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2017年1月26日 (木)

外注依存は周回遅れ

1月21日(土)の日経新聞「大機小機」に、「米大統領の貿易観は間違いだ」というコラムが掲載されていた。(執筆者:隅田川)

コラムの要旨は次のとおりだ。

○米国のトランプ新大統領は、中国、日本などとの貿易収支が不均衡(米国が赤字)であることを大きな問題と認識しているが、この考えには大きな誤りだ。

○そもそも、一国の貿易収支の赤字を是正すべきだとする経済理論自体が存在しない。貿易収支の均衡を政策目標に掲げている先進国もない。「貿易収支が赤字だから、経済パフォーマンスが悪化する」という関係は全く見られない。

○ましてや、米中・日米貿易収支のような2国間の不均衡を是正すべきだという経済理論などあるはずがない。一国の輸出先国と輸入先国の構造は異なるのだから、2国間の収支が均衡しないのは当たり前だ。

○(トランプ大統領は)貿易交渉の目的は輸出を増やすことなのだから、貿易赤字は悪い交渉をしてきた結果だと考えているのではないか。

○あたかも企業を経営するような目で貿易を見ており、中国や日本に支払う金額が受け取る金額より大きいから「損をしている」と考え、これらの国との「ディール」をやり直して損失を減らそうとしているように見える。

○貿易の世界では輸入はマイナスではない。日本は大量の石油を輸入しているが、これが途絶えたら経済は大混乱する。欲しいと思うから輸入しているのであり、いやいや輸入しているわけではない。

隅田川氏は、各国の貿易は世界単位では収支が均衡するものの、2国間で不均衡が生じるのは当然で、必要に応じて行われる輸入や貿易赤字に文句を言うべきではない、と主張している。
たしかに、「貿易赤字=悪」とは限らない、という氏の主張には一理ある。

だが、グローバリズム礼賛的な発言の目立つ隅田川氏の真意は、もっと別のところにあるのではないか。

要は、彼がシンパシーを抱く日本や中国の輸出型グローバル企業が不利益を蒙らぬよう、
・最大の消費国たるアメリカで、関税強化や内製化促進の機運が醸成されるのを防ぎたい
・自由な資本移動に対する制限が掛かり、雇用コストが高騰するのを防ぎたい
・TPPのように、強者がより強者になれる都合のよい貿易協定を死守したい
と云わんがために、貿易収支不均衡容認論を説いているだけに過ぎない。

氏は、“貿易(交渉)の目的は輸出を増やすこと”と指摘するが、それだけではない。
産業育成と技術革新や流通革新により、不必要な輸入を減らし、それを国内産業化(=内製化)していくことも大きな目的の一つである。

隅田川氏は、日本が石油を輸入するのは当然だと言っているが、こうした思い込みが産業発展の芽を摘んでしまう。
今後、化学製品原料としての石油の地位に揺るぎはないかもしれぬが、鉱物資源として永遠に依存すべきものであるとは限らない。

近年、注目を集めるシェールオイルやオイルサンドなどに代表される非在来型資源のように、石油の一部代替を図るべく、日本近海に分布するメタンハイドレートの開発に資金や資源をぶち込むなど、輸入代替品の開発を通じて国内産業の育成と技術開発に国を挙げて取り組めばよい。

氏のようなグローバリストは、サプライチェーンや製造拠点の海外分散化を無批判に礼賛し、「わざわざ高いコストをかけて国内で造らずとも、海外から安く調達すればよい」と判断しがちだが、そうした安易な低コスト依存体質が、先進諸国の雇用や所得を蝕み、技術力の低下を招いてきたことを猛省すべきだ。

“欲しいと思うから輸入するのだ”と甘い顔をしていると、近い将来、先進国からまともな雇用が消失し、中間層の壊滅による総貧困化という課題に直面することになるだろう。
先進国が購買力を失っては貿易どころではない。
中国やメキシコをはじめ、海外資本頼みの輸出依存国は、いったいどこの誰にモノを売るつもりなのか。

欲するだけ外国からモノを買い続けるのは、不健康な食欲異常者に食べたいだけ甘いものを与えるのと同じ類の愚行であり、情勢に応じて外部から摂取する食事を制限すべきだ。

輸入代替品の開発や内製化は、産業の育成・発展の基礎であり、“欲しいと思うモノを外国ではなく、国内から買う”という国内循環を高めることで、対内投資が増え、実体経済を循環する資金量や速度も高まり、国内経済の付加価値向上に大きく寄与するだろう。

「安く造れる国に頼めばいいや」ではなく、「アレは日本で造れないか、コレも日本で造れないか」と内製化する気迫と努力こそが、国内産業の高付加価値化と雇用の創出、所得の向上につながる。

グローバリズムに甘えて製造拠点を海外に放り出し、外注任せのオンデマンド型経済に依存する時代は終わったのだ。

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