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2017年2月16日 (木)

「常識」の名を騙る妄想

『なぜ「常識を疑う」ということができないのか?』
(ダイヤモンドオンライン 2/13 島田毅 グロービス編集長)
http://diamond.jp/articles/-/117209

「常識を疑う」というセリフは、ビジネス書や自己啓発本の類、あるいは、入社式や年頭の辞で経営者がしゃべる台本に頻繁に登場する言葉だろう。

ビジネス本の著者や経営者本人が、具体的に何をイメージして「常識」という言葉を使っているのかは非常に曖昧で、読者や社員に明確なメッセージとして伝わっているかどうか怪しいものだ。

メッセージを発する側も、きちんと準備したうえで言葉を使っているわけじゃなく、「なんか、いいアイディアを出せよ‼」くらいのノリだから、たいがいは、常識に飲まれたまま一年を過ごすことになる。

上記のコラムで執筆者の嶋田氏は、常識を疑うための思考として幾つが例示している。
【Why思考】
「なぜそのようなやり方をしているのか?」などと問いかけることで、人々の常識にチャレンジする
【AND思考】
「なぜ両方同時にできないと考えるのか?暗黙の前提があるのでは?」などと考え、トレードオフを打破する
【水平思考】
皆が当たり前と考えている前提を疑う
【ゼロベース思考】
物事を与件なく考えてみる

そして、ビジネスの現場で「常識を疑う」という行為がなされない理由として、次のように説明している。

「突き詰めれば、「その方が楽だから」ということになるのではないでしょうか。
常識や昔からの手順に従って物事をやっていれば、確かにブレークスルーはないかもしれませんが、逆に大失敗を犯す可能性も減ります。人間は基本的にはリスクを嫌う動物ですし、そもそも面倒なことを避け、易きに流れる性向を持ちますから、結局はいつものやり方や、多くの人が推奨するやり方に頼ってしまうのです。(中略)
上記とも絡みますが、言い訳をしやすいというメリットもあります。特に組織人の場合、常識にチャレンジして失敗をしたら、結果責任を問われますし、そもそも何かをする前に他人に対して説明をするという責任も生じてしまいます。」

このコラムを読む経営者やビジネスマンの多くは、「なるほど! 今度、会議や営業先のトークで使ってみるか…」というレベルで話が終わってしまうだろうが、もう少しマクロな発想に昇華してもらいたい。

ビジネス書を読んで「常識を疑うゴッコ」するだけでは何の生産性もない。

ビジネス環境を少しでも改善し、業績向上や収入UPを望むなら、マクロ経済を成長させる必要があるだろうが、マクロレベルの経済環境を好転させ、日本を再び成長軌道に乗せるためには、先ず、我が国に蔓延する「経済的常識」に疑いの目を向け、それを是正する必要がある。

そこで、世に蔓延る「緊縮主義・構造改革・規制緩和」という経済的常識に対する反証を、嶋田氏推奨の思考パターンに当てはめて示してみる。

【Why思考】
財政支出を忌み嫌い、「緊縮主義・構造改革・規制緩和」の三本柱政策を20年も続けてきたが、その間、GDPは停滞し、サラリーマンの平均給与は下がりっぱなしではないか。
20年以上も結果を出せず、それどころか、事態を悪化させるだけの間違ったやり方を、なぜ続けるのか?

【AND思考】
財政政策の話になると、必ず、「財政再建か、経済成長か」あるいは「給付・減税か、公共事業か」という意味の無い二者択一論が沸き起こるが、なぜ両方同時にできない、やるべきではないと考えるのか?
経済成長を果たした先に財政再建は存在し得るし、給付・減税型であれ、公共事業型であれ、民間経済主体(家計&企業)にとってプラスになる政策なら、トレードオフ論に固執せず、くだらぬ縄張り争いを止めて両方やればよい。
家計が潤い企業が富むような相乗効果を求めて、躊躇なく全弾発射すべき。

【水平思考】
「日本は世界最悪の借金国家」、

「財出の財源は税収のみ」、
「グローバリズムの船に乗り遅れると世界の孤児になる」、
「変動相場制で財政政策は無意味」、
「日本は輸出主導型経済」、
「政府と日銀とのコミットメントで経済主体は未来を確定できインフレ予想が発生する」、
「金融緩和一本足打法で実質金利が下がり投資が活発化する」、
「デフレは消費者の利益」
等々、日本人が洗脳され、当たり前だと信じ込んでいる数々の虚言や大嘘を疑り、速やかに是正すべき。

【ゼロベース思考】
「日本財政を家計簿に例えると、50万円の月給で100万円支出しているようなもの」、
「積極財政を宣言した途端に円が売り浴びせられる」、
「財務省が睨みを利かせ、PB黒字化がある限り財出なんてムリ」、
「財出強化は高金利→円高→輸出不振を招く」、
「財出をしても国民は将来の増税を見込んで消費を抑えるから意味がない」、
「日本だけが保護主義に走っても、海外との競争に負けるだけ」、
「ベーシックインカムみたいな所得補填策をやると日本人が働かなくなる」、
「移民を受入れないとコンビニが回らない」
こういった、ありもしない与件や前提条件を勝手に付けて発想の転換を拒否するのは、成長したくないナマケモノや分配をケチる守銭奴の言い訳にすぎない。

敢えて言うなら、上記に挙げたような妄想をそもそも“常識”と呼びたくもないというのが、筆者の本音で、「常識の皮を被った筋悪の悪手」とでも呼ぶべきだと思う。

なにも常識を疑う云々と大上段に構えずともよい。
市井の人々に望むのは、『自分たちの所得を増やし雇用を安定化させられる経済政策は何か』という一点だけに集中し、それこそゼロベースで考えてもらいたい、ということだ。

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