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2017年5月26日 (金)

日経記事のレベルは「回覧板」並み

『1万円札廃止論の裏側 』(5/25 日本経済新聞電子版)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC24H09_U7A520C1ENK000/?n_cid=NMAIL001
『「まず1万円札の廃止を」――。こんな書き出しで始まる本が今春、日銀内で話題になった。ハーバード大のロゴフ教授の近著「現金の呪い」で、冒頭の言葉は日本語版の序文に掲載されている。
主張の根拠は大きく2つ。世界中で増え続ける現金が脱税など不正の温床になっている点と、紙幣への逃避を防げばマイナス金利政策が効果を発揮しやすくなるという点だ。(略)
第一生命経済研究所は現金のうち40兆円強がタンス預金に回っていると分析。東京都内の税理士はタンス預金が急増する背景に徴税当局の資産把握から逃れたい富裕層の動きがあると指摘する。(略)
 「やはりマイナス金利しかないのか」。ある日銀マンはこんな感想を述べる。日銀は16年9月の総括検証で今後の追加緩和の手段としてマイナス金利の深掘りを挙げた。
マイナス金利政策を導入してから、マネーは現金への逃避を一段と加速させている。仮に一般の預金にマイナス金利が適用されれば、銀行に預金せず、自宅で現金を持つ人が増えるだろう。これは金融緩和が経済を押し上げる経路の制約になる。(略)」

日経新聞の記事は、スポーツ欄を除いてくだらぬ内容が多いが、上記の記事は、いつにも増してレベルが低い。
本人たちはクオリティペーパーを気取っているが、所詮は経済ゴシップ満載の“回覧板”でしかない。

件の記事の内容は、
①現金紙幣への逃避が金融緩和政策の効果を打ち消し、脱税の温床と化している
②量的緩和の限界論が囁かれる中で、もはやマイナス金利しか打つ手が無い
③マイナス金利の適用範囲を一般預金に拡大するのも一考だが、現金があるばかりにタンス預金への逃避が増えてしまう
④「現金」を無くすしかない
という文脈で語られている。

こんな愚にもつかぬことを本気で検討しているのなら、ロゴフ教授も、日銀マンも、記事を書いた日経記者も、揃いもそろってバカばかりと言わざるを得ない。

そもそも、現金の存在を脱税の温床扱いしても何も解決しない。

たとえ現金を廃止したとしても、大半の国民(ほぼ日本人の100%)が買い物の利便性を失い、クレジットカードの不正利用のリスクに晒されるだけに終わる。
肝心の脱税犯はといえば、現金から貴金属へ隠し資産を移すだけのことで、何の痛痒も感じないだろう。

富裕層の脱税に眉を顰めるのなら、現金廃止といった劇薬を選択せずとも、タックスヘイブンのような抜け穴を塞いだうえで海外への資産移転を厳格化し、所得税率をもっと上げればよいだけだ。

また、現金への逃避が金融緩和政策の足を引っ張っているかのような指摘は、まったく的外れだ。

記事では、40兆円強がタンス預金に眠っていると大袈裟に騒いでいるが、MBが400兆円、MSが1,000兆円にもなろうかという中で、たかが40兆円の現金がタンスや金庫の中で居眠りしたとて、何の影響があろうか?
バカも休み休み言ってもらいたい。

記事中の日銀マンが、何を根拠に「やはりマイナス金利しかないのか」と溜息をついたのかは解らぬが、鳴り物入りで登場したマイナス金利政策は、所期の目的をほとんど果たせていない。

金融機関に対する融資増加プレッシャーを狙ったマイナス金利だが、導入後の全国銀行貸出額の増加率は約2.9%に止まったのに対して、預金額の増加率は6.2%と預金ばかりが増える結果に終わり、預貸差は300兆円近くにも拡がっている。

日銀はマイナス金利の導入によって、日銀当座預金の一部に手数料代わりに金利を課し、金融機関に貸出増強のプレッシャーを掛けたつもりだろうが、金融機関サイドとしては、いくら背後から追い立てられても、肝心の企業や家計の投資意欲が冷え込んだままでは、貸出額を伸ばしようがない。

やはり、貸出(融資)というものは、資金供給サイドからのプッシュ型ではなく、需資サイドからのプル型でないと上手く行かないし、それが本筋なのだ。

記事では、何を血迷ったのか、一般預金へのマイナス金利適用にまで言及しているが、人心を解せぬ愚策や下策としか言えない。

こんな危険な政策を実行したら、全国の銀行で取り付け騒ぎが頻発し、金融システムが破綻してしまうだろう。
マイナス金利(=預金手数料の徴収)に狼狽する国民を前に、現金まで廃止するなんて宣言した日には、間違いなく暴動が起き、政権もろとも吹っ飛んでしまう。(安倍政権が吹っ飛ぶ分には構わないけど…)

黒田日銀が断行する金融緩和政策一本足打法が上手く行かぬ原因は、現金のせいでも、脱税のせいでも、はたまたタンス預金のせいでもない。

積極的な財政政策の実行による消費や投資の原資や実弾をふんだんに供給する道が途絶しているため、実体経済の温度が、金融緩和政策が最も真価を発揮できる温度帯にまで上がってこないことが原因なのだ。

こうした根本的な問題に手を付けず、何の関係のない分野にいくら八つ当たりしても、事態は一歩も進展しないだろう。

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