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2017年2月18日 (土)

周回遅れの周回遅れ

『アベノミクス危機 浜田教授がすがる“シムズ暴論”』(文春オンライン 2/10 川嵜次朗)
http://blogos.com/article/209565/

「(前略) 講演でシムズ氏は、日銀が掲げる2%の物価目標について「財政の介入がないと物価は上がらない」とし、個人や企業が安心して消費や投資を増やせるように、財政支出の拡大と同時に「消費増税の延期を宣言するべきだ」と提言した。
インフレになれば、国の借金もおのずと減るというのがシムズ氏の持論で、消費増税を予測しているから、国民が金を使わないというのだ。
講演後の討論会には、浜田氏も登壇した。日本の経済学者らが「財政拡大しても物価は上がらない」「むしろ不安が増幅する」と口々に疑問視するなか、ただひとり浜田氏が「これは活用できる」と主張。ただし「論拠もなくボソボソと話すので、会場は白け気味でした(参加者)」
 財務省幹部が語る。
「安倍政権はアベノミクス第二の矢としてすでに財政を吹かし、消費増税を2度も延期しながら、低成長の経済を変えられない。よもや総理が耳を貸すとも思えないが、財政再建を放棄すれば国民がアホみたいにお金を使うという暴論が注目される世の中が恐ろしい」
シムズ理論を「目からウロコが落ちた」と語る浜田教授。その学びに付き合わされる国民はたまったものではない。」

筆者は、話題のシムズ理論にも、“変節名人”浜田参与の何度目かの変節にも、大した期待はしていない。

シムズ氏の提言は、財政支出の拡大と消費税増税延期を含む内容であり、一定の評価はできる。

氏は、週刊ダイヤモンドのインタビューで、「日本は、金融政策と併せて、財政政策を実施していくことこそが必要です。超低金利の状況において、中央銀行は財政拡大のサポートなしに、(量的金融緩和による)資産買い入れを遂行すべきではありません」と答えており、既発債の買い集めに止まる現在の量的緩和政策から、政府の積極財政政策と並行して行う「財政金融政策」へと一歩駒を進めるよう促している。

要は、既発債と日銀券との両替でマネタリーベースをブタ積みするのではなく、政府に新発債の大量発行を促し、マネタリーベースに所得や売上に直結するお金を投入せよ、ということで、この辺りの認識は筆者も同意する。

だが、シムズ氏は、インタビューの続きで次のように述べ、そこはかとなく「リフレ臭」を漂わせている。

「中央銀行が財政政策の支えを求める際は、債務の大きさを判断の基準とするのではなく、インフレ(物価上昇)を条件とすることが欠かせません。言い換えれば、インフレ目標を達成するために、財政を拡大するということです」

「人々は「将来に増税が待っている」と思えば、政府が財政支出を拡大しても、消費を拡大しないでしょう」

「もし目標のインフレ水準が達成されるまで「消費増税をしない」と言えば、人々に前向きな影響をもたらせたでしょう。その方針を続ける限り、人々はインフレを受け入れやすくなります。そうすれば彼らはお金を使うようになり、マネーの流れも活性化するに違いありません」

「“適度”な財政悪化がインフレを起こすのに必要と言っているだけで、健全財政を放棄してもいいわけではありません」

彼の論旨は、『最終目標はインフレターゲットの達成で、財政支出拡大や消費増税延期は、それを達成するための手段である』というもので、所詮はリフレの皮を被った財出論者でしかない。

シムズ氏が「財政支出拡大」という言葉を用いる意図は、崩壊寸前の金融緩和政策の権威を護るための方便にあり、あくまで、「金融政策が主、財政政策は従」というのが彼の真意だ。

金融緩和政策を金科玉条の如く神聖視してきた浜田参与が、彼の理論に縋りついた理由もその辺にあり、浜田氏が財政政策を認めたと理解するのは早計だろう。
浜田氏のことだから、「シムズ理論を梃に、財政支出を引き出し、インフレ達成に利用できれば儲けもの」くらいのノリだと思う。

『財政拡大はインフレ目標を達成するため』という本音を曝け出すシムズ氏は、従来のリフレ理論支持者の枠を出るものではない。

また、彼の『目標のインフレ水準が達成されるまで「消費増税をしない」と言えば、人々に前向きな影響をもたらせたでしょう』という発言は、『人々は「将来に増税が待っている」と思えば、政府が財政支出を拡大しても、消費を拡大しないでしょう』という自身の発言と完全に矛盾する。
彼の主張を素直に受け取れば、たとえインフレ目標達成後であっても、将来の消費税増税が見込まれるのであれば、人々は消費を拡大させないはずだからだ。

このように、シムズ理論には矛盾や穴も多いが、旧式のリフレ理論や成長否定論者(緊縮財政派&エセ教科書学派)のポンコツ理論に比べると、財政拡大に言及する分だけ、数倍マシなのは確かだろう。

現実社会には、冒頭にご紹介した川嵜氏のように、シムズ理論より数世紀も遅れた化石論を信奉し、財政再建や社会保障費削減に躍起になるバカ者が圧倒的多数を占めている。

「財政支出を増やせば物価も上がるという2000年代初めに流行った古い理論です」(経済部記者)、
「財政再建を放棄すれば国民がアホみたいにお金を使うという暴論が注目される世の中が恐ろしい」(財務省幹部)
なんて呆れた愚論を偉そうに騙るレベルの低い能無しは、即刻職を辞すべきだ。

同時に、この手の暴論に対して無批判に頷くだけの国民にも、いい加減に目を醒ませと言いたい。
世界第3位の経済大国に暮らしながら、雇用不安や所得への不満に明け暮れる日々を送らざるを得ないのはなぜか、という点を、マスコミ報道やエセ論者の妄言を鵜呑みにせず、自身の頭を使ってしっかりと考えるべきだ。

世の中に愚論や虚言が蔓延するのは、国民の不勉強や無学にも一半の責任がある。

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