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2017年4月 3日 (月)

寄生虫の捨てゼリフ

『「国境税」導入で米撤退も=「消費者のためにならず」―ユニクロ柳井氏』(時事通信 3/30)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00000009-jij-n_ame
「カジュアル衣料品店ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は29日、ニューヨーク市内で記者団のインタビューに応じ、トランプ米政権が導入を目指す「国境税」について「米国の消費者のためにならない」と述べ、状況次第では米事業からの撤退もあり得るとの考えを示した。
 貿易赤字の削減を優先課題とするトランプ大統領は輸入課税の強化を唱えているが、輸入品への依存度が高い小売業などを中心に米産業界には反対の声も多い。
 柳井氏は「米国での生産はあり得ない。本当に良い商品を顧客にメリットのあるコストで作れない」と指摘。トランプ氏が自動車メーカーなどに米国での工場建設を要求していることに触れ、「われわれが直接言われたら撤退したい。米国で商売する意味がなくなる」と語った。」

ユニクロの柳井氏がトランプ大統領の国境税構想に盾突いた形だが、トランプ氏への嫌悪感もあってか、ネット上には「アメリカで作ってたら、儲からなくなる」、「増税で値上げしたらファストファッションの意味がなくなる。撤退やむを得ずだ」といった具合に、柳井氏を応援するコメントが溢れている。

安物買いに慣れ切ったデフレ根性丸出しのアホなコメントにはウンザリする。

年金生活者なら消費者としての立場だけを考えればよいかもしれぬが、ユニクロユーザーの大半を占める労働者層から、自分たちの雇用を蔑ろにするかのような腑抜けたコメントが沸き起こるようでは情けない。

今回の柳井発言の裏には、同社の北米市場での不振がある。

昨年8月の同社決算の売上高1兆7800億円のうち、国内事業は8000億円、海外事業は6500億円に及ぶが、海外事業の大半は中国や欧州で稼いでいる。
特に中国や香港、台湾など「グレーターチャイナ」部門の売上が3300億円にもなり、同社も、「グレーターチャイナ、韓国、および東南アジアなどのアジア・オセアニア市場、および欧米市場を中心に海外出店を拡大」する方針であることを決算短信に謳っている。

一方の北米市場はというと、「米国は、下期においてビジネスの改善が見られたものの、店舗の減損損失、除却損・閉店損など一時的な損失を合計で74億円計上した結果、通期の営業損失は前期比で拡大する結果」と赤字状態であることを認めており、来期の見通しも、「米国市場においては、ユニクロのブランド認知度を高めることで、早期に黒字体質に変革していきます」と、北米市場で相当に苦戦を強いられていることが覗える。

今回のニュースは、一見すると、柳井氏が、トランプ大統領相手に格好良く啖呵を切っているように見える、H&MやZARAといったライバルに大きく水を開けられた北米市場での惨敗ぶりを糊塗するための苦し紛れの発言というのが実態だろう。

柳井氏は、同社の売上目標を「2020年に5兆円を目指す」とし大見得を切ったものの、その後トーンダウンし、昨秋には目標を3兆円へ大幅に下方修正したが、この目標すら市場から“過大視”される始末だ。

ユニクロは、一時の高級化路線が消費者から敬遠され、成長に大きなブレーキが掛かり、その後戦略転換を図ったものの、H29/8期売上予想は1兆8500億円と成長力が明らかに低下しており、目標達成に赤ランプが点灯している…というより、大型の企業買収なしの状態での目標達成は100%無理だろう。
(※高級化路線を狙うなら、「UNIQLO」とは別ブランドを立ち上げるべきだったというのが筆者の私見)

一見好調に見えるユニクロの海外事業だが、日本とは気候や体形が異なる東南アジアや中国、欧州でも、国内と同じ商品ラインナップを押し付けている(ex.熱帯の国でライトダウンを販売)との批判もあり、業績伸び悩みの一因かもしれない。

柳井氏は、トランプ大統領の国境税構想に対して、アメリカなんかでモノを作ると製造コストがアップすると文句を垂れている。
しかし、ユニクロ海外事業の主戦場たる中国では、日本製の素材を中国に持ち込み、現地工場で加工して中国内で販売すると、税制の都合上、日本製生地に対する関税が掛かり、日本国内よりも3~5割ほど高くなるそうだ。

3~5割も販価アップせねばならぬほどの関税ならば、アメリカに工場を移す場合のコストアップどころの話ではないと思うが、柳井氏が中国の税制に噛みついたという話など、ついぞ聞いたことがない。

かつて尖閣諸島国有化時に中国で反日運動が勃発した際に、売国企業ぶりを発揮した企業の経営者だけあって、中国には随分と甘い対応を取っている。

柳井氏みたいに、「安値は消費者の利益」という詭弁を盾にする輩は、消費国のマーケットから収益を吸い上げるだけで、雇用や所得を産み出そうという発想がない。

企業家の論理と言ってしまえばそれまでだが、それが国家の論理や国益と対立する場合に、一企業の我儘が黙認されるか否かを決めるのは、国民であり国家である。

雇用も所得ももたらさずに、消費国のインフラや購買力にタダ乗りしていいとこ取りをしようとする企業の生意気な口をどう塞ぐのかは、当該国家の大権に基づき判断すればよい。

アメリカがユニクロを、「我が国の税制に従う気のない企業に商売をする資格なし」と断じて、自国のマーケットから放逐することを期待している。

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