト・ミー』と重なり、なにか不吉な予感を禁じえない。

 

この交渉参加表明を受けて、早速マスコミ各社の世論調査結果が発表された。

各社とも、おおむね交渉参加を評価するという回答が6~7割を占めているが、この数字はあまりにも極端に過ぎるだろう。どこかのTV局の調査では、TPP交渉参加に賛成32%、反対19%、わからない43%、その他6%という結果であったが、この辺りが現実の数値に近いと思う。

 

TV報道の影響もあってか、“TPPなんて所詮は農業や医療と自動車の問題だろ、農家や医者なんていままでさんざんいい思いをしてきたんだから、ちょっと痛い目を見ればいいんだ”程度の軽いノリでTPP問題を捉えている国民がほとんどだろう。

だが、日本にとってTPP問題の危機の本質は、金融・保険・投資・労働の4点だと思う。

危機の本丸は、農業や医療ではなく、サービス業とそこに従事する労働者の雇用問題にある。TPPが本格稼働すれば、最も打撃を受けるのは、金融・流通・資格サービスなどの分野だろうし、サービス業全般において、日本の労働者は、海外(TPP加盟予定国のうちベトナムなどの人件費の安い国)の低賃金労働者との無益で勝ち目のない戦いを強いられることだろう。

そこで起こるのは、雇用の流動化や給与所得の漸減など雇用の質・量の劣化であり、このことが内需の縮減やデフレの深刻化をもたらすだろう。

 

いずれにしても、現時点ではTPP参加賛成という意見が反対を上回っていることは事実だ。国民の多くは、相変わらず貿易立国論や日本衰退宿命論を信仰しており、構造改革や郵政民営化と同じ手口でまたもや騙されようとしている。

彼らは、人口が減る日本の内需はボロボロで縮小するだけだとか、海外に打って出るしかないとかいった極めて絶望的かつ消極的な前提条件から物事を判断しようとする。

また、常に未来に対して悲観的で、日本はこれ以上経済成長できないという強迫観念に支配されているせいか、財政政策のような良薬の効き目を疑い、自らに厄災や試練をもたらすバカげた政策に大枚をはたこうとするから手に負えない。

 

TPP賛成派による“TPPは中国包囲網だ”という幻想にもうんざりさせられる。

TPP=日米同盟の強化だと強弁するのは、TPPが日本にとってデメリットしかない事実を糊塗するものだ。日米同盟を安全保障面から強化したいのなら、TPPなどという面倒くさくて廻りくどい体裁をとる必要はない。2国間の同盟関係を確認するために、何年も掛けて11か国もの多国間貿易協定の枠組みを設ける手間を掛けることもない。

ストレートに思いやり予算を増額するなり、アメリカから防衛装備を余分に買い増ししてやればよいだけだろう。

中国との緊張が高まっている中で、日米の貿易量を増やすことに何の意味があるのか。日本の簡保市場をアメリカに差し出せば、中国が尖閣諸島を諦めるとでも言うつもりか。

アメリカから空母を1隻でも買ってやる方が、対中抑止効果としてはるかに効果的だろう。

TPPはアメリカの国際金融資本の算盤勘定から生じた純粋な経済問題であり、対中の軍事的プレゼンス云々とは別問題だ。

 

また、自民党が定めたTPP交渉6ヶ条(①農林水産品における関税 ②自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等 ③国民皆保険、公的薬価制度 ④食の安全安心の基準 ⑤ISD条項 ⑥政府調達・金融サービス業)を死守できる“強力な交渉力”に期待する向きもあるようだが、そもそも交渉をすること自体が無駄なことだと考える。

自民党が掲げる6ヶ条は、TPP交渉入りを拒否するための地雷としては非常に優れた内容だが、TPPというバカげた問題さえなければ、いずれもいまの日本で国民や企業が当たり前に享受できているものばかりだ。

交渉に参加するということは、こういった当然の権利を一旦放棄する状態になり、日本市場を食いものにしようとするアメリカ相手に、ベストシナリオに近い交渉力を発揮してようやく、手放しかけた権利を取り戻すことができる、ということなのだ。

これは極めてバカバカしいことだ。

元々持っていたものを一旦手放し、多大な労力と資力を投じてそれを取り戻そうとするなんて、暇人か馬鹿のすることだろう。

国論を二分して農協や医師会の悪口を散々言いはなった挙句に、得られる果実は最大でも現状以下という空しい交渉を本気でやるつもりなのだろうか。

 

そろそろ、TPP問題のように外国から持ち込まれた厄介な制度や仕組みに我が国が翻弄されるパターンを終わらせる必要がある。

日本の喫緊の課題は経済と東北の復興であり、アメリカのメンツを立てるためにご機嫌を取るような暇はないのだ。

これまでのように、欧米が決めたルールや制度に我が身を合わせるのではなく、日本が率先してルールや制度を創り出し、諸外国を従わせるべきだ。

ISOHACCP、モンドセレクション、ノーベル賞、オリンピック、ワールカップ、PISSAなど欧米発祥の、もしくは欧米が仕掛けた資格や制度、イベントに喜んで乗っかるのではなく、日本がルールや仕組みを作る側に廻ることが重要だ。

法律や基準に従う側ではなく、それを決める側に立つことで自国を主語とする政策運営が可能となる。

 

前回のエントリーで紹介した産業競争力会議の世間知らずどもがよく口にする“イコールフッティング(商品・サービスの販売で、双方が対等の立場で競争が行えるように、基盤・条件を同一 にすること)”に倣い、労働賃金を生産あるいはサービス提供国の基準に統一するというルールを作ってはどうか。

人件費の安い外国人であっても日本で働くのなら、日本人の基準値に合わせた給与を支払う、逆に外国で働く日本人であれば、当該国の労働賃金水準に合わせる(日本と労働地における賃金差を補てんすることを許可しない)というルールを作り、先進諸国の雇用の質を維持することを提案したい。

これにより、海外から低賃金労働者の流入を防ぐことができ、発展途上国への野放図な生産拠点流出をある程度抑制することができる。

 

わがままな経営者の妄想に付き合い、バカみたいに人件費の安い途上国の労働者と競争を強いられる必要などない。

安い労働力を使いたければ、会社ごとその国に身柄を移せばよいのだ。

 

日本の先進的な社会インフラにタダ乗りし、国内の雇用や内需への貢献を拒否しようとする無駄飯喰らいや寄生虫は我が国に不要である。

2013年3月14日 (木)

日本にしか居場所のない自称グローバリストたち

政府の日本経済再生本部の下に、民間投資を喚起する成長戦略の具現化と推進を図るための機関として「産業競争力会議」が設置されている。

以前のエントリーでも触れたとおり、産業競争力会議は、功成り名を遂げた(と自負する)新自由主義者や構造改革主義者の巣窟である。

彼らは、自分ではできもしないし、やりもしないのに、“改革、イノベーション、貿易立国、産業投資立国、グローバル、外国人、戦略、規制緩和、競争”といった安っぽい言葉を連発する。

おまけに、「規制緩和で農業・医療・エネルギー産業を成長分野に」、「アジアの内需を取り込め」、「グローバル競争だ、中小企業や農業(ついでに若者も)は海外へ打って出ろ」、「産業の新陳代謝を促進しろ」と勇ましいスローガンを並べ立て、日経新聞を使った布教活動に余念がない。この手の新自由主義まるだしのスローガンは、日本をデフレに陥れた構造改革教の経文そのもので、もはや周回遅れも甚だしいのだが、世の経営者やサラリーマンの大半は、いまだにこんな古臭い経文に囚われ、日本悲観論にどっぷりと嵌まり込んでいる。

 

これまで、産業競争力会議は3回開催(1回当たり1-1.5時間くらい)され、内閣府のHPで議事録も公開されている。

議事録に目を通すと、競争とかイノベーション、戦略などといった薄っぺらい言葉が随所にちりばめられ、細部に目を通さずとも彼らの言いことなどすぐに判る。

有り体にいえば、「俺たちが羽を伸ばせるように規制や規則を取り払え、労働コストや税金も安くしろ、そのために国や国民(労働者)が犠牲になろうと知ったことかっ!」といった程度のもので、こんなたわごとを仰々しく世に公言するために、わざわざ雁首を並べる必要などない。

議事録を読み進めるにつれて目眩が酷くなるばかりで、彼らの口から吐き出された主張の中で頷けるのは、せいぜい原発の再稼働くらいだ。

 

会議に参加する民間議員の中でとりわけレベルが低いのは、“TPP参加はマスト”と主張するネット企業の経営者だ。

彼は、「スティーブ・ジョブスやカルロス・ゴーンを見習い優秀な経営者を生み出せ」、「欧米型のコーポレートガバナンスを導入しろ」、「規制改革がとにかく重要」、「法人税を欧米並みに下げろ」、「英語教育を強化しろ」などとグダグダと持論を展開しているようだが、いずれも十年前の日経ビジネスや週刊ダイヤモンド等の三流雑誌で書き散らかされた記事の内容そのもので、まるで成長の跡が見受けられない。

いまだに、欧米型のガバナンスとか、規制緩和で世の中が良くなるなんて本気で信じているのだろうか。

 

既にアップルはスマートフォンやタブレット端末市場でアンドロイド勢にシェアを奪われ、ゴーンが立て直したとされる日産も長らくヒット車に恵まれず、コストカット頼みの経営を余儀なくされている。

欧米流のコーポレートガバナンス(カンパニー制度や事業採算制度)を導入した企業では、部署間・事業間の連携の希薄化を招き、商品開発力や収益力を大きく低下させた例も多い。

また、投資家に対する四半期ごとの決算や経営戦略の説明など、収益に直結しない事務管理作業に人的リソースを割かれ、成長戦略の実行が後回しにされている。

法人税に至っては、ピーク時の43.3%から25.5%(基本税率、財務省資料)にまで引き下げられているのに、更なる引き下げを要求するという強欲ぶりだ。しかも、法人税収は平成元年のピーク時に19兆円あったものが、平成23年には7.8兆円と6割近く減少している。7.8兆円という額は、平成22年の国内法人の営業収入額1,353兆円と比較して、たったの0.57%に過ぎないのだが、これでさえ負担が重すぎるというのか。

英語教育の強化とか英語の社内公用語化といった類の話には、コメントする気すら起きない。法人税云々と同じく、日本に満足できないのなら、法人税が極端に安い国や英語を話せる人材が豊富にいる国に自分の会社を移せばよいだけの話だ。

無理をして不便な日本にしがみつく必要などないはずだ。税金が高過ぎるとか、日本人の英語力が低すぎるとグチる暇があれば、自らが率先して大好きなグローバル展開をやってみろ、と言いたい。

 

また、件の民間議員(原発の再稼働に反対する変わり者)は、“イノベーションはベンチャーから起こってくる”、“日本は、なかなか廃業する者がいないから開業率が上がらない、開業率も廃業率も10%を目指すべき”、“外国人技術者を積極的に輸入しろ”と主張し、別の民間議員からも“日本をアジアで最も起業しやすい国にする”ための特区を設けるべきとの提案があった。

現状、日本国内の開廃業率は4-5%だが、これをアメリカ並みに10%にしたいということだろう。

日本の開業率が低いという指摘は以前からあった。しかし、高度成長期を経た1969~1972年代のピーク時でも開業率は7%(総務省資料)に過ぎず、10%などという水準は現実的ではない。開業率の上昇は、市場に参入するプレーヤーの増加やそれに伴う競争の激化を意味するもので、デフレに悩む日本経済にとって迷惑でしかない。

開業率が低調なのは、いまに始まったことではないし、そもそもデフレ経済下で商機の少ない時期にわざわざ開業するバカが少ないのは当たり前のことだ。どうしても開業率を上げたければ、デフレを脱却して経済成長させるしか手はない。

いまだに日本は規制があって起業しにくいと思っている素人がいるようだが、世間知らずもいい加減にしろと言いたい。平成15年に施行された中小企業挑戦支援法により、既に資本金1円で起業できる仕組みになっており、起業後の資金調達や事業化が上手くいくかは別として、起業するだけなら、その辺のオバサンでもできる。

これ以上起業しやすい国がアジアにあるのだろうか。

 

開業率云々はともかく、廃業する者を増やそうという主張に至っては、頭のおかしなバカだとしか言いようがない。

彼らは、廃業という言葉の裏にある倒産とか失業という厳しい現実を理解していない。

ひとたび勤務先が倒産すれば一寸先は闇だ。毎日何気なく読んでいた新聞記事や通勤電車で一緒になる乗客が突然遠い存在になり、自分が社会から隔絶され周囲に取り残されたような絶望感を味わうことになる。就職活動が始まると、これまでのキャリアなどまるで通じないことを痛感させられる。取引先との折衝や調整、輝かしい業務功績、社内政治に翻弄された苦労話など数十年間のサラリーマン生活で築き上げた物語を一枚の履歴書に表現する難しさに直面し、圧迫面接で自分のキャリアを否定され、徐々に自信や自負心を崩壊させられるのだ。新聞記事に載る数々のリストラ話の裏には、こんなものでは済まないような過酷な現実が横たわっていることに思いをはせてもらいたい。

 

新自由主義者や構造改革教の信者たちのバカさ加減は本当に度し難いが、社会のあちこちに寄生する彼らは、しぶとく日本の中枢にしがみつき、既得権益を手放そうとしない。

威勢がいいわりに肝の小さい彼らは、日本や日本人の文句を言いながら、一向に日本から脱出しようとしない。日本では大威張りできても、一歩国外に出てしまえば、自分の名声は通用しないし自慢話を素直に聴いてくれる者もいないのだ。

この程度の小心者が、社会的地位の高さを笠に着て、構造改革だ、TPPだと日本をミスリードしようとするから油断ならない。

公の会議を利用して、くだらぬ開国論をぶつのではなく、衰退するはずの日本を脱出し、グローバル企業として世界に名を馳せ持論の正しさを証明して見せろと言っておく。

2013年3月 3日 (日)

泥棒の説教

H25.2.28に放映されたTV朝日のモーニングバード「そもそも総研(そもそも貿易赤字は原発停止が原因なのか)」は、バカマスコミお得意の結論ありき番組の教材のような内容だった。

 

番組の趣旨や主張は次のようなものだ。

・この2年間で日本の貿易赤字は13兆円拡大した。(※財務省資料「平成24年分貿易統計」によると、年ベースの貿易赤字の額は平成23:2.5兆円+平成24:6.9兆円の計9.4兆円になる)

・日本の貿易赤字拡大の主因は、急激な円安や世界情勢の変化による原料価格高騰と尖閣問題による中国への輸出不振(▲1.6兆円)、欧州の経済不振(▲1.3兆円)によるものだ。

・原発停止後に化石燃料の輸入量が拡大したわけではなく、化石燃料などの資源価格の上昇が原因だ。

・貿易赤字が拡大したことを恣意的に利用して、原発を再稼働させようとする動きがある。(貿易赤字がちょっと増えたくらいで、原発再稼働なんて騒ぐんじゃねぇ~)

 

マスコミにしては珍しく数値やデータを使って説明していると思いきや、ニッセイ基礎研究所のエコノミストや日本エネルギー研究所の職員をおまけに引っぱり出して、以下のとおり、自分の主張を都合よく補強していた。

・輸入量の増加による貿易赤字拡大は1.6兆円だ。

・輸入価格の高騰で貿易赤字拡大の理由の半分を説明できる。高騰は国内要因ではなく世界の政情不安によるものだ。

・この2年間で輸入額は9.9兆円増加した。うち、化石燃料関係分は6.1兆円あり、内訳は単価上昇分が5.1兆円、輸入量の上昇分は1.4兆円に過ぎない。(暦年ベースの試算)

・原発停止による鉱物資源輸入拡大は、貿易赤字拡大の一因に過ぎない。

・原発停止による貿易赤字拡大への影響は1.9兆円だけだ。これは、中国や欧州への輸出減少額2.9兆円より少ない。

・原発再稼働による貿易赤字縮小効果は、9基稼働(大飯原発2基+新規稼働7基)で3,000億円、26基稼働で1.4兆円に過ぎないし、家庭用電気料金も、25%しか安くならない。(さらに、国民感情を考えれば稼働できるのはせいぜい9基程度が現実的、26基稼働などあり得ないとのコメントあり)

 

番組の結論はつぎのとおりだ。

①原発停止による貿易赤字拡大への影響など大したことはない。

②世界情勢の変化(何がどう変化したのかは最後までナゾだったが…)による資源価格の高騰が主因なんだからどうしようもない、あきらめろ。

③貿易赤字の拡大を理由に原発を再稼働させようなんて、危ないことを言ってくる連中がいるから注意しろ。

 

まず、尖閣問題をダシにして、暗に中国との関係改善(=早く中国に詫びを入れろ)をゴリ押ししようとする態度が気に食わない。経済問題を理由にして、基本的な外交ルールすら守れない劣等国の仕掛けた恫喝外交に屈するなどあり得ない選択だ。

このように、いつまでも植民地根性丸出しの卑しい奴隷思考から抜け出せないから、マスコミはゴミ扱いされるのだ。

 

中国との貿易赤字が気になるなら、なぜか増えている(平成24対前年比+2.7%)輸入を減らせばよい。反日行動を煽り立てるイヌに対して、何らかの貿易制限や規制を掛ければよいではないか。

番組では、中国への輸出が1.6兆円減ったと騒いでいるが、貿易統計を見れば同時に対米輸出額がほぼ同額増えている。単に、中国を経由させない対米輸出が増えただけではないか。

 

さて、本題の化石燃料などの鉱物資源の輸入量や価格高騰の問題だが、番組ではしきりと輸入量が増えたことより、資源価格が上昇したのが原因だと主張している。

資源価格の高騰は、原発停止によるものではなく(何だかよく判らないが)世界情勢が変化したせいなのだから仕方がないだろっ、あきらめろ、それを理由に原発を再稼働させようなんて考えるなよ、といったところだろう。

 

天然ガスの輸入価格は、平成20年のリーマンショック後に急落したが、その後、平成2223年にかけて上昇しているのは確かだ。だが、直近での輸入価格は16ドル/MBTUとアメリカ(2.5ドル/MBTU)の6倍以上にもなり、異常なほどの価格差だ。

シェールガスの実用化が進みパイプラインも整備されたアメリカとのコスト差があるのはやむを得ないが、震災前の価格差がおよそ3倍程度であったことを考えると、原発稼働停止による天然ガスの緊急需要という抜き差しならない事態に対して、天然ガス産出国から足許を見られて不当な価格を要求されている、という見方が自然だろう。

試しに、来年から原発の半分を稼働させると情報をリークしてみればよい。バブルでしかない輸入価格はみるみる下落するだろう。ただでさえ、シェールガス革命の煽りを受けて天然ガスの市況はダブつき気味なのだから。

天然ガス価格の高騰を捉えて、原油価格連動の値決め方式のせいだとか、旧態依然とした原燃料費調整制度のせいだとの批判もあるが、いまさらそんな“そもそも論”をまくし立てたところで事態は一向に解決しない。

ヒステリックな理由で強制的に停止させられている原発を再稼働させればよい。日本全体が反原発の集団ヒステリー状態にあるせいで、不当な天然ガス輸入価格を押し付けられているのだから、くだらない反原発運動を無視して、ストレステストを終えた原発から順次再稼働すればよい。

輸入価格の高騰が貿易赤字の主因だと主張するなら、発送電分離とか、電力自由化とかいうバカげた民営化論議に無駄なエネルギーを使っていたずらに時間を費やすよりも、迅速かつ簡便に問題を解決できる方策を提言すべきだ。

 

原発停止ありきという結論から無理な持論を展開するのはまことに見苦しい。

 

だいたい、54基ある日本の原発(うち停止中52基)のうち、稼働してもよいのは10基以下だなどと、TV風情が勝手に決め付けることなどおこがましい限りだ。日本のエネルギー政策の根幹に係る問題をワイドショーのコメンテーターもどきが軽々に論じるなど百年早い。

しかも、全部で54基(停止中52基)ある原発停止による貿易赤字の影響は1.9兆円としながら、9基稼働(実質7基稼働)で3,000億円、26基稼働(同24基稼働)で1.4兆円と間尺に合わない試算をしたのはどうしたことか。実際に停止中の52基をフル稼働させた場合の貿易赤字縮小額は、1.9兆円を上回るのではないか。

 

件の番組では、原発停止による貿易赤字額1.9兆円など大した額ではないと、しきりに強調していた。わずか1.9兆円のために原発を再稼働させるなんてとんでもない、原発再稼働を企む連中の情報操作に注意しろ、と言わんばかりであった。

 

だが、TV朝日をはじめとするマスコミがもう一方で熱心に推進するTPPのメリットはいかほどだろうか。

番組によると、欧州の経済不振により貿易赤字が1.3兆円拡大したそうだが、これぞ外需依存型経済の怖さなのだ。幸い、日本はGDPの多くを内需が占め貿易依存度は低い経済体質だが、新自由主義者の口車に乗せられてTPPに参加し、外需依存度を高めれば高めるほど、自国政策による経済コントロールが難しくなってしまう。

さらに、日経新聞が225日付で報じたところによると、「政府は日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、輸出の増加を通じて国内総生産(GDP)を3兆円超、押し上げるとの新たな試算をまとめる。」とのこと。無論、ここでいう3兆円とは1年ではなく、10年間の累計値である。前回の試算から、無理やり3,000億円上乗せした格好だ。

 “壊国協定”を布教するために、たったの3,000億円ほどに過ぎない(そもそもこの試算自体が怪しいものだが…)ちっぽけな小舟を豪華客船であるかのように誇大に宣伝するが、そんなものは、原発停止で国外に流出する1.9兆円と比べて何と少額であることか。

方やGDP、方や貿易赤字額である両者を単純に比較するのは適当ではないが、原発再稼働を認めさせないためには、数値やデータすら恣意的に利用しようとする姿勢は、何とも浅ましい。

 

番組の最後に、コーナー担当の間抜けなアナウンサーが、“新聞などのマスコミは、嘘は言わない。しかし、都合のよいデータのみを切り出して報道することはメディアの特性だから、自分で一次データに当たって勉強することが大切だ。”と視聴者に注意を喚起していたのには吹き出してしまった。

まさに、泥棒に説教された気分である。

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