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2016年10月 3日 (月)

インチキヘリマネ


『日銀政策「ヘリマネに似ている」 前FRB議長が指摘』
(2016年9月26日 朝日新聞デジタル)

「日本銀行が新たに導入した長期金利を「ゼロ%程度」とする目標について、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長がブログで、政府の借金を中央銀行が直接引き受ける「ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策」に似ているとの見方を示した。
(中略)
長期金利目標については「最も驚きで、興味深い」と言及。「(中央銀行が政府債務を肩代わりする)あからさまな財政ファイナンス、いわゆるヘリマネに、日銀の黒田総裁は反対を表明してきた」としながらも、「政府の借入金利を無期限でゼロに維持する政策は、財政ファイナンスの要素がある」と説明した」

FRB議長に就任当初は、どこぞのリフレ派学者(「教科書を読め!」でおなじみのあの人…)から「新皇帝」とまで煽てられたバーナンキ氏だが、在任中には大した実績を残せず、「財政政策を伴わない量的緩和政策は、良きにつけ、悪しきにつけ、物価に与えうる影響は極めて軽微である」という事実を証明しただけに終わった。

そのバーナンキが、日銀の金利水準目標をヘリマネに似ていると“好意的に”評したそうだが、単なる事実誤認か、彼の発言を誤訳したのではないか?

金融経済用語集によると、ヘリコプターマネーとは、「ある日、ヘリコプターが飛んできて、空から現金をばらまくように、中央銀行または政府が対価を取らずに大量の貨幣を世の中に(市中)に供給する政策」を指すと説明されている。

ヘリマネに対しては、賛否両論がある、というよりも、現実には反対意見が圧倒的に多いのだが、その政策の肝は、「大量の貨幣を世の中(市中)に供給する」点にあり、ここを外したヘリマネ論議にはまったく意味がない。

バーナンキ氏は、日銀による金融市場への資金のブタ積みや効果の疑わしい長期金利目標を指して、ヘリマネの要素を含んでいると評しているようだが、日本版リフレ政策は、「大量の貨幣を世の中(市中)に供給できていない」という点において、ヘリマネの足元にも及ばない。

そもそも、黒田総裁をはじめ、日銀首脳やそれを擁護するリフレ派の連中の考えは、金利水準やマネタリーベース量の操作を通じた予想物価上昇率の引上げと実質金利予想の低下を梃に、民間投資や消費の自助喚起をベースとする発想であり、“中央銀行または政府が対価を取らずに大量の貨幣を世の中に(市中)に供給する”つもりなんて、1ミリもないのだが…。

新たに導入された長期金利ゼロ%目標という奇策も、イールドカーブ・コントロール云々という小難しい理屈はほとんど無関係で、単に、国債市場の需給がタイトになり日銀が国債買入のスピードを緩和せざるを得なくなった、という裏事情によるものだろう。

本来、国債市場がタイトになった(=新発債の不足)のなら、日銀サイドから政府に対して、大胆な財政政策の発動を呼び掛けて、新規国債を大量に発行するよう求めるべきなのだが、黒田総裁から、そういった趣旨の発言を聞いたことは一度もない。

黒田総裁も、日銀の連中も、あくまで、金融政策の一本足打法のみでの課題解決に拘っており、ヘリマネはおろか、財政政策に頼る気なんてさらさら無く、バーナンキの日銀に対する評価は明らかに買いかぶり過ぎと言ってよい。

総務省が公表した8月の家計消費支出は、前年同期比で実質値マイナス4.6%(名目値マイナス5.1%)と、ここにきて大きく落ち込み、消費低迷による再デフレ化懸念が鮮明になっている。
もはや、ちっぽけな倫理観に拘っていられる状況ではなく、内需喚起に向けて、一刻も早い対策が求められている。

ヘリマネに対しては、国民の労働意欲を喪失させる、円の信用が暴落する、日銀のB/Sが棄損するなどといった批判が根強いが、グダグダ文句を垂れているうちに、我が国は脱出不可能なデフレスパイラルの渦に巻き込まれかねない。

「財政出動による公共事業だ」、「消費税廃止による減税が先だ」、「低所得者層への給付金をやるべきだ」と三者三様の争いをするのではなく、政府や日銀は、内需の刺激に必要な政策を総動員し、国民一人一人が“ここまでやるのか…”と呆れるくらい大規模かつ積極的な姿勢を示す必要がある。

老朽化したインフラの整備、全国に行き渡る新幹線網の整備、消費税の廃止、低所得者層や子育て世代への新たな給付金制度の創設、福祉業界職員の給与UP、難病治療費の全額負担等々、国民のwishリストをすべて満たすくらいの強烈な刺激がないと、絶対零度にまで冷え切った家計のマインドを溶かすことはできない。

これらに加えて、筆者は、ヘリマネ発動による社保・租税の減免を求めたい。
給与明細の支給額と手取り額との間には、2割くらいの差がある(支給額×0.75~0.8≒手取り額)が、ヘリマネ(別に、日銀の直受けや政府紙幣発行でも構わないが…)を財源として、この差額分の50~75%くらいを直接的に支援すれば、家計の手取り額は大幅に上がり所得UPをダイレクトに実感できるし、ヘリマネの趣旨でもある「大量の貨幣を世の中に(市中)に供給する」ことにもつながるはずだ。

バーナンキ氏ほどの人物が、日銀の金融緩和ごっこをヘリマネ呼ばわりするなんて、まさに失笑ものの失態であり、効果の出ない政策で愚図愚図と時間稼ぎする日銀の尻を叩き、真のヘリマネを実現するよう鞭を入れるべきだろう。

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コメント

そもそも日銀がFRBの了承なしに金融政策を決定しているとは思えない。こんな茶番をしている暇があったらヘリマネでも財政出動でも何でもいいからさっさと市中にマネーをばら撒けといいたいところです。

まあ、そんなことしたら景気が良くなってしまうのでやらないでしょうが。

徹底的に構造改革を達成するまでは、なんだかんだと無意味な政策に言い訳しながらお茶を濁すつもりでしょうね・・・

≫かきすけさん

同感です。

見せ金ではなく、使える金をどれだけ効果的にバラ撒けるかに、デフレ脱却の答えがあります。

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