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2017年2月25日 (土)

デフレ脱却に小難しい理論は不要

【合理的期待形成仮説】
「人びとが利用可能なあらゆる情報を用いて合理的に予想するとき,期待値に関しては正しい予想ができるという前提に立つ学説。合理的期待仮説ともいう。
サージェントやルーカスに代表され,1970年代に入ってから米国で大きな影響力をもち,ケインジアンの財政金融政策の有効性に対して,短期的に人びとは政府の政策の帰結を的確に予想し行動するから,政府の期待通りの効果は保証されない,と批判した。」(百科事典マイペディア)

「合理的期待形成仮説」のようなシロウト理論を真顔で信じているのは、経済活動に従事していない経済学者くらいのものだろう。

20日の日経新聞「経済教室」に『「合理的期待形成仮説」次の課題』という論文が載っていた。(執筆者:慶応大教授 小林慶一郎氏)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13085270Y7A210C1KE8000/

論文の要旨は次のとおり。

●ケインズ経済学までは、観測者(経済学者)は経済システムの「外」にいて、経済システムの「中」の人々(市場の住人たち)とは別個の存在と仮定されていた。

●現代マクロ経済学では「経済システムの『中』にいる市場の住人たちこそが観測者だ」と考える。市場の住人たちは自分の行動を決めるときに経済システム全体を観測し認識しているはずだ、とシカゴ大学のロバート・ルーカス名誉教授は指摘した。

●「人々の期待が、人々の期待それ自身に依存して決まる」という再帰性は経済システムの本質だが、再帰性があると、ふつうは何が起きるかまったく予想できず、意味のある政策分析ができない。そこで経済学者は「人は完全に合理的に予想するので、期待の基本形は最初から完成しており、時間がたっても変化しない」という非常に強い仮定(合理的期待仮説)を入れることにした。合理的期待を仮定すると、期待が単一に定まり、政策分析がきれいにできる。

●「企業も人も市場価格を所与として数量を決める」というのは理論上の仮定で、現実の経済ではもちろんそうなっていない。現実の期待形成メカニズムを本当に理解し、期待を誘導してデフレから脱却するためには、経済学版の「不確定性原理」を見つける必要があるのかもしれない。

●それには「人々は価格を所与として数量を決める」という大前提を離れ、「人々は価格と数量の確率分布を決める」というような新しい経済学が要るのかもしれない。現世代の学者だけでは荷が重い課題であり、次代の探究者との協働が不可欠であろう。

小林教授は、合理的期待形成仮説が現代経済学の主流派にとって根幹となる理論であるとしながらも、「企業も人も市場価格を所与として数量を決める」というのは、あくまで理論上の仮定であり、現実には通用しないことを認めている。

そのうえで、現実の期待形成メカニズムを本当に理解し、期待を誘導してデフレ脱却を図るためには、次世代の学者による新たな経済学の登場を待つ必要があると論じている。

過去のエントリーでも触れたが、筆者は、合理的期待形成仮説なんてまったく信用していない。
このインチキ仮説は、目立ちたがり屋のサージェントやルーカスらが、ケインズ理論や財政支出効果を批判するために無理やり創作した道具でしかないから、理屈の根拠が妄想だらけで使い物にならない。

合理的期待形成仮説の根幹は、
①人びとが利用可能なあらゆる情報を用いて合理的に予想する
②期待値に関しては正しい予想ができる
という2つの前提条件にあると思うが、現実の経済主体の行動、特に、個人や中小規模の経営者の思考パターンは、こうした条件に当てはまらない。

一般的な個人(=その辺にいる市井の人々)は、“利用可能なあらゆる情報”を集めようとしないし、“合理的”に予想するとは限らない。

そもそも、合理性の基準は、個々によって異なるから、本人が合理的だと思っていても、第三者の目から見て合理的と言えるのかどうかは判らない。

また、人間には嗜好や癖がつきもので、しばしば、それを合理性より優先させたがるから、合理的な予想がなされる方が稀だろう。

よって、期待値に関する正しい予想ができるという保証はどこにもない。

小林氏は論文の中で、「ケインズ経済学までは、観測者(経済学者)は経済システムの「外」にいて、経済システムの「中」の人々(市場の住人たち)とは別個の存在と仮定されていた。市場の住人たちは「自分が住んでいる経済システム全体を観測し、認識する」ということはしない。彼らは政府の政策にただ単純に反応するだけだ」と述べ、ケインズ経済学以前の発想を小馬鹿にしている。

しかし、現実世界にいる個々人の多くは、「自分が住んでいる経済システム全体を観測し、認識することをせず、政府の政策にただ単純に反応するだけ」のケインズ以前の発想に浸り切った平凡な人々ばかりではないか?

「日本は借金大国だという大嘘を信じ込み、自らの所得を減らす緊縮財政策に諸手を挙げて反対する」、「消費税増税が決まったとたんに財布の紐をきつく締め上げる」、「金融緩和政策の意図を理解せず、怯えるばかりで消費や投資に消極的な態度を崩さない」等々、経済システムの『中』から経済システム全体を観測し、自律的に行動を決める『合理的経済人』に相応しくない態度や行動を取るものばかりだ。

彼らは、政府の政策を細々とチェックすることなんてない。
その消費行動は、自分の財布の中身と来月以降の給与明細の多寡によって決まる。

つまり、合理的期待形成仮説は、その前提からして既に脱線しており、説得力も実戦力もない空論でしかない。

小林氏は、現実の期待形成メカニズムを理解し、期待誘導によってデフレ脱却を図るためには新しい経済学が要る、それには自分たちの世代だけでは不可能だ、と述べているが、そんな呑気なことを言っていては、何時まで経ってもデフレから脱却できない。

現実の期待形成メカニズムを理解したければ、実際に消費や投資を行う経済主体(家計や企業)に会い、直接インタビューすれば済む話だ。
経済活動の主役たちに会って話を聞けば、
・デフレの主犯は、需要不足であること
・需要不足の主犯は、現実の所得不足と、将来の所得予想に対する悲観であること
が、すぐに解るはずだ。

本気でデフレから脱却したければ、そうした事実を基に正しい経済政策を実行すればよいだけで、わざわざ、新しい学問を確立させる手間など不要である。

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