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2017年3月 6日 (月)

改革の名を騙る疫病神

『賃金が力強く上がる基盤を築こう』(日経新聞社説 2/26)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO13393150W7A220C1PE8000/
「消費は依然として本格的な回復に遠い。このままでは消費を盛り上げて企業の生産活動や設備投資を活発にし、経済全体を元気にするという政府の筋書きも画餅に帰そう。起点となる賃金の伸びが勢いを増すよう、本気で取り組むときだ。
 総務省の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は2016年に月額平均28万2188円で、物価変動の影響を除いた実質で前年比1.7%減となった。14年も2.9%、15年も2.3%の前年比マイナスとなっており、3年連続の減少だ。
 14年4月の消費税率引き上げや、円安が進んだ局面での輸入物価の上昇が消費を抑えた面はある。だが、大きく影響しているのは賃金の伸び悩みだ。(後略)」

ここまで読むと、賃上げ実現に向けて、日経もようやく重い腰を上げるつもりになったのかと思いたくなるが、後略の部分は「緊縮・改革・規制緩和」というお馴染みの日経節の大合唱で、案の定、反省の色がまったくない。

日経社説は、個人消費減少を賃金伸び悩みによるものとし、その原因として、
①労働者一人当たりの付加価値低迷
②硬直した労働市場
③社会保障費負担の増加
の三つを挙げている。

そのうえで、
❶生産性向上=AI技術の活用、外国人労働者の受け入れ促進、各種規制緩和
❷労働市場改革=労働市場の流動化
❸社会保障改革=医療・介護費の削減
が不可欠だと主張する。

だが、日経社説の提言は、“失われた20年時代”に失敗を繰り返してきた負けパターンをなぞる愚策ばかりであり、150%失敗に終わると断言できる。

「生産性向上」の名を借りた移民促進や規制緩和は、低賃金労働の横行や雇用の質の劣化、不毛な競合の激化を生む。

「労働市場改革」の名を騙る雇用の流動化は、雇用の不安定化や技術継承の断絶、正規雇用者の所得減少につながる。

「社会保障改革」を称する医療・介護費の削減は、医療や介護業界の質の低下、職員待遇の悪化、更なる人手不足という弊害をもたらす。

悪質な『見返りのない緊縮と競合の扇動』によって、労働者は処遇の劣化と所得の低下に苛まれ、将来不安の海に叩き込まれ、医療や介護を受ける立場の高齢者の不満も爆発するだろう。

その結果、個人消費はますます低下を余儀なくされ、縮小のスパイラルが永遠に続くことになる。

日経社説は、労働者の生み出す付加価値の伸びが低迷していることを特に問題視しているが、その要因を正確に理解し切れていない。

日本企業の付加価値が低迷している要因は、
・長引くデフレ不況下での国内マーケット縮小による売上の鈍化
・成長を続ける諸外国との原材料買入競争激化による輸入コスト上昇
という売上低迷とコストアップのダブルパンチによるだ。

そもそも、「付加価値」は売上高-変動費で表される価値であり、それは、経常利益と人件費や減価償却費などの固定費に分解される。

日経をはじめ新自由主義者の連中は、付加価値を語る際に、変動費や人件費の削減ばかりに熱中しがちだ。

しかし、付加価値という概念は、あくまで、企業の財務諸表の損益計算書(P/L)の中にあるのだから、付加価値を増やしたければ、P/Lという箱の中身をアレコレと弄りまわすよりも、箱の大きさ自体を膨らませてやる方が、遥かに容易く解決できる。

「売上原価(労務費・原材料費・外注費等)」や「一般管理販売費(人件費・交際費等)」を削ることばかりに血眼になり、自社のコスト削減に成功したとしても、削減された分のコストを売上にしていた納入先企業の付加価値を低下させるだけのことだ。

こんな不毛な負担の押し付け合いに興じていては、いつまで経っても付加価値向上など望むべくもない。

企業の付加価値をUPするには、P/Lという箱の大きさを膨らませる、つまり、P/L最上部にある「売上」を拡大させられる経済環境を創り、マーケットを活性化させることが、最も重要なのだ。

付加価値を高めたいのなら、売上に余計な天井を架して、低成長時代を前提としたコスト削減競争に奔走する、といった「成長放棄思考」からの転換を図る、つまり、力強い成長を前提とした『意識改革』こそが必要になる。

「改革」の名を騙る縮小均衡やコスト削減思考からは何も生まれない。

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