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2017年3月31日 (金)

理論<現実

【読者の皆様へ】
4月1日付で勤務先の人事異動があり、しばらくの間、業務多忙となるため、本稿を以って、毎日の記事更新は一旦終了とさせていただきます。
4月以降は、週1~2本の更新ペースになる予定ですので、予めご了承ください。


『市場に影差す「アベグジット」の難問 』(日経新聞 編集委員 滝田洋一 3/28)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14442530U7A320C1000000/?dg=1
「「アベグジット(Abexit)」。内外の市場では「ブレグジット(Brexit)」にひっかけ、安倍晋三政権の動揺を懸念した造語が、ささやかれだした。
 欧米の政治が揺れるなか、ひとり安定を誇っていた日本の安倍政権。それなのに、「ブルータスよおまえもか」というのが、日本株に投資してきた外国人投資家の偽らざる本音だろう。
 森友学園問題の拡大につれて安倍政権が、足をすくわれだしているからだ。問題が広がりを見せた3月に入り、外国人投資家による日本株の売越額は第3週末までに1.5兆円近くにのぼった。(中略)
アベノミクスの最大の成果を上げるとすれば、大規模な金融緩和を通じて、円高是正を実現したことだろう。外国勢が日本株に矛先を向けたのも、デフレ不況からの脱却という明確なメッセージを評価したからといえる。(中略)
 仮に安倍首相が退陣を余儀なくされるような事態に陥った場合、日本が再び「1年ずつの首相交代」の時代に舞い戻るのではないか。そんな悪夢が彼らの胸の内にはある。(後略)」

“外国人投資家”という生き物は、まことにくだらぬことを心配するものだ。

日経の記事では、外国人投資家の連中が、森友事件で安倍政権が倒れ、“日本が再び「1年ずつの首相交代」の時代に舞い戻る”事態を懸念していると報じられている。

しかし、記事中に貼り付けられた外国人投資家による日本株投資額のグラフを見ると、既に2015年半ばから外国人投資家はほとんど売越超過となっており、「アベグジット=外国人投資家の日本株売り」という意味ならば、アベグジットとやらは、とうの昔から始まっており、たとえ安倍首相が退陣しても大した影響はあるまい。

そもそも、外国人投資家が日本株を売ろうが買おうが彼らの勝手なのだから、いちいち彼らの顔色を窺う必要などない。
彼らが売る株が値ごろなら、日本人投資家が買い増せばよいだけの話だ。

株の売り買いなんて、所詮は、経済活動をネタにした賭け事でしかないから、その動向に一喜一憂する必要なんて一mmもない。
よって、安倍政権が吹っ飛び、外国人投資家が慌てようが、「株式投資は自己責任が原則ですから…」と冷たくあしらっておけばよい。


さて、日経の記事では、「アベノミクスの最大の成果を上げるとすれば、大規模な金融緩和を通じて、円高是正を実現したことだ」と持ち上げているが、“異次元金融緩和の意図は為替操作策ではない”と、安倍首相がトランプ大統領に見苦しい言い訳をしたばかりだから、勇み足気味の“ぶっちゃけトーク”は、却って安倍ちゃんの迷惑になるのではないか??

安倍政権初期の異次元金融緩和政策は、同時に放った大型の補正予算のおかげで一定の成果を上げ、その残滓が、未だにアベノミクスを実力以上に輝かせていると言っても過言ではない。

異次元金融緩和政策(いわゆる黒田バズーカ)と言えば、金融政策一本足打法に固執するリフレ派の連中が、盛んに、「一般物価(マクロの物価)」は金融緩和の量に比例するから、原油価格など「個別価格(ミクロの物価)」の変動は重要ではない、つまり、Aという商品の価格が下がっても、浮いたお金で別のBという商品が買われるから、マクロで見た時の一般物価に変化はないと主張していたのを思い出す。

だが、実際には、個別商品の値下がり分で浮いたお金は別の商品購入には向かわず、退蔵されるだけで、インフレ目標は未達状態が続き、風前の灯火と評してよい。

これだけ不況が続き、人手不足下でも時給が上がらぬようでは、家計や企業が、余剰資金を気前よく他の消費に廻す訳などないことくらい誰にでも解るはずだが、世間知らずのリフレ派には理解できぬらしい。

また、彼らはマンデルフレミング理論を信奉することでも知られているが、マンデルフレミング論から導き出す「財政赤字拡大による実質金利上昇が自国通貨高を招き、輸出減少や輸入増加によりGDP減少に至る」という結論と、上記の一般物価・個別価格論とは、明らかに矛盾があり、整合性が取れていない。

一般物価・個別価格論では、個別価格の変動が一般物価に影響を及ぼさないという「一般物価の中立性」を主張しておきながら、マンデルフレミング論では、為替動向がマクロ経済に与える影響の中立性を無視するのは、明らかに片手落ちの議論だろう。

円高が輸出減退をもたらす傍らで、内需型産業にとっては原料コストの圧縮による付加価値向上というメリットがあるはずだから、それこそ、一般物価・個別価格論に従えば、企業はコストの浮いた分を人件費や投資に廻せる余力が生じ、内需が誘発され、輸出減退分を十二分にカバーできるはずだ。(※生産拠点の海外移転が進み、為替動向の影響も小さくなっている)

なにせ、我が国の経済構造では、GDPに占める純輸出の割合なんて、ほんの数%と、まさに誤差の範囲内でしかないから、円高=経済の足枷という考え方自体が疑わしい。

本来なら為替が円安になろうが、円高になろうが、数多ある国内産業にとって、メリット・デメリットの双方が生じるから、マクロ経済に与える影響は中立に近い。
特に、内需型産業が大半を占める我が国の産業構造にあっては、円安のメリットは、世間で認識されているほど高いものではないというのが筆者の考えだ。

理論や法則の類を勉強するのはよいが、経済論を語るなら、それらが旧式化していないか、現在も実戦力を維持しているのか、常にチェックする必要があるだろう。

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