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2017年4月20日 (木)

不満と敗者しか生まないジャンク論

『珍説の宝石箱』である中嶋よしふみ氏のコラムは、いつも新しい刺激を与えてくれる。

「「平等に貧しくなろう」という上野千鶴子氏の意見が正し過ぎる件について」(中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー 2/16)
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/49492380.html
「先日、中日新聞に掲載された社会学者の上野千鶴子氏のコメントが話題になっている。「平等に貧しくなろう」というドキっとさせられる見出しで、賛否両論が巻き起こっているようだ。
 上野氏のコメントを手短にまとめると「今後の日本は人口が減る事は避けがたい、移民の受け入れも治安が悪化する事を考えれば難しい、そうであれば経済成長を無理に目指すことはあきらめた方が良い、再分配機能を強化してみんなで平等に貧しくなればいいのではないか」といった内容だ。
この内容に上野氏と立場を同じくする人は「移民の受け入れで治安が悪化するなんて多様性を尊重してきた人の発言とは思えない」と反発をしている。一方で逆の立場の人からは「平等に貧しくなんてとんでもない、勝ち逃げ世代の上野氏がこんな発言をするなんて許せない」とあらゆる立場の人から批判を受け、同意する意見がほとんど見当たらない。
上野氏は何か滅茶苦茶な事を主張しているのだろうか。反論の内容も一理あるとは思うが、やはり上野氏の意見は正しい。ただしそれはおそらく上野氏の意図とは全く異なる意味でだ。(後略)」

中嶋氏の上野千鶴子擁護論の詳細は上記URLからご覧いただくとして、今回の珍説は、次の二頭立て仕様になっている。

①金融資産などのストック課税強化により国民負担率を増やし、再分配機能を強化することで、“裕福な人と貧しい人との収入格差”、“若者と高齢者の世代間格差”の是正を図るべき

②人々は日常の消費活動や企業行動を通じて経済成長に「加担」しており、経済成長を拒否することは生きている限り不可能だ

まず、上記①②を論じる前に、中嶋氏が、上野千鶴子の「自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。」という大バカ発言をすんなり認めていることは、彼が単なるジャンク論者であることの何よりの証左となるだろう。

過去にも、ヨーロッパでは、ペストや百年戦争により人口大縮小を経験したが、その後の社会の安定化により、立派に人口の自然増を達成している。

特に、ペストによるヨーロッパ全体の死者は約25%にもおよび、地域によっては致死率が60~80%にも達するという荒ましさで、まさに「猖獗を極める」という酷いありさまだったが、そうした苦難を人類が乗り越えてきた歴史を、大学教授たる上野千鶴子は知らぬのか?

ましてや、供給能力や医療先端技術で世界のトップランナーを走る我が国で、人口自然増があり得ないと考えるなんて、論評する以前に、頭がおかしいとしか言いようがない。

さて、中嶋氏は、上記①の持論を語るに当たり、年金と生活保護を一体化した「生活保護年金」や一定額以上の資産を保有する層への年金カット制度の導入を訴えている。

彼の主張を具体的に並べてみると、次のようになる。
【生活保護年金】
『生活保護には「貰うと恥ずかしい」というおかしな印象を持つ人がなぜか多数いる。年金も健康保険も失業保険も生活保護も全て社会保障の一環なのだが、生活保護だけは別格らしい。もし自分が事業に失敗するなり病気なりで収入がゼロになったら遠慮なく貰うと思うが、何が何でも生活保護なんて貰いたくない、プライドが許さないという人も少なくない。そうであれば、そういった偏見を利用して「貯金があるのに年金を貰うなんて恥ずかしい」という新しい常識が出来るように仕向けてしまえば良い。』

【資産状況に応じた年金カット制度】
『現実的な政策に落とし込むのであれば「貯金が200万円以上なら年金ゼロ」はやはり難しい。それならば「貯金が200万円以上なら年金は1割カット」ならどうか。かなり現実的な数字になると思われる。』

彼が、こうした幼稚な緊縮論を声高に主張する背景には、独特の財政危機論や成長天井論があるように思える。

この手の神経薄弱論者は、“このままでは日本の財政や社会保障制度は持たない。富める者の負担増と、持たざる者への支出カットが欠かせない”と思い詰めたうえに、おカネを神聖視するばかりでそれを活用する術をまったく知らぬ素人だから、国民にとって何のメリットもないコストカット策を激烈に支持したがるから救いようがない。

コラムの後段で、彼は『年金を1割カットすれば年間50兆円を超える年金の支出額を兆単位で減らすことが出来る。2割まで許容できるなら支出カットは2倍に増える。これだけ劇的にカットが出来れば保育園不足も大学の奨学金問題もあっという間に解決する。貯金200万円以上なら医療費は現役世代と同じで3割負担とすれば、40兆円を超す医療費もかなり削減が可能となるだろう。』とも述べている。

「貯金が200万円以上なら年金は1割カット」なんて平気で口にするバカには解らぬだろうが、二人以上の世帯の貯蓄階層別の人口分布をみると、貯蓄額200万人以上の世帯割合が83%を超えており、年金1割カットなんてやった日には、国民から大反発を喰らうだろう。

中嶋氏のような守銭奴は、単純に目前のコストカットにしか関心がなく、そうした愚策が国民の消費マインドに大寒波をもたらし、更なるデフレ悪化や格差拡大に直結することまで考えが及ばない。
コストカットや負担増は、不満と敗者しか生まないことすら解らぬのか?

他人の年金を減らし、医療費負担を増やして何が楽しいのか解らぬが、国民総出の我慢大会を催し、世代間&階層間のルサンチマンを煽るよりも、互いが幸せを享受できるよう、足りない財源を財政支出で補填してやればよいだけのことだ。

誰の負担にもならず、誰の腹も痛めることのない「円」を創造(印刷)し、社会保障財源に充てればよい。

これだけ人口構成が歪になり、資金運用もままならぬほど低金利な情勢を無視して、昔ながらの世代間共助制度に固執すること自体が間違っている。

勤労世代が高齢世代を支えるやり方はもう持たない。
人口構成の変動は人智を超えた天災のようなものだから、今の勤労世代の責に帰すべき事柄ではなく、通貨発行による財政支出という天祐で以って処理すべきだ。

それでも不満なら、史上空前の収益を上げている大企業向けの法人税率と、高額所得者の所得税率を大幅に引き上げればよかろう。

最後に、中嶋氏の主張のうち②の“国民の経済成長加担論”について、簡単に触れておく。

彼は、国民は何気なく行っている購買行動(レストランでの食事やコンビニでの買い物など)が経済成長につながると訳知り顔で語っているが、正直言って片手落ちの議論だ。

モノやサービスの消費が経済成長の源泉であることに相違ないが、それだけで「成長」できる訳じゃない。
経済成長するためには、モノやサービスの消費額やそれらを源泉とする勤労者の所得が、対前年比で着実に増えることが欠かせない。

家計や企業の購買・生産行動を漠然と放置するだけでは経済成長など望めない。
そうした行動や活動の速度や量を年次で漸増させ続けるには、適切な財政金融政策が不可欠であり、中嶋氏が提案する負担増やコスコカット策なんて、成長のブレーキにしかならない。

彼のような緊縮宿命論者は、経済成長にとって“有害なゴミ”でしかない。
彼もフィナンシャルプランナーを名乗る以上、世の中の仕組みをもう少し勉強すべきだろう。

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