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2016年7月23日 (土)

B/Sなんて気にせず、政府や日銀をもっと働かせろ!

『ヘリコプターマネー、黒田日銀総裁が可能性排除=英BBC』
「日銀の黒田東彦総裁は英BBCが21日に放映したインタビューで「ヘリコプターマネー」の実施の可能性を排除した。
黒田総裁はインタビューで、日銀は必要に応じて一段の緩和を実施するためのメカニズムをすでに整えていると指摘。日本は財政政策と金融政策との間の明確な線引きをあいまいにしてはならないとの考えを示し、現時点ではヘリコプターマネー実施の必要性も、実施する可能性もないと述べた。(中略) 黒田総裁のインタビュー放映を受け、ロンドン市場では円が対ユーロで1%上昇した。」(7月22日ロイター)

黒田総裁がヘリマネ論者のバーナンキ元FRB議長と面談した(上記インタビュー後に、来日したバーナンキ氏と会合したらしい)くらいで、公の場で中央銀行総裁たる者がヘリマネ容認発言なんてするわけない。
報道後に為替が円高に振れたそうだが、為替市場のディーラーは、そんなことも予測できなかったのか?

ついでに指摘しておくと、現時点でのヘリマネ論は、国債の日銀直受けを財源とする大規模な財政政策を軸に語られており、“財政政策”の範疇であることは明らかだ。
よって、黒田総裁の「日本は財政政策と金融政策との間の明確な線引きをあいまいにしてはならない」との発言は誤りだし、仮にヘリマネが実行され、それが劇的な効果を発揮した際に、“あれは金融政策のおかげだ”と胸を張る権利を得ておきたいというリフレ派の卑しい根性が透けて見える。


さて、ヘリマネ論の是非は置いておくとして、ヘリマネや政府紙幣、ベーシックインカムなどの極めて積極的な財政政策論が語られると、どこからともなく、「政府や日銀のバランスシートが大きく棄損する」、「国債や通貨の信認が暴落し国家破綻する」といった批判の大合唱が沸き起こるから不思議なものだ。

筆者のように重度の積極財政金融論者は何の痛痒も感じないが、幼気な一般市民はそうもいくまい。
国の借金をこれ以上増やして大丈夫か?とたちまち自信を無くしてしまうのが関の山だ。

緊縮財政派、構造改革派、リフレ派の連中は、日ごろ日本という国家全体のバランスシートすら気に掛けないくせに、財政政策論議に火が点きそうになると、政府のバランスシートだの、日銀のバランスシートだのと騒ぎ出して火消しに必死になる。

知恵蔵2015によると、バランスシート(貸借対照表)は「決算時点など、ある一時点での企業の財務状態(資金の調達源泉と運用形態)を表すもの。損益計算書と並んで重要な財務諸表。」と解説されている。

要は、決算時点の企業価値を通貨換算で表現した指標と言ってよい。(ただし、実際の企業売買の現場では、バランスシートの評価額どおりに売却できるわけではない)

重要なのは、バランスシートの評価単位が「通貨たる“円”」に換算される点だろう。
企業の価値や評価は、とどのつまりは円という金額で評価するしかない、という当然だが意外と忘れられがちなポイントに気付かされる。

あらゆる経済活動が、通貨や貨幣を基点とする価値に立脚して営まれている以上、企業の価値はそれらが属する国家の通貨単位で評価されるのは当然であり、それ以外に適切な手段は存在しない。

では、企業価値の評価単位となる“円”とは、いったいどういう存在なのか。
我が国の法では、「通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。」と定められて (通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第2条第1項)おり、「通貨・貨幣=円」というのが常識だ。

我々は日常生活で何のためらいもなく円というお金(硬貨や紙幣)を使って買い物しているが、それがどこから産み出されるのかについて深く考えることはない。

言うまでもなく、硬貨は政府の権限により発行され、紙幣は日銀が発行している。
政府や日銀は適切な経済環境を維持するための政策手段として、通貨の創造主たる役割を負っているのだ。

家計や企業が何の疑問も持たずにお金を使えるのは、政府や日銀、有り体に言えば、広義の意味において政府(日銀と雖も政府の一機関に過ぎないとの解釈)が発行しているからだろう。
つまり、貨幣国定説が当たり前のように機能し、「円=政府・日銀が発行する価値の保証された通貨」という考えが普遍的に受け容れられ、「円=政府・日銀≒国家そのもの」というレベルにまで深化しているのではないか。

日本国という堅牢な国家を後ろ盾にした政府や日銀の存在こそが“円”そのものである以上、政府や日銀のバランスシートが棄損する云々というバカげた議論は無論のこと、それらにバランスシートの考え方を適用すること自体が不適切だ。

バランスシートなんてものは、命脈や寿命に有限性のある経済主体に対して行えばよいのであって、通貨の創造主たる政府や日銀の資産査定なんて、あたかも、創造主を相手に健康診断を行うようなものだろう。
また、政府や日銀が他者に売却されることなんて永久にないのだから、両者の価値を数値化したり、資産査定したりすること自体が、不要かつ有り得ないことだ。

今回採り上げた政府や日銀のバランスシート懸念論は、財政政策論議が燃え広がるのを防ぐための消火剤として、他の財出出口戦略とセットで常備されている妄言であり、借金嫌悪症患者の多い日本では特に効き目が強い。

政府や日銀のバランスシートを気にし過ぎるバカ者には、くだらぬことに興味を持たず、おとなしく自分のお小遣い帳でもつけていろと言っておきたい。

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コメント

そういえば、何時から
「国の借金」とか「消費税増税、法人税減税」とか「インフラ整備や更新までもバラマキ」だとか
バカバカしい思想が蔓延ったんですかね

そういう連中に限って一般人より安全な場所にいるんですけどね
このままいけば確実に自分たちの方にも危険が来るだろうに…その前に寿命が来るとか考えてそう

≫K・Kさん

インフラという揺りかごで安眠出来ていることを理解しようとしない恩知らずは、日本に住む資格などありませんよね。

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