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2013年3月 3日 (日)

泥棒の説教

H25.2.28に放映されたTV朝日のモーニングバード「そもそも総研(そもそも貿易赤字は原発停止が原因なのか)」は、バカマスコミお得意の結論ありき番組の教材のような内容だった。

 

番組の趣旨や主張は次のようなものだ。

・この2年間で日本の貿易赤字は13兆円拡大した。(※財務省資料「平成24年分貿易統計」によると、年ベースの貿易赤字の額は平成23:2.5兆円+平成24:6.9兆円の計9.4兆円になる)

・日本の貿易赤字拡大の主因は、急激な円安や世界情勢の変化による原料価格高騰と尖閣問題による中国への輸出不振(▲1.6兆円)、欧州の経済不振(▲1.3兆円)によるものだ。

・原発停止後に化石燃料の輸入量が拡大したわけではなく、化石燃料などの資源価格の上昇が原因だ。

・貿易赤字が拡大したことを恣意的に利用して、原発を再稼働させようとする動きがある。(貿易赤字がちょっと増えたくらいで、原発再稼働なんて騒ぐんじゃねぇ~)

 

マスコミにしては珍しく数値やデータを使って説明していると思いきや、ニッセイ基礎研究所のエコノミストや日本エネルギー研究所の職員をおまけに引っぱり出して、以下のとおり、自分の主張を都合よく補強していた。

・輸入量の増加による貿易赤字拡大は1.6兆円だ。

・輸入価格の高騰で貿易赤字拡大の理由の半分を説明できる。高騰は国内要因ではなく世界の政情不安によるものだ。

・この2年間で輸入額は9.9兆円増加した。うち、化石燃料関係分は6.1兆円あり、内訳は単価上昇分が5.1兆円、輸入量の上昇分は1.4兆円に過ぎない。(暦年ベースの試算)

・原発停止による鉱物資源輸入拡大は、貿易赤字拡大の一因に過ぎない。

・原発停止による貿易赤字拡大への影響は1.9兆円だけだ。これは、中国や欧州への輸出減少額2.9兆円より少ない。

・原発再稼働による貿易赤字縮小効果は、9基稼働(大飯原発2基+新規稼働7基)で3,000億円、26基稼働で1.4兆円に過ぎないし、家庭用電気料金も、25%しか安くならない。(さらに、国民感情を考えれば稼働できるのはせいぜい9基程度が現実的、26基稼働などあり得ないとのコメントあり)

 

番組の結論はつぎのとおりだ。

①原発停止による貿易赤字拡大への影響など大したことはない。

②世界情勢の変化(何がどう変化したのかは最後までナゾだったが…)による資源価格の高騰が主因なんだからどうしようもない、あきらめろ。

③貿易赤字の拡大を理由に原発を再稼働させようなんて、危ないことを言ってくる連中がいるから注意しろ。

 

まず、尖閣問題をダシにして、暗に中国との関係改善(=早く中国に詫びを入れろ)をゴリ押ししようとする態度が気に食わない。経済問題を理由にして、基本的な外交ルールすら守れない劣等国の仕掛けた恫喝外交に屈するなどあり得ない選択だ。

このように、いつまでも植民地根性丸出しの卑しい奴隷思考から抜け出せないから、マスコミはゴミ扱いされるのだ。

 

中国との貿易赤字が気になるなら、なぜか増えている(平成24対前年比+2.7%)輸入を減らせばよい。反日行動を煽り立てるイヌに対して、何らかの貿易制限や規制を掛ければよいではないか。

番組では、中国への輸出が1.6兆円減ったと騒いでいるが、貿易統計を見れば同時に対米輸出額がほぼ同額増えている。単に、中国を経由させない対米輸出が増えただけではないか。

 

さて、本題の化石燃料などの鉱物資源の輸入量や価格高騰の問題だが、番組ではしきりと輸入量が増えたことより、資源価格が上昇したのが原因だと主張している。

資源価格の高騰は、原発停止によるものではなく(何だかよく判らないが)世界情勢が変化したせいなのだから仕方がないだろっ、あきらめろ、それを理由に原発を再稼働させようなんて考えるなよ、といったところだろう。

 

天然ガスの輸入価格は、平成20年のリーマンショック後に急落したが、その後、平成2223年にかけて上昇しているのは確かだ。だが、直近での輸入価格は16ドル/MBTUとアメリカ(2.5ドル/MBTU)の6倍以上にもなり、異常なほどの価格差だ。

シェールガスの実用化が進みパイプラインも整備されたアメリカとのコスト差があるのはやむを得ないが、震災前の価格差がおよそ3倍程度であったことを考えると、原発稼働停止による天然ガスの緊急需要という抜き差しならない事態に対して、天然ガス産出国から足許を見られて不当な価格を要求されている、という見方が自然だろう。

試しに、来年から原発の半分を稼働させると情報をリークしてみればよい。バブルでしかない輸入価格はみるみる下落するだろう。ただでさえ、シェールガス革命の煽りを受けて天然ガスの市況はダブつき気味なのだから。

天然ガス価格の高騰を捉えて、原油価格連動の値決め方式のせいだとか、旧態依然とした原燃料費調整制度のせいだとの批判もあるが、いまさらそんな“そもそも論”をまくし立てたところで事態は一向に解決しない。

ヒステリックな理由で強制的に停止させられている原発を再稼働させればよい。日本全体が反原発の集団ヒステリー状態にあるせいで、不当な天然ガス輸入価格を押し付けられているのだから、くだらない反原発運動を無視して、ストレステストを終えた原発から順次再稼働すればよい。

輸入価格の高騰が貿易赤字の主因だと主張するなら、発送電分離とか、電力自由化とかいうバカげた民営化論議に無駄なエネルギーを使っていたずらに時間を費やすよりも、迅速かつ簡便に問題を解決できる方策を提言すべきだ。

 

原発停止ありきという結論から無理な持論を展開するのはまことに見苦しい。

 

だいたい、54基ある日本の原発(うち停止中52基)のうち、稼働してもよいのは10基以下だなどと、TV風情が勝手に決め付けることなどおこがましい限りだ。日本のエネルギー政策の根幹に係る問題をワイドショーのコメンテーターもどきが軽々に論じるなど百年早い。

しかも、全部で54基(停止中52基)ある原発停止による貿易赤字の影響は1.9兆円としながら、9基稼働(実質7基稼働)で3,000億円、26基稼働(同24基稼働)で1.4兆円と間尺に合わない試算をしたのはどうしたことか。実際に停止中の52基をフル稼働させた場合の貿易赤字縮小額は、1.9兆円を上回るのではないか。

 

件の番組では、原発停止による貿易赤字額1.9兆円など大した額ではないと、しきりに強調していた。わずか1.9兆円のために原発を再稼働させるなんてとんでもない、原発再稼働を企む連中の情報操作に注意しろ、と言わんばかりであった。

 

だが、TV朝日をはじめとするマスコミがもう一方で熱心に推進するTPPのメリットはいかほどだろうか。

番組によると、欧州の経済不振により貿易赤字が1.3兆円拡大したそうだが、これぞ外需依存型経済の怖さなのだ。幸い、日本はGDPの多くを内需が占め貿易依存度は低い経済体質だが、新自由主義者の口車に乗せられてTPPに参加し、外需依存度を高めれば高めるほど、自国政策による経済コントロールが難しくなってしまう。

さらに、日経新聞が225日付で報じたところによると、「政府は日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、輸出の増加を通じて国内総生産(GDP)を3兆円超、押し上げるとの新たな試算をまとめる。」とのこと。無論、ここでいう3兆円とは1年ではなく、10年間の累計値である。前回の試算から、無理やり3,000億円上乗せした格好だ。

 “壊国協定”を布教するために、たったの3,000億円ほどに過ぎない(そもそもこの試算自体が怪しいものだが…)ちっぽけな小舟を豪華客船であるかのように誇大に宣伝するが、そんなものは、原発停止で国外に流出する1.9兆円と比べて何と少額であることか。

方やGDP、方や貿易赤字額である両者を単純に比較するのは適当ではないが、原発再稼働を認めさせないためには、数値やデータすら恣意的に利用しようとする姿勢は、何とも浅ましい。

 

番組の最後に、コーナー担当の間抜けなアナウンサーが、“新聞などのマスコミは、嘘は言わない。しかし、都合のよいデータのみを切り出して報道することはメディアの特性だから、自分で一次データに当たって勉強することが大切だ。”と視聴者に注意を喚起していたのには吹き出してしまった。

まさに、泥棒に説教された気分である。

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