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2015年9月

2015年9月23日 (水)

センスがない人=現実に目を向けられない素人経済学の信者たち

921日に安倍内閣発足から1000日目を迎えるにあたり、首相側近から「金融緩和のために『日銀法改正に踏み切る』という発言が飛び出したそうだ。

 

最近、とんとご無沙汰気味であった日銀法改正だが、今年130日に衆院本会議で、安倍首相自身が、日本銀行法改正は将来の選択肢として検討を続ける考えを示したほか、今年の8月にも、本田内閣官房参与が、ロイターのインタビューに応じて、自民党総裁再選後の政策課題として日銀法改正を第一に挙げ、「2度とデフレにしないためには、日銀法改正が不可欠」だと発言している。

 

これには、日銀悪玉論者であり、日銀法改正を宿願としてきたリフレ派の連中も大喜びだろう。

 

彼らは、以前から、根拠不明の金融緩和絶対主義を唱え、円の価値が棄損するのを恐れて金融引き締め論に固執する緊縮財政派との対立を繰り返し、いわば、経済学会の異端児として長年冷や飯を食わされてきた。

 

しかし、欧米各国が、相次いで金融緩和政策を柱とする経済対策(実際は財政政策も並走していたのだが…)を打ち、構造改革と金融緩和こそが経済政策の本流だという誤った認識が蔓延し、それが、財政政策を避けつつ経済対策を打つポーズだけは見せておきたいという構造改革派の思惑とマッチする形で、国内にも受け容れられるようになった。

 

そして、安倍政権が発足して黒田総裁が就任するや否や、意味不明であった日銀券ルールが撤廃され、我が国でも事実上のインフレ・ターゲット政策が実践されたことを受けて、それまでキワモノ扱いに過ぎなかったリフレ派は、一気に経済政策のメインストリームに躍り出ることになった。

 

前頭13枚目辺りで燻っていたダメ力士が、いきなり大抜擢され、横綱の地位を与えられたようなものだから、リフレ派の連中は歓喜に沸き立ち、以降、大恩人となった安倍首相を絶対視する“安倍信者状態”を続けている。

 

信者とは誠に有り難いもので、安倍首相のハチャメチャな経済失政を全てフォローしてくれる。

 

最近、リフレ派兼安倍信者のブログ記事をいくつか目にしたが、そのうちのひとつによると、「消費税増税は、アベノミクスには含まれておらず、アベノミクスそのものが良いか悪いかの判断材料には含まない。ただし、景気対策において消費税増税は、明らかに悪い影響を与えた」そうだ。

 

首相在任中に2度も消費税率を引上げた(10%への再引上げは20174月の予定)人物の経済政策に消費税増税が含まれていない、と強弁する幼稚さには失笑を禁じ得ない。

 

消費税率10%への引き上げに関しては、331日に参院本会議で税制改正関連法が可決され、1年半延期されたものの174月とすることが確定したうえ、ご丁寧に「景気条項」まで削除され、景気情勢次第で更に先送りできるような退路まで断たれてしまった。

 

また、630日に経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針)の第3章においても、「歳入面では、経済環境を整える中で、消費税率の 10%への引上げを平成29 4月に実施」と明記されている。

 

そもそも、アベノミクスに消費税増税が含まれていないのなら、安倍首相が身体を張ってでも税率引上げを阻止すべきだろうが、財務省と闘うどころか、共闘して、増税に向けた外堀固めを着々と進めている。

 

だが、いくら動かぬ証拠が揃っていても、狂信者は現実よりも信念を優先させるもので、たとえ教祖が現行犯で捕まっても、その罪を決して認めようとはしない。

 

熱心な安倍信者と化したリフレ派の連中は、“安倍首相は消費税増税を望んでおらず、増税を画策する財務省と全力で闘っている”と言い張り、アベノミクスの3本柱が「財政再建・構造改革・規制緩和」にあることを受け容れようとしない。

 

しかし、先に紹介した骨太の方針を読み込めば、「経済再生」<「財政再建」であることが直ぐに理解できるはずだ。

「経済再生なくして財政健全化なし」を基本方針とする、なんていう言い回しは、財政再建を進めるに当たっての痛みを緩和するために、経済対策をする(かもしれない)という“ポーズ”を演出するためのものに過ぎない。

 

経済再生と言っても、デフレ脱却を志向する前向きな対策ではなく、緊縮政策に伴い国民から噴出するだろう不平や不満を逸らすための必要最低限の対策を打つかもしれない、という程度の認識でいるべきだ。

 

それを証拠に、「歳出改革」では、“聖域なく徹底した見直しを進める。また地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める”と更なる歳出削減を宣言し、「歳入改革」では、先に紹介したとおり、20174月の消費税引上げを断行すると言い切っているではないか。

 

また、別の信者のブログ記事によると、“政府が、「お金を刷って、もっと量を増やすぞ」

とアナウンスしますと、たいていの人は、「お金の価値が下がって行くんだな」と判断し、それを裏返しますと、「物価(モノ・サービスの価値)が上がって行くんだな」と判断されます。これがインフレ期待“だそうだ。

 

ほとんどの国民や企業経営者は、恐らく、異次元緩和どころか、金融緩和政策自体の意味や意義を全く理解できていないだろう。(嘘だと思うなら、身近にいる人に尋ねてみてはいかがか)

 

リフレ派の連中は、“政府がお金を刷って云々”というくだり自体が、広く国民に理解されていないことを受け容れられないまま、後段のお金の価値と物価の関係の法則に話を持って行こうとするが、そもそも、ほとんどの国民や経営者は、お金が刷られている(実際は既発債と日銀券が両替されているだけで実体経済への影響は微細に過ぎないが…)ことを認識しておらず、お金の量と物価の関係まで辿り着けてさえいない。

 

リフレ派の連中は、所得になるお金と借りなければならないお金とを意図的に混同させ、金融市場に滞留するだけの見せ金を指して「お金を刷った」と言い張るが、当の国民や経営者の関心は実体経済の方にあり、利子を付けて返済せねばならないお金の量の多寡など端から気にしていない。

 

金融市場に滞留するお金がどれだけ増えても、それは関心の対象外であり、その量の増減をチェックすることもないし、金融市場のカネの量の増加とインフレとを結びつける発想自体を持ち得ていない。

 

国民や経営者が気にするのは、所得に直結するお金の量だけであり、それが増えない状態でインフレ期待など持てるはずがなかろう。

 

だが、リフレ派は、“勿論、全員が全員、その様な期待(=インフレ期待)を持てるという訳ではなく、当然の事ですが、インフレを予想しない人も存在します。その様な人達は、単に出遅れてしまうだけで、一般には“センスが無い人”として認識されまして終了です“と言い放って平気な顔をしている。

 

社会の仕組みが理解できない世間知らずには困ったものだが、“全員が全員”どころか、いい意味でのインフレ期待を持っている者なんて、ごく少数だろう。

 

多くの国民が持っているのは、「インフレ期待」ではなく、金融緩和政策による円安や原料高が引き起こした生活必需品などの物価高に対する「インフレ不安」である。

だからこそ、国民や経営者は財布の紐を固く締め、必要最低限の支出しかしようとせず、家計の実質消費支出額は長らく低迷したままなのだ。

 

世の中には、インフレ予想をせずに消費に消極的な、いわば、リフレ派の連中が卑下する「センスがない人」で溢れ返っているようだが、国民の認識の方が間違っているとでも言うつもりなのだろうか?

 

むしろ、いまだに、所得になるお金と借りなければならないお金との区別を付けられなかったり、所得になるお金が絶対的に不足している状態でもインフレ期待を持てるはずだと勘違いしたりするような素人経済学を信じる者こそ、「センスがないバカ」だと呼ぶべきなのではないか。

2015年9月22日 (火)

何の果実も得られなかった安保騒動

安全保障関連法案を巡って、政府与党と頭のおかしなデモ市民との間で交わされた泥仕合も、9月19日に同法が成立し、ようやく終幕を迎えた。

法案成立後に行われた共同通信社の世論調査では、法案に「賛成」が34.1%、「反対」が53.0%、「国会での審議が尽くされたと思う」が14.1%、「尽くされていない」が79.0%となり、内閣支持率は前回調査からやや下落し38.9%(不支持は50.2%)という結果であった。(他の新聞や報道各社の世論調査結果も、おおむねに同様な数値)

安保関連法案に関しては、筆者として興味の対象からほとんど除外されていた。
なぜなら、肝心の政府与党は、南シナ海や東シナ海における中国の脅威論に具体的に踏み込まず、アメリカとの協調に逃げ込むばかりで日本の自主防衛力の増強を目指す姿勢が一片も感じられなかったからだ。

一方の安保法案反対派も、聴くのも恥ずかしい幼稚なラップに乗せて「戦争はイヤだ」、「私たちの子供を戦場に行かせない」と小学生みたいな軽い言葉を繰り返すだけで、中国や北朝鮮(韓国も?)からの軍事的脅威に対する具体的な対案や提案を出そうともしなかった。

今回の安保法案を巡る一連の騒動は、戦後レジームからの脱却どころか、戦後レジームへの逃避を図ろうとする臆病者と、日本の安全保障強化を憎悪する時代遅れの自虐主義者との間の醜い争いでしかない。

ひとことで言えば、アメリカの庇護から一歩も抜け出そうとしない連中と、日本は敗戦国の立場で永遠に反省すべき国だと信じ込むバカとの間に起った、いわば、戦後レジーム体制の維持を前提とした旧式の発想を支持する田舎者同士の小競り合いだったと言えよう。

両者とも、戦後レジーム体制を死守したいバカマスコミに煽られて、アメリカの指揮命令を前提とした防衛体制と、敗戦国として日本の防衛力は最低限の“自宅警備”に止めるという旧来のしきたりの範囲内での論争に収まるよう、いいようにコントロールされていただけに過ぎない。

筆者としては、安倍政権と時代遅れのデモ市民とが互いに激しく噛み合い、政府与党の支持率が低下することを願っていたが、肝心の支持率は思ったほど落ちることなく、期待外れに終わった。

さて、こうした政治面のいざこざの裏で、緊縮財政を押し進める(=財政政策を支持しない)連中の動きは活発だ。 来年度の防衛費の概算要求額が約5.1兆円と、今年度比でたったの2.2%増えたことを捉えて、早速、バカマスコミから“防衛費の聖域化を懸念”する声が巻き起こっている。

我が国にとって仮想敵国と言ってよい中国の今年度の防衛費は約17兆円に達し、前年度比で10.1%も増えており(5年連続の二桁増)、ここ10年間で4倍以上の規模に膨れ上がっているが、肝心の日本の防衛費は、ここ15年というものほとんど増えていない。

中国は、南沙諸島の環礁7カ所を違法に埋め立てて海上基地を建設し、日本ばかりかASEAN諸国との領土問題にも躊躇する様子を見せず、アジア海域での我が国のシーレーンの維持に重大な懸念が生じている。

こうした事態を見ぬふりをして、国債問題を盾に更なる防衛費の抑制に走ろうとする愚かな群盲どもには呆れると同時に激しい憤りを覚える。

誤った緊縮思考により経済政策を放棄し、長い間経済成長から取り残された我が国では、防衛費の増強は無論のこと、公共投資、科学技術、社会保障、医療、地方行政、教育など、あらゆる分野に積極的な予算を投じて、デフレ期に逸失してしまった膨大な成長の果実を取り戻さなければならない。

安倍首相は、安保関連法案の成立を受けて、「今度は経済対策だ」とほざいたそうだ。

恐らく、十八番の“地方創生”を梃にして経済対策を打つつもりなのだろうが、当の地方創生予算は、その財源も中身も単なる既存予算の付け替えでしかない。
しかも、政府与党の連中の大半は、緊縮思考に染まり切っているうえに、経済対策と株価対策とを混同しているとしか思えないほど低レベルの経済認識しか持ち合わせていないため、1~2兆円程度の補正予算と金融緩和や公的資金による株価対策の継続といった従来の対策をダラダラ続けるだけに終わるだろう。

彼らにとって重要なのは、来夏の参院選挙を乗り切ることであり、来年1~3月期のGDPさえ、そこそこ良い数値を出せば合格、くらいの軽いノリでしかないから、デフレ不況を脱却し、長期的な経済成長に向けて力強く歩を進めるような強い意志など微塵も持っていない。

安保関連法案に反対したデモ市民の連中は、今でこそ、“次回の参院選挙で、法案に賛成した自民党議員を落選させる”と息巻いているが、そもそも反対運動に参加した動機が、青臭い中学生みたいな自己顕示や自己認識に過ぎないから、どうせ長続きはしまい。

バカマスコミの道具として、せめて、内閣支持率の下落にでも役立つかと思ったが、案外大したことはなかった。
まあ、時代遅れの左翼運動なんて、所詮はこんなものか…

2015年9月11日 (金)

財政再建病患者同士のコップの中の諍い

平成29年4月からの消費税10%への引上げを睨んで、財務省から「日本型軽減税率」と称した負担軽減案が示された。

その内容は、一旦全品目に10%の税率を課したうえで、酒類を除く飲食料品については、税率2%相当額を後日、マイナンバー制度を活用して国民に給付する仕組だそうで、所得制限は設けず、高所得者も含めて広く薄く給付金を支給する構想のようだ。

このままだと、国民は、買い物時に、毎回レジでマイナンバーカードを提示するという面倒くさい作業を強いられることになるが、その割に一人当たりの給付金には上限が設けられ、その額は僅か年間4~5千円いうから呆れるよりほかない。(子供の小遣い以下である)

こうした動きに対して、個人情報保護の観点からマイナンバー制度の導入自体に反対し、そのついで今回の軽減案を批判する者もいれば、自民党の伊吹元衆院議長(周回遅れの財政再建派の代表格)のように「財務省にしては、みっともない案だ。福祉給付金のようなバラマキになる」と、せっかく懐に入れた税収の漏出を懸念する観点から批判する愚か者もいる。

今回の負担軽減案の細かい技術的な議論に足を踏み入れるほど、「消費税率10%への引上げ」という大枠が絶対に動かせぬ大前提と化し、肝心の議論が“何を軽減税率の対象品目にするか”、“どうやって還付するか”といった脇道に追いやられるだろう。

財務省の提案など無視して、あくまで、税率引上げには反対の立場を貫くべきだ。

だが、多くのマスコミは、財務省発の日本型軽減税率という子供騙しのトラップに見事に嵌まり(というより、財務省側の意図を忖度して)、“税率引き上げの是非”というそもそも論をすっ飛ばして、「10%への引上げは仕方ない。負担軽減分をどう還付するか」という方法論議に誤誘導している。

財務省や安倍政権の消費税率引上げの動きに対する要求レベルには、
① 税率10%引上げを前提とした軽減税率品目の拡大
② 税率8%のまま据え置き
③ 税率5%へ減税
④ 税率3%への減税
⑤ 消費税の廃止 など様々なオプションがある。

それぞれの考え方があるだろうが、筆者は、消費税の廃止やその先にある財政支出の拡大にまで強く踏み込んで訴えるべきだ。
相手の予想を遥かに超える要求を突きつけ、それを実現させない限り、疲弊し切った内需が回復することはあるまい。

ここ15~20年というもの、日本経済は、財務省や構造改革派議員主導による財政再建色の強い財政運営や税制に振り回されてきた。
緊縮財政や公共事業の縮減、規制緩和、増税といった難題が政府や与党から次々のバラ撒かれ、国民は何一つそれらに対処できないまま、経済の停滞を強要され、収入の減少を強いられてきたのだ。

今回の税率引上げ騒ぎも、細かい技術論の是非に議論を誘導されてしまうと、10%への引上げを是とする環境下で、どうでもよい方法論を巡り国民同士がいがみ合うことになりかねない。

5~6万円余計にカネを巻上げられたうえで、その内いくら返してもらえるのか、といったくだらぬ議論をする必要などない。
そもそも、余分なカネを巻上げられる必要がないことを、国民は自覚すべきだろう。

マクロ経済の動きを眺めれば、消費税率8%への引上げ後の様々な経済統計結果が示しているとおり、日本経済は重篤な状態から一歩たりとも回復していない。

GDP、家計所得、実質消費支出、消費者物価、設備投資、貸出金など、いずれの動きも一進一退(指標によっては「二退、三退」している)を繰り返すだけで、力強く漸増する気配は全く確認できない。

一時の株高による資産効果や大手企業の業績回復、外国人観光客の増加による消費の刺激などが派手に喧伝されるが、いずれもGDPに与える影響は極めて限定的かつ軽微なものに過ぎない。

緊縮的な財政運営により、国民所得自体が大きなキャップを填められて伸びを抑えられている以上、何かが派手に売れれば、他の何かの売上が減るだけのことだ。
中国人が化粧品や家電商品を爆買いする裏で日本人が外食を減らしたり、スマホの販売が伸びる一方で車やパソコンの販売量が激減したりする、といった代替消費を繰り返すだけで、国内消費全体が前進するわけではない。

豪華客船クルーズの予約が取れない、iPhoneが売れた(Appleウォッチは大惨敗)、といった些細な成功物語をつなぎ合わせるだけでマクロ経済を語ろうとする幼稚な意見も散見されるが、結局、GDPは微動だにしないどころか今年4-6月期では減少してしまった。

こうした現実を見れば、日本経済の採点簿が合格点に達していないどころか、落第レベルでしかないことくらい即座に判るはずだ。

経済とかGDPというものは成長するのが当然で、あらゆる社会機構や社会制度は、それを前提に設計されている。
本来なら、経済が足踏みしたり停滞したりするのはとんでもないことで、ましてや、マイナス成長などあってはならない非常事態だろう。

だが、原発再稼働や安保問題には、バカみたいにドンチャン騒ぎを繰り返す一部の国民も、経済問題に関する危機感は極めて甘い。
「日本は人口減少し、衰退を運命づけられている」、「1000兆円を超える国の借金をどうするんだ」と悲観ばかりを口にし、日本経済の成長を決して信じようとはしない。

原発や安保問題が直接の原因となり生命の危機に直面する不幸な者は、ほとんど一人もいないだろうが、経済問題は多くの国民の財産や雇用、人的ネットワーク、自尊心、さらに生命までも一瞬にして奪う即効性の毒薬のような存在なのだ。

これまでの骨太の方針による財政再建計画やTPP、農協改革、労働規制緩和、派遣法改正などの動きを見ても解るように、安倍政権は、経済成長や国民所得の向上なんかそっちのけで、「財政再建、構造改革、規制緩和」という経済破壊策三本柱を優先させている。

いまだに、“安倍政権は、経済政策で国民の目を欺き、安保問題や原発再稼働問題から目を逸らそうとしている”といった的外れな妄言を吐く者を見かけるが、彼らの目は腐り切っていると言ってよい。
国民所得を増やせてもいないのに、空回り気味の金融緩和と多少の株高程度が『経済政策』だと評価されるなら、小学生でも首相の任が務まるだろう。

今回の財務省による日本型軽減税率とやらに、ピーちく・パーちく文句を垂れている自民党や公明党の議員がいるようだが、評論家ではなく、卑しくも国会議員なのだから、外野からぐちぐち言っていないで、部下であるはずの財務官僚の首根っこを押さえつけ、彼らの暴走と止めるべきだろう。

まあ、財務官僚以上に財政再建病を患っている彼らに、そんな気概があるとは思えないが…

2015年9月 6日 (日)

財政再建を目的とする全ての経済政策は『失敗』に通ず

8月31日付の日経新聞「経済教室」に、『政府・日銀の通貨発行益 財政再建に活用は困難』という標題で、法政大学の小黒教授が論文を寄稿していた。

小黒氏は、論文のポイントとして次の3点を挙げている。

①通貨発行益に異なる複数の考え方が存在
②資金供給量(マネタリーベース)の増加分はやがて「出口」で減少
③高インフレで債務削減は大きな国民負担

本論は、全体的に奇妙な建て付けの論文なのだが、何よりも、「政府・日銀の通貨発行益」と銘打ちながら、後述のとおり、小黒氏の論文には「政府による通貨発行に伴う発行益(こちらが本筋の『通貨発行益』のはず)」に関する記載が一切見当たらない。

そして、小黒氏は、通貨発行益を次の3パターンに分類・定義している。
[定義1]マネタリーベースの増加分(新たに発行した通貨量)・・・約80兆円
[定義2]金利×マネタリーベース(日銀が購入した国債の金利収入)・・・2013年度/0.57兆円、2014年度/0.75兆円
[定義3]インフレ率×マネタリーベース(インフレ税により政府が得る利益)

氏は、マネタリーベースの増加額は、将来得られる金利収入の現在価値に一致するため、定義1と定義2との間に大きな差異はなく、マネタリーベースの増加に伴う利益を今期に全て計上する(定義1)か、将来に亘って計上する(定義2)か、という違いに過ぎない、と結論付けている。
また、定義3については、インフレ発生による実質ベースでの債務削減により政府の利益になる、と解説している。

歴史的に見れば、深刻な政務債務が積み上がった中でマネタリーベースが恒常的に拡大すると財政を支えるための通貨発行を抑制できなくなり、最終的に高インフレを誘発する場合が少なくないため、人為的な通貨発行益の捻出は、あくまで“邪道”であるというのが、氏の見方のようだ。

また、通貨発行益やインフレ税による財政再建は一種の増税策に過ぎず、突然の高インフレへの回避手段を持ち得ない家計に大きな負担を与えるとし、政府・与党は財政・社会保障の改革を真摯に進めるべきだと述べている。
つまり、国民はこの先も永遠に痛みに耐え、更なる緊縮財政と社会福祉の削減を受け容れよ、と事もなげに主張しているわけだ。

今回の論文に目を通して、まず、氏の通貨発行益の定義が無茶苦茶であることに呆れている。
通貨発行益といえば、「政府・中央銀行が発行する通貨・紙幣から、その製造コストを控除した分の発行利益(ウィキペディアより)」と説明されているが、政府と違って、中央銀行は、何らの行政権(無論、立法権も)も持っておらず、国民や企業活動に影響を及ぼすような施政行為を行う機関ではないから、中央銀行が独自に通貨発行益を得られるかのように語るのは不適当だし、何の意味もない。

通貨発行益は、政府が、中央銀行も発行する紙幣とは別に、国家の大権として通貨(紙幣を含む)を発行する際の発行額面とコストとの差異(利益)を指すものだと考えるのがノーマルな考え方だろう。
中央銀行の通貨発行益云々は、あくまで、政府に命じられて、その範囲内で中央銀行が行う通貨発行行為を限定的に指すものと理解すべきだ。
なぜなら、当の小黒氏も論文の中で認めているように、政府と中央銀行は相互のバランスシートを統合すべき一体的な存在であり、日銀が計上する通貨発行益(氏の言う定義2の金利収入)とやらは日銀が自由に処分できるものではなく、最終的に国庫納付金として政府に納付され、政府予算に組み入れられてしまうからである。

小黒氏は、政府が通貨発行権という大権を保有し、その通貨発行益を以って機動的且つ機能的に財政支出を成し得る事実を認めたくないのだろう。(認めてしまうと、氏の持論である緊縮政策の存在自体が、頭から否定されてしまうから…)

論文の中で、しきりと、通貨発行益とマネタリーベースを混同させるような表現を多用し、挙句の果てには「出口戦略の際にマネタリーベースが減少し、通貨発行損が発生する」とか「日銀当座預金に付利する0.1%の金利コストが増える」などと妙な言い訳をしているのに失笑するしかない。

だが、氏の論考は、脇役に過ぎない日銀を通貨発行益のメインプレーヤーであるかのごとく語っている時点で、すでに無意味な駄文でしかない。
あえて政府と日銀の役割をすり替え、通貨発行益の真の役割を貶めようとする悪質な意図を感じる。

また、論文には、「終戦直後の教訓生かせ」との副題が付され、戦中・戦後の政府債務残高が1945年をピークに大幅に減少したのは、高インフレに加えて、高い通貨発行益とインフレ税が発生した影響によるものだと説明している。
これなどは、「教訓」という言葉を用いて捏造すべきではなく、むしろ、過去の歴史に学び、「良いお手本」として踏襲すべきだろう。

インフレを敵視し、生まれたての小鹿のように怯えるだけでは、高度成長など到底実現できない。
インフレに恐怖するばかりでなく、過去の日本国民が実現してきたように、発生するインフレ率を軽々と超えるような所得の伸びを達成するための経済政策(中下位層への適切な分配策による漸進的な内需拡大政策)にこそ邁進すべきだ。

正直に言って、戦後の混乱期に、氏の言うところの「マネタリーベース発のインチキ通貨発行益」が発生していたとは思えない。
しかし、高度成長に伴う企業収益や家計収入の拡大、高位なインフレにより、対GDP比の政府債務比率が低減したのは事実であり、こうした史実は、チマチマした改革運動や緊縮策ではなく、高度な経済成長こそが財政再建問題を解決する最上の手段であることを雄弁に物語っている。

今回採り上げた小黒氏だけではないが、あらゆる経済政策を語ろうとする際に、「財政再建」を起点にすること自体が、そもそも間違っているのだ。

財政再建を目標にすると、もれなく緊縮策や構造改革みたいないかがわしい政策がセットになり、縮減と後退のスパイラルしか生み出さない。

経済政策において、最も重要なのは、国民生活の向上と国富の源泉たる生産力・サービス提供力の向上を図る視点である。
国民の所得を引上げ、国内企業の収益も引上げる、同時に、社会基盤を支える技術革新やサービス力が絶え間なく向上する経済環境を創出する、これこそが経済政策の大目標であり、「財政政策は時代遅れだとか、日銀の国債直接引受けや政府紙幣の発行は禁じ手だ」などといったタブーを設けて、手段の選択肢を自ら狭めることほど愚かな行為はない。

まさに、「成長からの逃避」であり「国民生活向上の否定」である。

大切なのは目標の達成であり、“構造改革しかない”、“金融緩和こそ正義だ”、“分配だけ考えておればよい”といった「幼稚な排他的一点突破主義(=●●万能論)」に染まり、細かな手段の清濁に拘っていては、いつまで経っても不況の渦から脱することはできない。

財政再建なんて、高度経済成長や国富の増進の延長線上で当然得られる些細な出来事の一つに過ぎない、いわば、高速道路上にあるSAやPAのようなものであり、長い行程の目的地や終着点には成り得ない。

「国民生活の向上と国富の源泉たる生産力・サービス提供力の向上」というゴールに向けて積極的に歩を進めれば、元々、資金力や技術力に優れた日本のことだから、経済の好循環が富を創出し、財政再建という小黒氏が大好きな(筆者にとってはどうでもよい)目標なんて、難なくクリアできると確信している。

2015年9月 1日 (火)

自覚症状のない「途上国病」

8月28日付けの日経新聞に、インドネシアのバンバン財務相へのインタビュー記事が載っていた。
記事の中で、バンバン財務相は、素材の加工や製造業など下流産業の誘致を強化すること、そのために法人税の一時免除の対象拡大や期間の延長を図ることなどを力説している。

これまで、ニッケル製錬等の基礎金属や通信機器製造など5分野に限られていた法人税一時免除の対象分野に、新たに4分野を追加するというもので、経済特区内の工場投資や造船、農水産品の加工業も対象にするそうだ。
また、最長免除期間も10年から20年へ延長するそうだ。(「一時」と言いつつ20年も免除なんて、気前が良すぎるのでは???)

“海外資本の積極的な誘致”、“そのための優遇措置や規制緩和”なんて、日経新聞の大好物で、早速、“日本もインドネシアを見習うべし”とでも言わんばかりに、ご丁寧にも、記事の概要版を1面に載せた挙句に、インタビューの英文をネットでも公開している。

今回、インドネシアが思い切った海外資本の誘致に注力するに至った背景には、急激な通貨安による貿易収支の悪化と最大の貿易相手国である中国経済の変調があるとされている。

多くの新興諸国と同様に、インドネシア経済は、成長率を凌駕するインフレに悩まされ続けているが、肝心の生産力がいつまで経っても独り立ちできないため、こうした状況が改善する兆しはない。

インタビュー記事と筆者が調べた内容から、インドネシア経済の概況や政策は、次のようなものだ。
・輸出商品は石油や天然ガスなど低付加価値のコモディティ中心、資源価格下落の影響により貿易収支が悪化
・中国経済の変調や米国利上げ観測の影響を受けてルピアが急落(2012年比で5割近く下落)
・自国製造業に競争力が備わっていないため通貨安ボーナスを活かし切れない
・輸出が減退し、外貨獲得よりもインフレのデメリットが先行し、為替のバランサー機能が破壊されている
・ここ3年のインフレ率は6.4~6.7%と同時期の経済成長率(4~5%)を上回る
・通貨安には中央銀行による国債買入などの介入で対抗する
・企業の税優遇措置を拡大し、外国資本による製造業の誘致を急ぐ

インドネシアが陥っている状況は、まさに、ダメな新興国の典型例と言え、1998年に起こったアジア通貨危機から一歩たりとも進歩していない。

バンバン財務相は、輸出競争力に劣る自国の製造業の現状に焦りを覚え、外国企業誘致のための税制優遇措置に前のめりになっている。

だが、異様とも言える優遇措置は、国内産業と外国企業との競争条件を著しく阻害し、ただでさえ資本力に勝る外国企業にシード権を与えるに等しく、両者間の格差を益々拡大させることになるだろう。
恐らく、製造業の外国企業依存度が高まる一方で、国内企業の淘汰がさらに進んで国家全体の産業競争力は低下せざるを得ない。

輸出できるのは、価格変動リスクの高い石油や天然ガスのようなコモディティ商品だけで、高い付加価値を産み出すはずの製造業は外国企業に無料(税の免除)で場所貸しするだけ。
自国に多大な所得と収益をもたらすはずのドメスティック企業は、無料で長時間居座るタチの悪い客(外国企業)に淘汰されるばかり。
そうなってしまえば、2億5千万人もいる自国民をどうやって食わせていくつもりだろうか。

実際に、バンバン財務相はインタビューの中で、自国内に進出した日系の自動車メーカーが、鋼材を日本から輸入するばかりで、自国の国営製鉄企業の製品を購入しないのはおかしい、と逆ギレ気味に語っている。
これは、単にインドネシアの国営製鉄企業の生産する鋼材の品質や供給体制に問題があり、買いたくても買うレベルに達していないだけだと思うが、外国企業への優遇ばかりで自国産業の育成が後手に回り続ける悪弊を放置したままでは、地元調達率が上がるはずがなかろう。

最後に、今回のインタビュー記事を読んで、ズッコケそうになったのは、中国との関係に関するバンバン財務相の発言だ。
財務相は、自国の貿易収支悪化の主要因が、中国需要の減少による資源価格の下落にあることを認識しながらも、「元とルピアの直接決済貿易を推進したい」とか「元建て国債の発行も来年には検討作業を始めたい」と述べている。

経済の不調が鮮明となり、先行きの見通しも相当ネガティブな中国経済の回復に淡い期待を抱く様は、負けを取り戻そうと必死の思いで台にしがみつくパチンコ中毒患者を想起させる。

そればかりか、あろうことか、元建て国債を発行するなんてバカげた発言まで飛び出す始末で、呆れるよりほかない。
ただでさえ自国通貨が不安定なのに、対元の変動リスクまで抱え込み、自国通貨の自主性まで棄損しかねない悪手に手を染めるとは、愚かとしか言いようがない。

彼らは、ドル建て資金を引上げられて大混乱に陥ったアジア通貨危機の教訓から何も学んでいないようで、蓋の空いた地獄の窯に、再び足を突っ込もうとしている。

今回採り上げたインドネシアばかりでなく、多くの新興国や途上国が、通貨安と国内資金の不足による“お約束の失敗のループ”を繰り返さざるを得ないのは、性急に結果を求めすぎるあまり、
・自国産業の保護育成
・技術革新やサービス力の向上のための不断の努力
・国内産業や国民への資金還流
・教育、勤労、貯蓄、納税という社会基盤の構築
という時間もカネも掛かるステップをすっ飛ばして、手っ取り早く海外から必要な資本や資金、技術などを引っ張り込んで楽をしようとするからだろう。

現在、安倍政権と与党は、縮小する国内経済に見切りをつけて、成長する海外市場(本当に「成長」できるのかどうか怪しいものだが…)を取り込むと意気込み、海外資本には「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」という幼稚なお約束を呈示して対日直接投資の呼び込みに励む一方で、国内企業には消費増税と緊縮財政、企業の新陳代謝(ゾンビ企業退治)という名の鞭を以って対峙しようとしている。

このまま、海外資本誘致と規制緩和による新自由主義的政策が続けば、国内産業は衰退の一途を辿り、先に示したような「重度の途上国病」を患ってしまう日が遠からず訪れるだろう。
一旦、途上国病に罹ってしまうと、完治できる保証はなく、悪くすると、誰とも戦火を交えることなく『第二の敗戦』を迎えることになりかねない。

他国と比べて高度レベルな技術力やサービスの供給力という国富が残っている今のうちに、国内産業の保護と養成に全力を注ぐべきだろう。

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