無料ブログはココログ

リンク集

« 高校生からもバカにされる「本物の痴識」 | トップページ | 通貨の価値は国力で決まる »

2016年12月15日 (木)

金持ちがインフレを嫌う理由?

筆者は、以前から、積極的な財政金融政策の実行による豊かで力強く成長する社会を目標にブログを書き、「進撃の庶民(http://ameblo.jp/shingekinosyomin/)」管理人様のご厚意により、同ブログにも寄稿の機会を頂いている。

20年もの長期不況が社会に与えた影響は凄まじく、若者を中心に好況期を知らぬ層が増え、国民の間に、「身の丈に合った生活で慎ましく暮らせればよい」、「少子高齢化社会を迎える日本はもう成長できない」、「日本の衰退は歴史の必然」といった諦観論が蔓延しつつある。

構造改革派やリフレ派(ついでにエセ教科書学派の1名様も)の連中は、生産性向上こそ経済成長の源泉だと主張するが、国民がすっかりヤル気を失くしてしまっては、生産性UP云々を語る以前に、国内の供給力水準を維持することすら困難になるだろう。

筆者の主張は、漸増的な経済成長とその果実の適切な分配を前提としているが、物価の在り方についても、当然、デフレではなくマイルドなインフレを想定している。
インフレ率の幅は、景気対策のアクセルを踏み込む当初は7~8%程度まで容認し、以降4%前後の水準を維持するイメージだ。

しかし、国民がすっかりデフレ病に飼い馴らされ、デフレ継続を前提とする社会構造を望むようになってしまうと、「インフレ=危険・害悪」という間違った観念が拡がり、経済成長そのものが疑問視、あるいは、敵視されてしまう事態になりかねない。

近年では、庶民層のみならず、富裕層もインフレを嫌悪していると聞く。
その理由として、「インフレになれば貨幣価値が下がり、持っている預貯金が目減りする。だから、富裕層は、何もしなくても資産が増えるデフレを好む」という説明を聞くことが多い。

彼らの口から、積極的な経済政策による経済成長を求める声を聴くことは皆無であり、富裕層がデフレを容認し、インフレを嫌っているのは事実だと思う。

だが、筆者は、“保有する資産価値が目減りするから富裕層がインフレを嫌う”という説明が、どうにも腑に落ちない。

富裕層の資産構成について、『富裕層はなぜ資産運用として不動産を活用しているのか?海外と国内の富裕層に違いはあるのか』
(https://familyoffice.estate/search_list_magazines/detail/83)』というコラムによると、
「世界の富裕層と日本国内の富裕層を比較してみると驚くべきことがわかる。
資産内訳は、なんと世界の富裕層の現預金が資産全体の26.6%に対して国内の富裕層は約半数を占める43.8%と言われているのだ。
一方、不動産資産の割合はどうだろうか。
世界の富裕層は18.7%に対して日本の富裕層はさらに低い11.4%にとどまっている。ちなみに株式等の有価証券の割合は資産全体の24.8%(世界の富裕層)、20.7%(日本国内の富裕層)となっている」
そうで、日本の富裕層の資産構成に占める現預金が、他国と比べてかなり高く、リスク資産の割合が低いことが判る。

一方、野村総研のリポート『日本の富裕層は101万世帯、純金融資産総額は241兆円 ~ 2年間で世帯数は24.3%、純金融資産総額は28.2%増加 ~』によると、
「2011年から2013年に、富裕層および超富裕層の保有する純金融資産総額は、それぞれ16.7%、65.9%増加し、合わせて28.2%の増加となりました。(中略)
富裕層および超富裕層の保有する純金融資産額の増加が著しい理由は、保有する金融資産に占める株式や投信の比率が高いことが考えられます。(後略)」
とのことで、リスク資産の割合が低いとはいえ、株価上昇による果実や恩恵を十二分に享受していることが判る。(一般家庭にはほとんど恩恵はないが…)

つまり、富裕層は、インフレによる資産価値の目減りなんて気にしていないし、気にする必要もないのだ。

一般的に、有価証券や不動産、貴金属といったリスク資産は、好況期やインフレ期に値上がりし、そこから産み出される配当や不動産収入も増加する傾向にある。
また、市中の金利も上昇するだろうから、預貯金の利子も増え、かつてのように1億円の預金があれば働かなくても済むような時代が来るかもしれない。

インフレは、確かに貨幣価値の下落を招くかもしれないが、貨幣の活躍の場は間違いなくデフレ期以上に増えるのだ。

富裕層の保有資産がフル稼働し、強みを発揮できるのは、明らかにデフレ期ではなく、実体経済が活況を呈するインフレ期であるはずだ。

よって、単純に「インフレ=貨幣価値の減少=資産価値減少=インフレはキライ!!」という公式は成り立たないのではないか。

デフレは資産価値を向上させる云々は現金のみに通用する話で、デフレ期に有価証券や不動産価格が低迷や低下を余儀なくされた事実を見れば、「デフレ≠リスク資産価値向上」とも言え、富裕層がこれを歓迎するインセンティブが見当たらない。

筆者は、富裕層がインフレを嫌う理由は、冷厳な経済分析によるものなんかではなく、極めて感情的な理由に起因するものだと思う。

そもそも、富裕層に属する個々人は、経済的側面から資産価値と物価動向とを結び付けて比較検討するほど勉強熱心ではなく、「インフレになると、貨幣価値が下がり資産価値も減る」と頭を捻るような人種でもない。
デフレの怖さも知らず、インフレになると物が高くなって困ると愚痴をこぼす…
そこいらの庶民と何ら変わらない。

「インフレ=物価高騰という思い込み」
「不況期に苦しむ庶民が自分たちに向ける妬みや嫉みに対する反発心」
「格差問題が拡がり、自分たちが批判の的になることへの恐怖心」
「自身の努力と才覚により資産を形成してきたという強い自負心」
「自助の精神に対する過度な思い入れ」
「公助や共助を求めるのは努力不足の怠け者の証という思い込み」
「弱者救済につながる政府の経済対策は、自分たちが支払った税金の無駄遣いだという妄想」

富裕層の連中が、インフレを嫌う理由は、案外、こんな単純な感情的反発によるものだろう。

“大した努力もせず、何の才覚もない奴らが、自らの非才を棚に上げて富裕層を嫉むなんて怪しからん‼”

“あんな奴らのために、自分たちが払った高額な税金が使われるなんて腹が立つ”

“景気対策や財政政策なんてトンデモナイ”

“多少の不景気でも自分たちは困っていないから、余計な事をして貧乏人を喜ばせる必要なんてない”

“(好況をもたらすような)インフレはキライ”
という具合に、富裕層特有の歪んだ嫉みや被害者意識が、インフレの足を引っ張っている。

筆者は、リフレ派やエセ教科書学派の連中みたいに、インフレ予想やインフレ期待が民間投資を刺激できるとは思わない。
今のように、デフレが深刻な時期なら、「インフレ懸念」しか起こらぬだろう。

だが、庶民や富裕層が不況慣れし、インフレを嫌うあまり、将来の経済成長を諦め、前進を恐れるようでは、日本の途上国化に歯止めが掛からなくなってしまう。

筆者は、庶民や富裕層に属する個々人が、経済の仕組みに強い関心を持つような時代が来る可能性なんて100%ないと割り切っているが、せめて、景気を良くしてほしい、給料を上げてほしい、誰もが十分な年金を貰えるようにしてほしい等といった願望や欲求を、もっと素直に、もっとストレートに発露し、訴えてほしいと願っている。

国民が諦めてしまえば、この国が発展することはない。

« 高校生からもバカにされる「本物の痴識」 | トップページ | 通貨の価値は国力で決まる »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1436015/68852459

この記事へのトラックバック一覧です: 金持ちがインフレを嫌う理由?:

« 高校生からもバカにされる「本物の痴識」 | トップページ | 通貨の価値は国力で決まる »

最近のトラックバック

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31