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2016年7月14日 (木)

国民経済の立て直しには、「対策や施策」ではなく、腰を据えた『政策』を!

先週行われた参議院議員選挙は、報道のとおり、改選前より13議席の大幅減に終わった民進党の大負けと与党側の勝利(自公合わせて改選前比10議席増)という残念な結果に終わった。

与党側の現職大臣が2名落選し、全国に32区ある一人区で野党統一候補が11議席を獲得したという結果に配慮して、一部には、野党善戦との評価もあるようだが、参院全体の勢力図を見れば野党側の惨敗という結果は動かしがたい。

選挙期間中の世論調査でも与党有利との情報が流れていたが、この手の情報は、浮動層の投票意欲を削ぎ、投票率の低下につながることが懸念されるため、有権者に余計な予断を与えぬようマスコミによる公示後の議席予測報道は禁止すべきだと思う。


さて、今回の選挙結果を受けて、12日に、安倍首相から、脱デフレに向けた10兆円規模の経済対策を行うことが発表された。

経済対策の中身として、震災復興・子育て支援・年金受給資格期間の短縮・給付型奨学金の検討・リニア新幹線開業時期の最大8年前倒し・中小企業の資金繰り支援・クルーズ船向け港湾整備などが挙げられたほか、最低賃金3%引上げも盛り込まれるようだ。

対策として目新しい項目(リニア関連)や緊急性の高い項目(年金や奨学金、インフラ整備など)もあるようだが、全般的に、これまで経済財政諮問会議で論じられてきた対策の延長の域を出ていないし、10兆円という予算規模も小さ過ぎる。

10兆円と言ったところで、中小企業の資金繰り支援のようなニーズのない事業(※資金繰り対策用の融資制度なんて既に掃いて捨てるほどあり、いずれも利用実績は低調)で予算総額を嵩増しされるのがオチであり、デフレ脱却への本気度を見せ経済主体へのサプライズを与えるつもりなら、真水で40~50兆円くらいのインパクトが必要だろう。

また、財源論についても、建設国債発行や財政投融資活用が検討されているようだが、早速、頭の悪い財務省やマスコミの連中から、「財政健全化計画に赤信号が灯る」だの「効果の薄い公共事業は止めろ」だのとくだらぬ批判が沸き起こっている。

筆者は、「安倍首相個人、並びに、政権中枢に居座る政府首脳の経済政策に対する認識は、新自由主義に基づく改革・緩和臭が極めて強く、財政運営に対するベクトルも、明確に緊縮路線を志向している」と捉えており、今回の経済対策にも期待していない。

7月13日に開催された「平成28年第12回経済財政諮問会議」でも、高橋・伊藤・新浪・榊原ら民間メンバーから提出された資料(今後の経済財政運営と2016年後半の経済財政諮問会議の課題)には、「経済財政運営の基本的取組方針」として、①内需の下支えに向けた短期的な対策 ②成長力を強化する規制改革等の構造改革 ③世界一ビジネスしやすい環境整備に向け取組を加速が列挙され、旧来の“サプライサイド偏重型思考”にはまり込んだままだ。

さらに、「経済対策の考え方と重点事項」と銘打ち、“未来への投資、子育て・健康・働き方改革の一体的推進、成長に向けた21世紀型のインフラ投資、潜在成長力の強化”というフワフワした言葉を並べて、目の前にある経済危機への対策を怠ろうとしている。

肝心のインフラ投資も、インバウンド需要への対応強化としてクルーズ船向け港湾施設等の整備とあるが、本来なら、いつ来るかも判らぬクルーズ船対策ではなく、恒常的に発生する地域産品の域外輸送用として全国各地にある港湾設備の能力向上に努めると謳うべきだ。
クルーズ船の寄港地は、形式上全国に数十カ所あるが、収益ベースで実稼働しているのは、せいぜい20港程度だろう。

何より問題なのは、件の民間メンバーらによって別途提出された「平成29年度予算の全体像に向けて」という資料に、“2020年度PB黒字化の達成に向けた歳出改革の着実な推進”を行うと明記され、地方の歳出水準の見直しや社会保障の給付と負担の適正化、公的分野の産業化など、お得意の「ワイズスペンディング」を掲げて歳出抑制色を打ち出している。

安倍政権の経済対策は、これまでの施策の焼き直し的色彩が強いうえに、彼らが信奉する新自由主義的枠組み内で渋々行うストップ・アンド・ゴー政策に過ぎない。

補正予算のような単発あるいは単年度型の施策は、長期的な民間投資を誘発し、家計所得を持続的に拡大させるような効果に乏しい。
また、予算の出し手である行政サイドも時限的な問題もあり、どうしても形式上の辻褄合わせと予算消化だけを目的とするやっつけ仕事になりがちなため、やらぬよりもやる方がマシではあるが過度な期待は禁物だろう。

そもそも、デフレ脱却と国民経済の回復に本気で取り組むつもりなら、取ってつけたような補正予算でちょこちょこ対応するのではなく、初めから本予算を大幅に増額して恒常的な政策として対応すべきだ。

デフレ不況のような国を焼き尽くす勢いの大火を鎮火するには、補正予算のような“その場凌ぎの施策”では力不足であり、強靭な意思の下で継続的に実行される“政策”が不可欠であろう。

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