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2017年4月 5日 (水)

経済成長に背を向けるのは貧困化への第一歩

『アベノミクスへの対抗軸を示す注目の学者・井手英策の思想』
(山田厚史 デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 3/30 ダイヤモンドオンライン)
http://diamond.jp/articles/-/123002?page=2
「森友学園の騒動に隠れているが、野党第一党の民進党に新たな変化が起きている。
民進党の新たな動きに重要な役割を演じているのが、若手財政学者・井手英策慶大教授だ。
 アベノミクスへの対抗軸を鮮明にしようという動きだ。重要な役割を演じている学者がいる。論壇で注目される若手の財政学者・井手英策慶応大学教授である。
3月12日、都内で開かれた民進党大会に招かれ、来賓として行った演説が「心揺さぶられるスピーチ」とネットで評判になった。(後略)」

井出氏は、財政学者(=緊縮主義者)として著名な神野直彦東大名誉教授の弟子であり、「高橋財政の研究、昭和恐慌からの脱出と財政再建への苦闘」、「経済の時代の終焉」などの著書があると聞いただけで、頑迷な財政再建派であることが覗える。

件のコラムでも次のような主張を展開し、経済成長を放棄し、平等に貧しくなる社会を目指すべきと力強く述べている。

❶これまでの日本は、経済を成長させることで個人が所得を増やし、貯蓄を蓄えることで将来の安心を買う。いわば、それぞれ個人の責任で自分や家族の幸せを築くという「自己責任社会」だった。
❷しかし、低成長で所得が伸びず、安心を買う「貯蓄」ができない。つまり「自己責任」が果たせない経済になっている。
❸処方箋はなにか。安倍首相やアベノミクスを支持する者の考えは「経済成長を再び」である。エコノミストやTVで経済を語るコメンテーターも「成長論者」がほとんどだ。
❹「経済成長に頼らない政策」をアベノミクスの対抗軸に掲げてこそ野党だ、と提案したい。野党は、期待できない経済成長に依存せずとも将来の不安を取り除けるような新しい社会モデルを示すべき。
❺目指すべきはユニバーサリズム(普遍主義)であり、その肝は「差別しない」こと。金持ちも貧乏人も、税率は等しく同じサービスを受ける。所得制限は付けず、貧困だからといって特別な計らいをしないことが大切だ。
❻増税は財政再建のためにやるのではない。安心を得るために財政を変える、当てにならない成長に頼らず、公正な分配が人々の暮らしを明るくする。

井出教授のご高説は上記URLをご参照いただくとして、つくづく、日本の経済論壇や政策論談には、ろくな人材がいないと溜息が出る思いだ。

改革・緊縮・規制緩和の三バカ政策に軸足を置く主流派がのさばっているかと思えば、それを批判する連中も、批判の観点が本当に的外れなものばかりでげんなりさせられる。

主流派批判に関する勘違いで最悪なのは、「主流派=経済成長論者」というものだ。
井出氏も、そうした文脈から安倍政権の経済政策を批判している。

筆者から見れば、成長そっちのけの緊縮政策にしか見えぬアベノミクスも、彼のような緊縮論者の目には、耳辺りの良いバラマキに映るらしい。
筆者はアベノミクスに対して、「バラマキが足りない」と文句ばかり付けているが、井出氏に言わせると、「緊縮が足りない」ということになるのだろう。

それにしても、低成長による所得の鈍化というデフレ病に対する処方箋が、「経済成長に頼らない政策」という主張には恐れ入る。
愚論もここまで来ると、世界レベルといえよう(呆)

重症患者のカルテに、“もはや医療に頼る時代は終わった。治療や投薬を止め、薬に頼らない体質改善をすべし”などと書きこまれた日には、患者はショックのあまり卒倒してしまうだろう。

しかも、彼が掲げるユニバーサリズム(普遍主義)なる思想は、庶民も金持ちも等しく負担を負うべしというトンデモ論であり、何を以って“ポスト成長主義”に成り得るのか、根拠はまったく不明だ。

井出氏は、持説のユニバーサリズムを次のような例を用いて解説している。
「単純化して言えば、1億円の所得があるAさんと、100万円の所得しかないBさんがいるとしよう。ユニバーサリズムは同じ税率にする。税率20%だったら1億円のAさんは2000万円納税する。100万円のBさんにも20万円の税金を払わせる。
 政府が集めた2020万円を、ひとしく分配する。子ども手当のような直接支払いでも、大学無償化というサービスでも、金持ちと貧乏人を区別しない。AさんもBさんも1010万円の給付(再分配)を受ける。
 その結果、Aさんは1億円-2000万円+1010万円で再分配後の所得は9010万円。
 Bさんは100万円-20万円+1010万円で1090万円の所得になる。この結果、100対1の格差が、財政による再分配で9対1に是正される。」

この珍説は、社会にAとBの2名しかいないという条件下でしか成り立たない。
実社会には、低所得者層の数が圧倒的多数を占めるから、AとBとの所得格差はこれほど大幅に圧縮されることはない。

井出氏の発想は、累進課税を止めて消費税みたいに逆進性の強い税制に集約するイメージであり、格差縮小どころか、貧困層の税負担はますます重くなるだけだ。

しかも、貧富の差を付けずに再配分するという念の入れようは、高所得層への配慮としか思えず、こんな愚策でどうやって人々の安心を得ようというのか?

彼は、コラムの締めに「人々が安心してリスクを取れる社会になれば、結果として成長率が上がるかもしれない」なんて恍けたことをぬかしているが、まさか、自身の珍説が、庶民に安心社会をもたらせるとでも思っているのだろうか…

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コメント

こんな奴を党大会に招くとは、民進党のいいたいことは、リベラルも大企業や大富豪の手先でしかないということなのでしょう。

結局、リベラルというのは、右と左から、大企業や大富豪に都合の良いものだけを採用した思想に過ぎないということです。さらに、右よりはマシだから、それで我慢しろという、傲慢さも感じます。

二大政党のバカ競争に付き合わされる国民は不幸ですね。

元はと言えば、国民が愚か過ぎるのも大問題なんですが・・・

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