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2017年1月23日 (月)

金融緩和政策の最大の功績は、”リフレ派を黙らせたこと”

 

今回は金融緩和政策の成果を主張するブル二郎さんの論説を取り上げ、私見を述べてみたい。(http://ameblo.jp/7733aaa/entry-12238511815.html

 

ブルさんの主張は次のとおりだ。

 

1)貸出増加・・・量的な問題だけであれば、日銀国債保有400兆なんてのは不要です。まあ30とか50兆で十分でしょう。

ちなみに経済学者や評論家がいう「流動性の罠」は単なるデマですが、資金需要及び貸出増加に限界があるのも事実・・・ここはすでに過去に書いたけど、その内気が向いたら書きます。

 

2)イールド形成(金利水準形成)

これは効果抜群。長期金利はほぼ0

日本全体で10兆程度の金利負担軽減効果があります。

 

3PB改善

現在長期国債の新発金利はほぼ0。異次元緩和のお蔭で政府の国債利払い費用

は仮に新発債年50兆金利1.5%低下で毎年7500億軽減されています・・・暇な人

特に異次元緩和に効果なし、とかいってる知的障害あると思われる人はしらべなさいね。

 

4)為替

日銀当座に大量の残高、潜在的な円売り圧力にはなります。

為替の決定要因は複雑ですが、少なくとも円高になる方向の効果はありません。

金融政策の効果は絶大、ではなぜさほど景気が過熱しないのか?

答えは景気過熱まで金融政策単独では難しいから」

 

 

先ず、貸出増加と流動性の罠の有無について述べてみる。

 

日銀資料を見ると、国内銀行の貸出は確かに伸びている。

H28/10時点の総貸出額(都銀・地銀・信金・信組)464兆円と、前年同月比2.4%増えている。ここ3年間でもH27(+3.2%)H26(+3.2%)H25(+2.8%)と増えてはいる。

 

だが、預金の伸びに比べると見劣りする。

直近3か年の国内銀行の預貯金の伸びはH27(+2.7%)H26(+3.1%)H25(+4.5%)と、貸出の伸び率と大きな差はないが、昨年4月以降は両者の乖離幅が拡がっている。

 

H28/4以降の貸出平均伸び率が2.4%なのに対して、預貯金は5.9%と倍以上の開きが生じている。

 

直近の貸出平均金利が1.106%と歴史的な低レートで、さらに、日銀の国債保有額が400兆円を超えるようなメガトン級の量的緩和が断行されている割に、貸出の伸び率はたいしたことはない。

財政政策が旺盛で景気が爛熟していた80年代(※金融政策は景気を引き締めるだけの脇役)なら、貸出の対前年伸び率は810%くらいをキープしていたのと比べると、今の2%前後という数字はいかにも寂しい。

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/mkr/data/kmr01j10.pdf

 

また、流動性の罠の有無については論じるまでもない。

 

日本だけではなく、「金融緩和+緊縮財政」という誤った選択をした国は、雁首揃えて罠にどっぷり嵌まりこんでいる。

 

金融機関が貸出原資となる実弾(=預貯金)をたっぷりと抱え込み、それが、民間企業や家計による投融資という経路で十分には発射されず、さらに在庫が積み上がるという状態が長年続き、終息の気配はない。

 

その証拠に、預貯金と貸出との差額(=預貸差)は、本格的な量的緩和政策スタート時の205兆円から、直近では253兆円まで48兆円も増えている。

 

 

次に、長期金利低下による金利負担軽減効果について、参議院予算員会で使われた『低金利かもたらした家計から企業への所得移転(参院予算委調査室 福嶋博之氏)』という資料では、次のように指摘している。(※少々データが古いが、低金利トレンドが継続されており、現在でもほぼ通用する内容と思われる)

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h19pdf/20074001.pdf

 

 

①長期化する低金利による家計の受取利子は、H3/38.9兆円→H17/3.5兆円まで35.4兆円も減少(1/10以下‼)したが、ローンなどの支払利子は22.9兆円→13.7兆円と9.2兆円しか減っておらず(たったの3/5程度)、純利子所得は大幅な支払い超過となった。

 

H3H17まで14年間の家計の逸失利子は累計で249兆円にも上り、その分だけ投資や消費に回せるカネが喪失したことになる。

 

③一方、同期間における企業の支払利子負担軽減額は264兆円にもなり、家計と企業間で所得移転が起こったと言える。

 

本来なら、家計の逸失利益を拾った企業側が、積極的な投資や労働分配率の引上げに着手しておれば、再度、家計への所得移転が起こったのだろうが、企業側の態度は冷淡で、せっせと内部留保を溜め込み、肝心のサラリーマンの平均給与は低下したままというのでは、せっかくの金利負担軽減効果がまったく発揮されていないではないか。

 

要するに、家計のロスと企業のプロフィットが相殺され、マクロ的な経済効果は中立に近いとしか言えない。

 

三番目のPB改善効果だが、筆者にとって、そもそも、PB改善(→税収増=投融資や消費の縮小)など何の意味もない指標であり、その改善云々にほとんど興味はない。

それどころか、需要不足に起因するデフレ不況を克服するために、積極的な財政支出による、さらなるPB赤字の拡大が必要だと考えている。

 

念のためデータを確認してみると、PBの数値は、量的緩和政策が始まったH25/37兆円→H28/26兆円(見込み)と徐々に回復しているが、それでも26兆円ものアンバランスに止まる。

 

量的緩和という言葉すらなく、単純に財政政策だけを行っていた時期(S63H3)PB値は+8兆円~+12兆円と、今とは比べ物にならぬくらい良好な数値を誇っていた。

それらと比較すると、金融政策による改善幅など大した額ではない。

 

その証拠に、H28/▲26兆円という数値は、バブル崩壊後(7兆円)~橋本行革期(18兆円)や今ほど金融緩和に熱心でなかった時期(H19/10兆円)辺りと比べても見劣りする。

 

要は、PB改善といっても、歳入サイドや他の支出項目マターの要因も大きく、改善=経済成長とはならない(実際に成長できていない)から、これを金融緩和政策の手柄呼ばわりするのは無理があり過ぎるし、せっかくPBが改善しても、それを原資とする新たな積極財政が打たれぬ限り、実体経済にプラスの効果は生まれない。

 

最後の為替効果について、それが円安効果のことを言うのならほとんど無意味だ。

 

日本人は直ぐに円安=国益と勘違いしがちだが、デフレで国力が弱っている時期の“円安”は、輸入コスト増加、エネルギー資源の高騰、食糧水産物や鉱物資源などの買い負けを惹き起こし、特に家計や中小企業に大きなコスト負担を課すことになるから、功罪相半ばする(=マクロ的効果は中立に近い)としか言えない。

 

S55H25まで35年もの長期間における為替レートと輸出額の推移を比較すると、円ドルレートは226円→121円と、円の価値は1.8倍以上に高騰したが、その間の輸出額は29兆円→75兆円にまで2.5倍以上に増えている。

より短い期間、例えばH10H25で見ても、130円→121円の円高傾向にも拘らず、輸出額は50兆円→75兆円に増えている。

 

さらに、旺盛な対米対中輸出に支えられ“実感なき経済成長”と揶揄された小泉バカ政権下の為替レートは、$120円を超えるかなりの円安だったが、輸出額自体は5055兆円ほどと今よりかなり少ない。

 

他の年度の数値を確認しても、為替相場と輸出の関係は必ずしも一本線では結ばれていない。

円安=絶対善というのは単なる幻想にすぎない。

 

以上、ブルさんとは結論を異にする論ばかりになってしまったが、金融緩和政策の成果に関するご意見は貴重なものだと思う。

 

たまたま軌を一にする雇用効果(※実際は質を伴わぬAir効果だけど…)だけに固執するリフレ派の連中は、多角的な視点から成果を検証するブルさんの姿勢を見習うべきだ。

 

結局のところ、量的緩和政策の効果は、雇用・低金利・円安という3点セットよりも、

 

①政府債務の実質的無効化

②日銀券ルールの廃止による国債買取限度額の無限化

③国債の無制限買取が高インフレを引き起こさないという事実の社会的実証

④金融政策一本足打法が実戦力を持たぬことの証明

 

といった点の成果の方が遥かに顕著であり、リフレ派の連中も、ありもしない“雇用効果詐欺”をバラ撒くのではなく、こうした観点から金融政策の効果を喧伝すべきだ。

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コメント

>日本人は直ぐに円安=国益と勘違いしがち
これだけ外貨がだぶついている状況で、それでも外需によって景気浮揚を図ろうというのは無駄な努力といえそうですね
円に両替出来ないドルがひたすら積みあがるだけで、所得の原資たる円はちっとも増えず、サービス残業や低賃金に喘ぎながら頑張ってきた従業員に報いることには結びついていないでしょう

せっかく貯めたドルが消費や投資に回らないのは、何とも勿体無いですよね。

為替は一本調子には動きませんから、円安頼みの景気回復などあり得ませんよね。

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