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2017年2月27日 (月)

ヘリマネを腐す前に、増税脳を嗤え

『金利と経済 高まるリスクと残された処方箋』を著した京都大学 翁教授の解説文が、ダイヤモンドオンラインに掲載されている。
著者の翁氏は日銀OBで、日銀によるマネーサプライの管理是非を巡り、当時の岩田学習院大教授(現日銀副総裁)と「岩田・翁論争」を繰り広げたことで有名な人物である。

『本当に将来の増税を回避できるのか? ヘリコプターマネーの効果を考える』
http://diamond.jp/articles/-/119182?utm_source

翁氏は解説の中で、
「金利ゼロの負債である銀行券で財政をファイナンスすれば、財政コストを伴わずに、財政をファイナンスできる、という結論になりそうに感じる。(中略)しかし、意外にも答えはノーである。」、
「ヘリコプターマネーが、「増税を不要にする財政ファイナンス策」ではありえない」
とし、ヘリマネや大規模な財政支出に否定的な見解を示している。

翁氏の主張をまとめると、次のようになる。
①金利がゼロの間は、家計・企業は受け取った銀行券(紙幣)をタンス預金するだろうが、金利上昇につれ家計は銀行券を預金し始めるから、銀行券が金融機関に還流して日銀当座預金が増える。

②銀行券による財政ファイナンス政策のコストは、ゼロ金利が続く間はゼロかもしれないが、インフレ目標が達成され金利がある程度上昇した時点では、家計による預金増加→日銀当座預金増加をもたらし、日銀当座預金への利払い(+0.1%の金利適用分)が財政コストになる。

③ヘリコプターマネー型の銀行券による財政ファイナンスを採用しても、それだけでは政府の利払費を節約することはできない。金利がゼロから上昇することで統合政府の利払いは不可避的に増加するから、それを防ぐには、金利を恒久的に上昇させない「永遠のゼロ金利政策」が必要になる。

④ヘリコプターマネーの導入と同時に、利払費増加額と同額の銀行課税導入が必要だが、銀行への大規模な課税は、銀行の収益基盤を揺るがしかねず、利用者である家計や企業に、何らかの形で税負担を転嫁するしかない。つまり、ヘリコプターマネーは、「増税を不要にする財政ファイナンス策」には成り得ない。

要は、増税を嫌って財政支出、とりわけ、ヘリマネのように安易な手法に頼るなと言いたいのだろうが、正直言って、翁氏が何を言いたいのかよく解らない。

先ず、①について、この先金利が高騰するなら預金額も増えるだろう。
しかし、「金利がゼロの間は、家計・企業は受け取った銀行券(紙幣)をタンス預金する」というのは、翁氏の妄想に過ぎない。

国内銀行の預金残高は昨年12月末時点で730兆円と、ここ2年余りで72兆円も増えている。
金利が低過ぎることに腹を立てて自宅金庫にタンス預金するような変わり者はごく一部でしかなく、家計や企業は鼻クソみたいな金利でも、せっせと預金を増やし続けている。

次に②だが、日銀当座預金の「基礎残高」部分(今年1月末時点で208兆円)に付利される僅か0.1%の金利を取り上げて“財政コスト”呼ばわりするのは、あまりにも大袈裟すぎる。

208兆円×0.1%=2千億円程度の利払いなんて、H28の国債利払い費9.9兆円に比べればゴミみたいな金額であり何の問題もない。

また③だが、利払い増加を防ぐのに「永遠のゼロ金利政策」を執る必要などない。
前述のように、日銀当座預金の利払いコストは極めて軽微であり、それすら不都合なら、元々無金利だったのだから、ゼロ金利に戻せばよいだけだ。

また、ヘリマネを財源とする大規模な財政政策の実行により景気は過熱し、名目GDPの成長を通じて税収も増加するから、チマチマした利払いコストを気にせずともよい。

そもそも、利払いコストなんて言ったところで、所詮は、「政府・日銀」→「銀行・企業・家計」という日本国内の経済主体間を資金が移動するだけだから、大騒ぎする必要はない。

最後の④について、銀行収益を気にするのなら、積極的な財政政策を打って実体経済を刺激し投融資を活発化させる方が、遥かに効果的だ。

なにせ、国内銀行はH28/12月末で473兆円もの融資残高を抱えており、平均金利は0.998%と1%を切る惨状だ。
ゼロ金利やマイナス金利の悪影響をモロに受けた格好で、不良債権処理やシステム投資負担などを考慮すると、この水準で銀行が収益を上げるのは相当に厳しい。

今すぐゼロ金利政策を止めろと言うつもりはないが、積極的な財政政策を打ち続け、実体経済の過熱度合いに応じて、適切な金利環境に誘導する必要はある。
日銀当座預金の0.1%くらいのゴミ金利を気にするよりも、実体経済を刺激して、融資金利が3~6%程度になるよう誘導する方が、銀行収益にとっては遥かにプラスだろう。

翁氏は、政府の利払いコストを基点にヘリマネによる財政政策の弊害を説きたいようだが、論旨が的外れでピンとこない。

とどのつまり、「“増税を不要にする財政ファイナンス策(ヘリマネ)”なんてトンデモナイ。そんなことをしたら、増税できなくなるだろっ‼」というのが翁氏の本音なのだ。
どうしても増税したいのなら、最初からそう言えばいいのに…

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コメント

>銀行券で財政をファイナンスすれば、財政コストを伴わずに、財政をファイナンスできる、

 経済音痴である私ですがまたも書き込みたくなり、秘かにCoCologに失礼させてください。

財政をファイナンスする・・・この方、繰り返し使われていますが、一般貧民の私には言葉が高尚過ぎるのか、わけわか語録にしか聞こえてきません。
(ファイナンス:古くは、金融のこと(ここから派生して金融法務のことを指すことも。)現代的には、財務ないし財政のことも指し、特に金融工学や数理ファイナンスを指す。)

 財政金融?、あるいは財政財政?と言っているのでしょうか?

私の貧脳頭の中では、この方の深層無意識の底では(財政)支出と言う言葉を使いたくない?のではないだろうか?と、思われてなりません(まぁ他の経済学者もでしょうけど)。

>利用者である家計や企業に、何らかの形で税負担を転嫁するしかない。

 真っ当に経済成長して中間庶民層の所得が充分に満たされていけば税収増になることなんて考えてないんでしょうね。

こういう方の議論て堂々巡りで収束できることがないように思われてなりません。

失礼しました。

この手の増税バカには、実体経済への視座が皆無ですね。

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