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2017年3月 2日 (木)

地方なくして国土なし

『危ういポスト公共事業 地方経済、福祉に依存 ゆがむ分配(6)』(日経新聞 2/22)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO13204610S7A220C1MM8001/
「(前略)取材班は日本の社会保障制度を維持するには、可能な限り費用を抑えるべきだと考えている。しかし当然ながら、これへの反論も耳にする。中でも、ある医師の警告めいた言葉が気になった。
「社会保障費を抑えれば地方経済も疲弊する」
 医療や介護、年金にかかるお金が染み渡り、それを削れば地方経済も道連れになる。経済を「人質」にコスト抑制をけん制するかのように聞こえた。(中略)
高齢化が進む島根や奈良、愛媛県などでは年金が家計消費支出の2割を占め、厚生労働省は「地域経済を支える役割を担っている」と強調する。
 ただ高齢者が既に減り始めた地域もあり、社会保障頼みは行き詰まる予感も漂う。ゆがみを伴う「ポスト公共事業」は危うい道を進んでいる。」

筆者は仕事柄、地方の自治体や商工団体、金融機関、中小企業の話を聞いたり意見交換したりする機会があるが、ここ15年くらいの間に地方経済は加速的に疲弊している。

以前なら、地域の町村はともかく、中核都市に行けば、駅前通りはそこそこの賑わいがあり、商業施設や宿泊・飲食施設が集積し一定量の人通りもあったが、今や見る影もない。
駅前通りの商店街はシャッター通りと化し、人はおろか、猫さえ見かけない。
商業施設はすべて郊外のロードサイドに移設され、全国一律のチェーン店舗が立ち並ぶ味気のない光景が当たり前になってしまった。(実際には、ロードサイド店すら皆無の地域の方が多いのだが…)

筆者は、何が何でも駅前や商店街を活性化すべきとまでは思わないが、首都圏や政令指定都市以外の中核都市や地域の市町村の経済を、衰退するに任せ放置してはならないと強く感じている。

駅や公共施設を核とした中心市街地の衰退は止めようがないかもしれぬが、その地域全体という視点で経済規模や人口規模が縮小するのを喰い止め、中長期的には拡大させる努力が必要だ。

「田舎は不便だから人が減っても仕方がない」、「誰が好んで辺鄙な場所に住むのか」と放置するのは、国土の在り方を無視した近視眼かつ無責任な意見だ。

都会から地方へ強制移住させることはできないが、地方へ住んでもよいと考えている者が、雇用や所得条件が不十分なあまりに地方での生活を諦めざるを得なくなるような事態は、行政的措置を講じて避けるべきだろう。

人が住まなくなると、必然的に当該地域の社会インフラが放棄され、人の行き来が途絶えることになるが、それは実質的な国土の放棄につながり、最悪の場合、他国からの侵略のリスクに晒されることになる。
無人の尖閣諸島で起きている事案を見れば理解できるだろう。

ご紹介した日経の記事は、「地方の人間が、経済を人質に、社会保障費や公共事業費削減というコスト抑制をけん制するのはけしからん」、「地方は財政再建の足手まといだ」と言わんばかりで、公共事業や社会保障費を主要エネルギーとする地方経済をバカにしている。

首都圏をはじめ三大都市圏に住み、地方を単なる金食い虫だとしか思わないバカ者は、掃いて捨てるほどいるが、古くからの歴史的経緯と国策による投資(しかも、その財源は地方から集めた財投や税金)のおかげで何の苦労もなく膨大な社会インフラと民間企業集積というメリットを享受してきた都心部の連中に、蔑まれる謂われはない。

地方経済が公共事業に支えられてきた(=公共事業頼み)、あるいは、自衛隊や公教育施設、公立医療施設、農業団体の関連事業などに頼ってきたのは紛れもない事実だし、これから先の未来も同じような構図が続くのは避けられない。

日本には1,800近くもの自治体があるのだから、各々が特色ある産業を有し、民間主導で雇用の受け皿を作るなんて芸当は絶対に無理なのだ。

地方に自助を強いるのは見当違いも甚だしく、小泉バカ政権時代から減らされ続けた地方交付税交付金や公共事業費などを元に戻す必要がある。

そもそも、「公共事業は地方という穀つぶしに与えるエサ」、「地域で行う事業や地方へのインフラ投資=ムダ」という考え方自体、勘違いも甚だしい幼稚な中学生の発想だ。

日本からすべての地方が消滅し、消費するしか能がない三大都市圏と地方の政令指定都市だけが残ったとしたら、我が国の生産力は間違いなく壊滅する。

地方経済を活性化させて一定の人口集積を保持するために、地方交付税交付金や公共事業、社会保障費を地方へ適切に配分することは、国土を遍く均衡に保全するために最善かつ必要不可欠な措置だと理解すべきなのだ。

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