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2017年2月11日 (土)

エセ痴識が不幸な未来を確定させる

「未来が現在を決める」という事実こそ、現在経済学の本質だという主張がある。
(byエセ教科書学派)

“未来が確定すると、あらゆる経済主体の現在の行動が変わる”というもので、
例えば、
①インフレ・ターゲットへのコミットメント
②●年後にオリンピックが開催
③●年●月に新たな鉄路や新駅が完成
といった未来のエポックが現在の消費や投資行動に大きな影響を及ぼす、と訴えている。

エセ教科書学派によると、企業投資は「未来予測」に基づいて行われ、工場建設も店舗拡張も、すべて未来予測であり、将来の見通し(=売上見込み)のために、「今」投資をするのだそうだ。

この辺りまでなら、当たらずと雖も遠からずで、1/5くらいは認めてあげてもよいのだが、この後がいけない。

彼は、
・インフレ・ターゲット理論が政策として採用された理由は、「動学的一般均衡=未来を加味した理論」であるから
・インフレ・ターゲットの本質は不確定な未来を確定させることにあり、未来の確定により現在の私たちの行動が変わる
と荒唐無稽なことを言い始める。

安倍政権がインタゲ政策を採用したのは、小泉構造改悪~民主党事業仕分けに連なる緊縮&改革ゴッコによって崩壊しかかった経済の立て直しが急務だが、財政再建問題も無視できない、というタイトな政治バランスの下で、大規模な財政政策を必要とせず、財務省やマスコミ連中からの抵抗感が少ない「インタゲ→量的金融緩和」が都合のよい選択肢として急浮上し、それにダボ鯊みたいに喰いついたというだけのことだ。

リフレ派やエセ教科書学派みたいに、インタゲ政策を過度に信奉する連中は、政府と中央銀行がコミットした「インフレ目標」が、あたかも、すべての経済主体の未来に向けた投資・消費行動を先導する『魔法の杖』であるかのように騙るが、それは単なる思い込みか、幻覚でしかない。

2013年春にインフレ・ターゲット政策が導入されてから、4年近い歳月が経過したが、「未来を加味した理論」は見向きもされず、2%というインフレ目標はいまだ一度たりとも達成されていない。
おかげで、黒田総裁はインフレ目標達成の延期宣言を5回もさせられるハメになり、大恥をかかされた。

エセ教科書学派は「インタゲ政策という未来と現在を見据えた最適化行動モデル」が実践されていると力説するが、中小企業白書を見ると、中小企業の業況判断DIはマイナスに転落し、設備投資も力強さを欠いたまま、ほぼ横ばいでしかなく、設備投資をしない理由で「現状設備で十分」、「景気の先行き不透明」という回答が多くなっている。

また、H28/12の家計消費支出は、前々同月比で実質▲0.3%と10カ月連続でマイナス(うるう年効果を除くと1年以上も連続マイナス)と落ち込み続けており、家計は所得や雇用条件の劣化に怯えて支出を減らし続けている。

こうした事実を見れば、エセ教科書学派による「インフレ・ターゲットの本質は不確定な未来を確定させる」という主張が、いかに大嘘であるかがよく判る。

インタゲ政策がスタートしてから4年近くにもなるのに、いまだに、民間経済主体に「明るい未来」を確定させられないのは、いったい、どうしたわけなのか?
それとも、インタゲ政策はハンドリングを誤り、逆作用を起こして「不幸な未来」を確定させてしまったのだろうか?

そもそも、宣言だけで「未来を確定する」ことなんて絶対に不可能で、そんなことくらい、一般的な常識を備えた社会人ならすぐに理解できると思うが、教科書の世界に逃げ込むだけで実業経験のないバカには解るまい。

エセ教科書学派が例に挙げたオリンピックや新しい鉄路の完成云々というビッグイベントは、確かに、人々の未来行動に影響を与え得るものだろう。
だが、それは、オリンピックや鉄路建設が「予算(財出)」に裏打ちされているからに他ならず、予算の担保なしに人々の行動を変えることはできない。

金融政策一本足打法に固執して、カネを動かさない(=所得が発生しない)限り、人心を消費・投資へと駆り立てることはできないのだ。

彼は、ネットに蔓延るシロウト論者は「教科書読まない・読んだことがない・読むつもりがない」と批判しているが、教科書を熟読した割に、肝心の持論は低レベルで実戦力がなく、結果と因子との因果関係の説明もあべこべだ。

教科書云々を別にしても、エセ教科書学派の論考には、経済論議をするうえで最も大切な「国民生活を何としても向上させたい」という熱意や情熱が決定的に欠けている。

彼は、学問や教科書の知識を、持論の修飾のために都合よく切り貼りすることに情熱を注ぐだけで、事実を深掘りし、不況を克服するための提言に結び付ける努力をしていない。

インタゲ宣言だけで未来を確定できるほど、社会や経済は甘くはない。
自意識過剰の空想家が騙る「珍論・珍説」の類いは、所詮、実戦では通用しないのだ。

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