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2013年4月

2013年4月27日 (土)

人件費の引き下げが日本の衰退を招く

日本のTPP参加交渉入りがほぼ確定し、頭のおかしな新自由主義者や構造改革教の信者たちが元気を取り戻している。

 

新入社員の入社3年後の離職率が5割に達すると報じられ、ワタミと並び“ブラック企業の雄”として、最近とみに知名度を上げつつあるユニクロが、全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにし話題となった。

同社は、20132月末時点で1,206店舗を擁し、その内訳は国内847店舗、海外359店舗となっている。(※海外店舗の内訳…中国182、韓国91、台湾27、香港16、英国10ほか)

その平均賃金は、社内の英語公用化を唱えるバカ社長4億円を筆頭に、執行役員・上級部長の下位ランクの平均収入が2,000万円、部長・スター部長クラスの同ランクで670万円、店長・一般社員クラスの同ランクで320万円とのことで、強欲な社長の取り分こそ多いが、それを除くと、日本のファッション業界のトップランナーとしては、かなりさびしい金額である。20138月期の決算見通しで、売上1.1兆円、純利益915億円にもなる大企業にして、これっぽっちの給料しか貰えないのかとがっかりしたのが正直なところだ。

にもかかわらず、世界同一賃金なるおかしな賃金体系を強要される社員が気の毒だ。ケチな社長のやることだから、海外社員の給与水準を日本人社員に合わせて引上げてモチベーションUPを図ろうなどと殊勝なことを考えている訳ではないだろう。巷間噂されるように、日本人社員の年収が100万円に下がるとまでは行かないまでも、海外社員の水準に近付けられる形で引き下げられる可能性が強い。

同社の海外店舗の9割以上は中国や韓国をはじめ東アジアや東南アジア地域で占められており、そこで働く海外社員の人件費水準も推して知るべしといったところだ。

 

今回の措置は、海外で採用した社員も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同水準にすることで優秀な人材の確保することが狙いだと報じられている。だが、中韓や台湾、香港人社員を喜ばせ、国内社員のモチベーションを下げるだけの結果に終わるだろう。

ユニクロとか楽天など、未だに日本が世界の孤児だと信じて疑わないおのぼりさん社長は、実際には国内マーケットにしがみついているくせに、グローバル展開に妙な憧れを抱きがちだ。彼らは、英語の社内公用化=グローバル化だと妄信し、社員に英語を強要し無駄なコストと時間を費やしている。英語を話せて陳列した服を畳める人間など、世界中に掃いて捨てるほどいるのだから、アメリカの不法移民でも雇ってくればよいではないか。

だが、ユニクロの決算を例にとると、20138月期の予想ベースで、国内事業の営業利益率が15.7%(前期実績11.7%)なのに対して、自慢の海外事業は8.5%(同7.1%)に過ぎない。確かに、海外事業は売上・利益ともに高い伸び率(売上+52%、利益+81%)を示しているが、営業利益の伸長率は、むしろ国内事業の貢献度の方が大きく、依然として収益の大黒柱は国内事業であることに変わりない。

日本屈指の衣料品販売チェーンとして、8%以上もの純利益率を誇る優秀な企業を築き上げてきた社員たちの努力に対する報酬が、英語学習の強要と実質的な賃金引き下げでは、社員たちもたまったものではない。離職率がますます増えるだけなのではないかと、他人事ながら危惧している。

 

口を開けばグローバル競争とか規制緩和しか言えないバカな経営者(デフレ村の住人達)は、日本の成長を信じることができない自虐史観者である。

彼らは、これからの商売は外国でするものだと言って憚らないが、その割に国内マーケットにおんぶにだっこの状態から抜けきれない企業はほとんどだ。

所詮、海外展開といっても、日本のポンコツアーティストと同じで、せいぜい中国や台湾、香港、東南アジアあたりが関の山で、もともと所得水準の低いマーケットでは、結局、現地企業や海外企業との価格競争に揉まれて落伍するハメになる。そういった厳しい現実を受け入れられない経営者は、自身の成功体験が通じないことに逆切れし、自らの経営戦略の甘さを棚に上げ失敗の原因を日本人社員の賃金が高すぎるせいだと喚き立て、人件費や様々なコスト削減に血道を上げ始める。こういったバカげたコスト削減運動が蔓延した結果、国内マーケットは衰退し、自らの主戦場を失ったバカどもは、ますますグローバル市場に対する信仰を強め、国内への投資を削り取っていくというくだらないデフレスパイラルが続くことになる。

 

冒頭のTPP問題は、安倍政権が卑屈なほど前のめりになり、アメリカのみならずニュージーランドやカナダといったダフ屋から、本来ならタダであるべき交渉参加というチケットを相当な高額で買わされるハメになり、かんぽ保険や自動車関税のほか、非関税障壁問題でも相当な譲歩を迫られそうな勢いだ。そればかりか、交渉参加の条件としてアメリカ議会の承認を得るのに90日も待たされるといった具合で、まさに屈辱外交ものの悲劇的な交渉が見込まれる。安倍首相の目指す「戦後レジームからの脱却」とは、屈米・従米外交を指すものではなかろう。

百害あって一利なしの典型とも言えるTPPなんて絶対に参加すべきではないというのが筆者の意見であり、日米外交に傷がついても交渉から抜け出すべきである。

TPP問題としてISD条項の乱発による国内法規の無効化、関税自主権の棄損や放棄等が懸念されるが、筆者が最も恐れるのは、賃金コストや物価水準の低すぎる発展途上国との労働コスト競争による国内需要の破壊である。

多くの国民は、小泉バカ政権時の構造改革騒ぎと同様に、TPPで外に打って出ることが国内の閉塞感を打破してくれると大きな勘違いをしている。実際には、外に打って出るどころか、グローバル企業なる禿鷹の都合のいいように法律を変えられた挙句に、低賃金が売り物の途上国から大量の労働者を押し付けられ、デフレを深刻化させるだけの結果に終わることだろう。

ユニクロや楽天のバカ社長の例に見るまでもなく、経済自虐史観に侵されたデフレ村の住人たちは、国内マーケットへの投資や再分配に興味を持たない役立たずが大勢を占める。彼らの脳内には、グローバル化こそ善、自由貿易(こんなものはとっくの昔からやっている)や規制緩和こそ善、国内市場にしがみつくガラパゴス企業は滅ぶべしというお花畑ワードが飛び交っており、マクロ的な視野でモノを考えることができなくなっている。

だが、グローバル化が好きな割に、国内市場にしがみついて一向に日本から出て行こうとしないのも彼らの特徴だ。所詮は、口ばっかりで外の世界に出て行く実力もないくせに、自らが寄って立つ国内市場という大切な土台を破壊し揶揄することに快感を覚える青二才に過ぎない。未熟な中学生がいっぱしの大人を気取って親に文句を垂れるのと同じことで、傍から見ていても恥ずかしい限りだ。

 

こんな愚か者どもの口車に乗って、奴隷並みの賃金しかない途上国との無謀な賃金引き下げ競争に持参金付きで参加するバカがどこにいるのか。発展途上国の労働コストをダシにして国内の人件費を削り続ければ、ロスジェネ世代が老齢層となる2530年後あたりには国内消費は壊滅状態となるだろう。

日本の人件費は高いと揶揄されがちだが、そんなことは先進国なら当たり前のことだ。人件費の高さは豊富な個人所得の裏付けとなり、GDPの成長に欠かせない安定的な国内需要を創造する源泉となる。国内の人件費や国民所得が高いということは、豊富な水がめを抱えているのと同じことなのだ。

そういった利点を顧みずに、グローバル化=労働コスト削減という単純な思考しか持たない幼稚な新自由主義者のワガママを押し通してしまえば、日本企業の多くは、大切な国内市場を失い、痩せ衰えたルール無用の海外市場を求めて流浪の行商を余儀なくされることになるだろう。

日本市場にたかろうとするTPP参加国にタダで餌を与える必要などない。発展を望むならば、低賃金労働のみを売りにして先進国にたかるのではなく、自ら汗をかいて研究開発や生産性の向上に取り組み競争力をつける努力をすべきである。

2013年4月 7日 (日)

料理はまだか

44日に開かれた日銀政策決定会合で黒田新日銀総裁から大規模な金融の量的緩和策が発表された。

その内容は、次のとおりだ。

①消費者物価(CPIなのかコアコアCPIなのかは不明)の前年比上昇率 2%の「物価安定の目標」を2 年程度の期間で実現させ、この水準を安定的に持続するために必要な時点まで継続する。

②金融市場調節の操作目標を無担保コールレート・オーバーナイト物からマネタリーベースに変更し、年間約6070兆円に相当するペースで増加させる。(マネタリーベースとマネーストックを混同している報道も散見されるが…)

③長期国債の保有残高が年間 50 兆円に相当するペースで増加するよう買入れる。

④長期国債の買入れ対象を40 年債を含む全ゾーンの国債とし、買入れの平均残存期間を 3 年弱から 7 年程度へと延長する。

ETF(年間1兆円)およびJREIT(年間 300 億円)を買入れる。(こんなものは市場に任せて日銀は国債購入に専念すべき)

⑥日銀券ルールを一時停止する。

いずれも従来の日銀の常識と比べて数歩先まで踏み込んだ政策であり、それにつられて市場では株高・円安・金利安の様相を呈し、多いに沸き立っている。これらは、アベノミクスの第一の矢(大胆な金融緩和)に対する期待感の現れであり、先ずは一定の成果を上げることができたと言えよう。

 

今回の日銀政策決定会合で決定された金融政策は、一部を除いておおむね評価できる。

特に、長期国債の買い入れを明示したこと、全く無意味であった日銀券ルールを事実上廃止したことは大きな進歩だ。

これまでの日銀の金融緩和は、まさに“名ばかり緩和”で、日銀券ルールという内規を金科玉条の聖域に祭り上げ、残存期間の短い国債ばかりを買い入れて保有する国債残高の膨張を抑えるのに躍起になっていた。

その姿勢には、デフレ脱却への強い意志など微塵も感じられず、過度な円高に苦しむ日本経済のことなどそっちのけで、ひたすら「通貨の信認」を守ることに汲々としていた。

 

黒田新総裁は、326日の衆議院財務金融委員会でも、日銀による金融政策と併せて政府にも実需を創り出す努力を求めており、デフレ脱却のためのベクトルは、いまのところまともな方向を向いている。

新自由主義者や狭義のリフレ論者(金融緩和万能論者)の中には、金融緩和による実質金利の低下やインフレ期待によるデフレ脱却に過度な期待を掛けて財政政策を頭ごなしに否定する者も多いが、消費・投資の活発化による業績・雇用の改善には財政サイドの努力が欠かせないという常識が議論の俎上に上ったことをどう考えているのだろうか。

 

今回の大規模な金融緩和策の発表に伴う株高や円安相場を受けて、早速“アベクロバブル”とか“黒田相場”だなどと浮足立っているバカも多い。

株さえ上がれば日本は復活だと妄信している単細胞(こういうのに限って案外株式投資をやってない)な連中は、金融緩和は「借りるための資金を用意しただけ」もしくは「融資を受けるための環境が整っただけ」に過ぎないという事実を忘れたまま、“次は第三の矢だ、成長戦略だ”といきり立っている。

 

先月で終了した金融円滑化法のことを、勘違いして“平成の徳政令”だと連呼していたバカマスコミがいたが、金融緩和=お金を刷る=世の中に出回るお金の量が増えると単純に信じ込んでいる者も多い。

量的緩和を柱とする金融緩和とは、日銀が市中銀行から国債を買い入れて銀行が持つ日銀当座預金に買い入れ代金(お金)を払い込むことに過ぎず、それ以降の資金還流ルートまで直接操作することはできない。

銀行の口座にあるお金を、その先にある実体経済に還流させるには、融資を通じて企業や家計に資金を送り込む必要がある。だが、銀行が企業や家計に対して強制的に融資をさせることなどできない以上、実体経済に資金を還流させるには、企業や家計からの自発的な需資が必要になることは小学生でも判るだろう。

 

では、そういった自発的な資金需要は何によってもたらされるのだろうか。

それは、企業や家計による自身の売上や収入の見通しに対する確信や期待である。

来月の売上や来年の給与が見通せない状態で積極的にカネを借りようとする者などいないが、適切な経済政策によって実体経済が活性化し、その点がクリアされれば資金需要の歯車は再び勢いを増すだろう。

企業や民間が欲する売上や収入とは、突き詰めれば「お金=円」のことを指す。

そして、それを世の中に供給できるのは通貨発行権を持つ唯一の存在である政府しかいない。

企業や家計の資金需要を喚起するには、政府が大規模かつ長期的な財政政策を通じて公共事業の増加や公的支出の単価引き上げ等により積極的に民間の事業機会を創出することが何より確実かつ早道なのだ。

ビジネスチャンスもないままで貸すための資金を大量に用意しても無駄である。薪を積み上げたまま火を着けないのと同じことで、期待して周囲に集まった人を凍えさせるだけだ。


だが、今回の金融緩和策でさえ、一部のマスコミから“財政ファイナンスではないか”との批判に晒されている。

火を着ける前から大火事の心配ばかりする臆病者の声が大きくならないうちに、多くの企業や国民が経済成長を実感し、その果実を受け取れるよう第二の矢である財政政策を速やかに実行することが重要だ。それも、「機動的」なだけではなく、「大規模かつ長期的」に実行することが必要だ。

公共事業をやっても人手不足で予算を消化できない、との意見もあるが、くだらない入札制度を見直すのが先決だ。それにより、もっと受発注の単価を引き上げ、より広範囲から事業者を募れるようにしたり、事実上の談合制度を容認して、参入する事業者が先を見据えた投資ができる環境を整えてやるべきだ。全国的な視野で見れば、建設業者の潜在供給力は、まだまだ過剰気味なのだから、発注した事業がきちんと応札されるよう政府も工夫すべきだ。

また、公共工事だけでなく、公的年金や公的医療費の国庫負担割合の増加や公務員・外郭団体の増員や給与引き上げなど公共事業の質・量をともに充実させる策はいくらでもある。

デフレ対策の矢を一本放っただけで、財政ファイナンスとかハイパーインフレを気にし始める愚か者を改心させるには、おそらく、野良犬が英語をしゃべりだすより長い時間が掛かることだろう。

デフレ脱却という非常に難解な課題をクリアするためには、これまでの倫理観や常識に囚われていてはいけない。実体経済の刺激策や雇用対策の効果を確実に出していくためには、政策実現手段の清濁にこだわっている暇などないのだ。

 

新総裁による大規模な金融緩和策の発表により、日本経済という大広間には立派な食卓と食器が並べられた。しかし、肝心の美味しい料理はまだ運ばれてこない。それどころか、スタッフは次の演目であるショーの準備に気を取られて、厨房では料理を作る用意も始まっておらず、ディナーに集まった客はひもじい思いをしている。

このまま料理を出されずに、下手なマジックショーを延々と観せられても客の胃袋は決して膨らむまい。

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