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2017年5月25日 (木)

経済財政諮問会議に巣食うクズ

近頃、江戸時代や幕府の行政システムの評価を見直す動きがあり、TVや雑誌で盛んに特集が組まれている。

これまでの「明治維新=改革・開国=文明開化・近代化⇒暗黒時代の江戸幕府の終焉」という誤った知識が見直されるのは大いに結構なこと(ついでに、坂本龍馬や西郷隆盛、勝海舟ほか、功績のスケール感が小さすぎる“上げ底偉人”の評価も見直すべき)だが、いまだに、国と地方自治体との関係を、江戸時代の幕藩体制と同じように捉え誤解している識者が多いことに唖然とさせられる。

江戸時代の幕府と諸藩との関係性は、実際には、幕府が日本全土の統治権を有し、諸大名を各地に封じて統治させるという中央集権的体制であったが、連邦制に準えて説明されるケースも多い。
こうした見方が影響しているのか、いまだに国と地方自治体とを、相互に独立した存在であるかのように誤解する識者もいる。

我が国を自治体の集合体や連邦国家であるかのように騙る輩は、国(中央)が各自治体(地方)を財政的に支援し、あたかも、カネを恵んでやってるかのように吹聴する。
そして、東京都や鎌倉市、豊田市みたいな普通交付税不交付団体を褒めそやす一方で、他の交付団体を“お荷物・集り集団・金喰い虫”と非難するのが常だ。

5月11日に開催された平成29年第7回経済財政諮問会議の議事にも、地方と国との関係性を勘違いした識者(民間委員)から、首を傾げたくなるようなバカげた指摘が記されている。

以下、彼らの発言をピックアップしてみる。

〈日本総合研究所理事長 高橋氏〉
「自治体の基金積立残高は、21兆円に達している」
「財政力指数の低い村や離島が上位に挙がっており、財政力が弱いところで基金が積み上がる理由がよくわからない」
「基金積立残高21兆円というのは、新たな埋蔵金と言われかねない状況ではないか」
「徹底した実態把握、自治体の説明責任を果たす仕組みを構築すべき」

〈学習院大学国際社会科学部教授 伊藤氏〉
「地方公営企業について申し上げると、9,000弱の企業に年間3兆円の繰越金、塵も積もれば山となるということだろうと思う」

〈東レ㈱相談役最高顧問 榊原氏〉
「地方交付税で財政移転を行っている中で、自治体の基金積立残高が21兆円にも達しているのは、地方では使い切れない財源が積み上がっているからではないか」

彼らの主張を要約すると、
①地方自治体が21兆円もの基金を積み上げている
②これは無駄な埋蔵金ではないか
③こんなものを放置すると、納税負担を強いている国民に申し訳が立たない
④各自治体の責任で国民にきちんと説明しろ‼
ということになる。

地方自治体が血の滲むような努力の末に積み重ねてきた21兆円の基金を“隠し金扱い、ムダ金扱い”する神経は、まことに信じがたい。
彼らの頭の中は、いったいどういう構造をしているのか?
バカとかアホとかいう言葉では表現しがたいほど根が深く、度し難い、“キチガイじみたクレーマー”とでも言うべきか。

経済諮問会議の民間三馬鹿トリオの指摘に対して、高市総務相から、「人口減少等による税収の減少に備えた財源の確保、あるいは社会保障関係について将来を見通すことが困難な面があること、公共施設の老朽化対策等の今後見込まれる財政需要への対処、合併団体における普通交付税の合併算定替による特例措置の適用期限の終了による交付税の減少を念頭に置いて、(略)それぞれの団体の御判断に基づいて基金の積立てを行っている」との回答があったが、まさにそのとおりで、そもそも、こんなレベルの低い質問や指摘をする方がどうかしている。

地方自治体は、『公共インフラ整備更新・官公立病院運営・介護福祉サービス・公費医療負担・教育サービス・廃棄物処理・上下水道管理・警察・消防・農林漁業振興・産業育成etc』と膨大な行政サービスを担っており、これに掛かる費用は莫大なものになる。

全国の官公立病院は合わせて3.3兆円ほどの収入に対して約5千億円の不足がある。
また、公共インフラの整備更新には、2037年度で新設をゼロにしたとしても、国家ベースでは毎年10兆円近い維持更新費が必要とされる。
地方自治体においても、ピーク時には、市町村ベースで2033年に8.9兆円、都道府県ベースで2045年に5.4兆円もの維持更新費が掛かると見込まれている。
(※いずれも、2010年以降の新設投資をゼロと見積もった場合であることに注意)

地方自治体が21兆円もの基金を貯め込まざるを得ないのは、将来見込まれる公的サービスの支出増加に対する地方の危機感の表れであり、そうした自助努力や基金積み増し(=支出減)の裏側に、地域経済の疲弊という多大なる犠牲が払われていることを忘れてはならない。

経済財政諮問会議における三馬鹿トリオの指摘は、地方の努力や犠牲を足蹴にし、踏みにじる許しがたい言動であり、件の馬鹿トリオには、いますぐ公職を辞して小学校からやり直せと窘めておきたい。

政府や財務省の連中は、小泉バカ政権による三位一体改革を旗印に2001年から地方交付税の削減を本格化させ、地方交付税は2000年の21.4兆円から2016年には16.7兆円まで22%減と大幅に削減されてきた。
(※最終的に地方の負担になるだけの「臨時財政対策債」を除く数値)

しかも、安倍政権誕生後も、2013年~2016年まで四年連続で削減されるありさまで、お得意の“地方創生”が聞いて呆れる。

本来なら、地方交付税交付金の総額は30兆円に届いていて然るべきだが、現実はその55%程度でしかなく、地方の財政運営が火の車になるのも仕方あるまい。

経済財政諮問会議の連中は、地方自治体が爪に灯を点すような努力と節約の末に積み上げた基金をムダ金扱いするのではなく、地方創生の看板と明らかに矛盾する地方交付財源の縮減にメスを入れ、誤った緊縮政策を主導する政府や財務省に対して異を唱えるべきではないか。

彼らに限らず、地方を“金喰い虫&足手まとい扱い”するバカ者は、地方を国の子分と見下し、国をそうしたお荷物(東京都を除く)の集合体だと勘違いしていないか?

これは、国全体を、都道府県単位に分断・分割された地域の集合体だと見做すもので、その根底には、国と地方とを主従関係や隷従関係に置く発想ある。

彼らにとって、東京や首都圏、あとは、せいぜい大阪圏と中京圏辺りまでが“日本国”であり、青森や高知、鳥取みたいな辺境地に住む物好きは、何の生産性もなく大した付加価値も生まないくせに、国(中央)にカネを無心するだけの物乞い程度にしか思っていない。

よって、地方経済の疲弊なんて完全に他人事で、鳥取県の人口が60万人を割り込み、自治体消滅の危機に晒されても、「日本の国土の一部が欠落してしまう」という切迫感はまったく無く、「どうせ田舎に住む物好きが困るだけだろ? 交付税負担が減ってせいせいするわ」と冷たく見放すのがオチだ。

日本という国は一つの国土の上に成り立つ国家であり、地方自治体は、中央政府に成り代わって、その一部の地域で、便宜的に行政行為を執行しているに過ぎない。
よって、行政行為に必要な資金が足りなければ、国(中央)にカネを要求するのは当たり前で、それに疑義を唱え、地方が国から施しを受けるかのように考える方がどうかしている。

これは人間の身体に置き換えれば、すぐに解る話である。

自分の体の何処かに異変が生じれば、コスト云々に係わりなく、健康体を維持するために治療を施そうとするのが普通の神経を持つ人間だろう。

酷い頭痛がすれば頭痛薬を飲むし、足を骨折すれば整形外科や整骨院に行き治療する。
足は要らぬからと言って、骨折した足を放置するバカ者など何処にもいない。

国と地方との関係とて、これと同じことだ。

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