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2015年4月21日 (火)

企業経営の成果は給与水準の高さで評価すべき

さきごろ、ファストフード店の時給を1500円以上に上げるべきだ、というデモが各地で開催されたことに対して、次のような批判記事がネットに上がっていた。
『マクドナルドの「時給1500円」で日本は滅ぶ』
(シェアーズカフェ・オンライン、 4月16日(木)配信 、http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150416-00010000-scafe-bus_all&p=3)

記事の内容をかいつまんで要約するとこういうことだ。
・時給が低いから生活が困窮している、だから時給を上げれば生活は改善する、という考えは100%間違い
・マクドナルドやモスバーガーの利益率は2.3%程度で、時給が1500円以上になれば全てつぶれる
・時給は都道府県ごとに最低賃金が定められており、これを上回る限りいくらに設定するかは企業側の自由だ
・時給1500円で国内産業は空洞化し、あらゆる産業で輸入品への代替やオートメーション化、省力化が進む
・解雇は規制出来ても雇用は強制できない
・賃金は付加価値に対して支払われる、時給1000円の付加価値しか出せない人に1500円を払う事は企業にとってマイナス
・憲法第25条を保障するのは国であって企業ではない
・企業は徹底した競争を、国は手厚いセーフティネットを、これが当たり前

まあ、よくもこれだけバカなことを言えるもんだと呆れる文章だ。
社会のことを少しばかり齧り始めた中学生が書きそうな内容でもある。
いまどき、強欲な経団連の連中でも、ここまで露骨には言えないだろうが、世の中の仕組みを理解できないくせに、妙な熱気ばかり持ち合わせた幼稚な中学生なら、思わず書きなぐってしまうのかもしれない。

まず、論者は、日本国内のファストフード産業の収益力の低さを指摘するとともに、賃金は付加価値に対して支払われるのだから、バイトの賃金なんて到底上げられないと言い切る。
であれば、バイトの賃金も満足に上げられないほど低付加価値なファストフード産業の経営者の報酬は適正なのか。
今日のマクドナルド凋落の張本人とも言われる前会長の原田泳幸氏は、役員報酬と退職慰労金を合わせて3億4千万円近くの報酬を得たようだが、この間抜けで無能な経営者の報酬額は、自らの経営能力やその付加価値に相応しいものだと自信を持って言い切れるのか。

この論者は、バイトには厳しいことを言えても、会社の経営を傾けた経営者には一言の批判も浴びせられない卑怯者でしかない。

また、国内のファストフード産業に従事するバイトの付加価値が、1500円の水準に達していないとも言いたいようだが、どこのハンバーガーショップだって、たいていのバイトは良く働いている。

一般的に、大手ファストフードでは接客や調理のマニュアルが統一化されており、個々のバイトが付加価値を上げようにも、勝手なサービスの提供など許されるものではない。
バイトにいくらやる気があっても、自分の意志や判断で行動できる範囲は極めて限定的で、一定範囲のオペレーションにしか携わることができないのが普通だろう。
例えば、店長やバイトの自主的な判断で、年金支給日を狙って高齢者向けの新商品や新サービスを提供するようなファストフード店なんて見たことも聞いたこともない。

立場の弱いバイトを捉まえて、お前の付加価値が低い云々と罵倒するなどみっともない限りだ。

そもそも、企業の収益メソッドを構築するのは、経営者たるものの役割で、社員やバイトにそれをおっかぶせようとするのは、経営者として無能の証である。
儲ける仕組みを作るのが経営者の仕事で、その仕組みに沿って事業を実践するのが社員やバイトの役目だろう。

だが、世の大半の経営者は、収益体制の構築という仕事を社員に丸投げして、決断するのがトップの役割だなどと格好を付け、この重要かつ難解な仕事から逃げ回っている。
儲かる仕組みを考え、そのオペレーションまで社員がやるのなら、手足も使わず頭も使えないムダ飯喰らいの経営者なんて不要だろう。
ミャンマー人かベトナム人とでも代わってもらった方がよい。

挙句の果てに、この論者のような卑しい狗の口を使って、企業は従業員の面倒まで見る義理はないと言い放ち、最低限度の文化的な生活を維持するのに必要なコストを、すべて国におっかぶせようとしている。
まさに、国や国民にたかろうとするシロアリだ。

この論者は、“企業は徹底した競争を、国は手厚いセーフティネットを”などとキチガイじみた主張をしているが、企業には徹底した人件費やコスト削減を奨励し、それを国や国民にツケ回しするなど以ての外だ。

一端の企業家たる者、自らの才覚とアイディアを以ってこの苦境を脱するための知恵を絞るべきだろう。
ましてや、バイトに付加価値向上を求めるようなレベルの企業経営者は、いますぐ経営から身を引くべきだ。

企業の究極の存在意義は、そこで働く従業員の人件費を稼ぐことにあり、その給与水準は企業価値に等しい。つまり、給与が高い企業=企業価値の高い企業なのだ。

社員、バイトに係らず、全ての従業員はボランティアや趣味で働いている訳ではない。
社員が無能な経営者に文句も言わずに黙々と働くのは、企業の業績を上げ、自らの給与も上げて生活を豊かにしたいからに他ならない。
それが叶わないのは、大抵の場合、その企業の収益構造に原因がある。
つまり、収益メソッド立案の責任者であるはずの経営者が時代遅れで無能だからとしか言えない。

企業経営者の責任はそれだけ重いのであり、だからこそ絶大な権限と高額の報酬を得ているのだ。
それを忘れたバカな経営者が、社員やバイトに甘え神輿に乗って楽をしようとするから経営が傾くのだが、神輿の上で居眠りをしている当の本人にはそれが解からないものだ。

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コメント

しかし、あれですね。前から思ってましたが、勘違い馬鹿経営者の批判をさせるとうずらさんの右に出る人はこの日本にいませんね。

フルタイムで働いても食うや食わずの賃金しか貰えない従業員を使いながら、自らは多額の報酬を得ているのだとすれば、それは単に搾取しているに過ぎない。この論者の言い分も、昔のアメリカ南部での黒人奴隷制度廃止に反対する白人綿農場経営者達の言い分と何も変わらない。市場原理や自由市場経済という名の屁理屈を捏ねて、役員や株主の既得権益を守ることに必死なだけです。

こういうこと言うと「お前は共産党員か!」とか「マルクス信者め!」と反論してくる馬鹿な輩がかならずいますが、これも自己に対する批判ややましさを逸らす為の屁理屈に過ぎず、経営者が従業員の年収の何十倍、何百倍もの報酬を得ている正当な理由の証明にはなりません。どこに其ほどの生産性の違いがあるのか是非教えて欲しいものです。
バイトなどいくらでも代わりがきくが、経営は私しか出来ないのだ!と言うのならうずらさんの言うように一度交代させて見ればいい。

最近読んだ何かの記事にアメリカの若いCEOが、自分の数億円あった報酬を1億以下に削って従業員の平均年収を500万から800万程に引き上げたというのを読んだことがあります。彼が言うには従業員と自分との年収の差がずっと気になっていたようで、「何百万ドルも貰っても別に使い途もない。従業員の賃金を上げれば彼等もやる気を出して働いてくれるだろうし、会社にもプラスになるだろう」というような事を言っていました。アメリカの格差問題に対して彼なりに憂いていることもあったようです。

起業家や経営者になる一番のメリットは金儲けではなく雇用を通じた社会貢献の最大化によるステイタスであるという教育も必要かも知れないですね。経営者=金と権力というレベルで止まっているようではなかなか状況は変わらないのではないかなと。せめて学校の道徳の時間などにこういう問題をディスカッションさせるようなカリキュラムを採り入れもいいと思うんですけどね。

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