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2017年6月26日 (月)

実弾は100回の雨乞いに勝る

『好景気でも鈍い物価、日銀内で省力化対応など背景との見方』(6/21 ロイター発World&Business)
http://diamond.jp/articles/-/132871?page=2
「景気が好調にもかかわらず、物価の足取りが鈍い理由として、賃金上昇圧力が価格上乗せへと波及するルートが細くなっているとの見方が日銀内で浮上している。深刻な人手不足に対応した企業の営業時間やサービスのカット、省力化投資の推進などが背景にあるとみられる。 
日銀が21日公表した4月26・27日の金融政策決定会合の議事要旨によると、労働需給の引き締まりに比べて物価が緩慢な理由について、企業が労働力確保のために賃上げを行う一方、「コストの増加を価格に転嫁するのではなく、営業時間の短縮や提供するサービスの見直しなどによって対応する動きがみられる」との見解を何人かの政策委員が示した。
 深刻な人手不足を背景に、外食や小売業を中心に営業時間を短縮する動きが出ているほか、宅配便の配送時間の見直しなど対応策を講じる企業が相次いでいる。(略)
マクロ的には、需給ギャップのプラス転換が実現し、プラス幅もさらに拡大傾向を示している。そこに人手不足による賃金上昇圧力が継続すれば、いずれ物価上昇圧力が高まる──というのが、日銀内の多数意見と言える。
 黒田東彦総裁は16日の会見で、足元の物価の弱さを認めながらも、さらなる需給ギャップの改善が「賃金・物価の押上げ圧力になっていくことは間違いない」とし、「賃金の上昇は、次第に販売価格やサービス価格の上昇につながっていく」と価格転嫁の実現に期待感をにじませた。(略)」

日経をはじめとする新聞各社や経済誌を読むと、現状認識の第一ボタンを掛け違えている記事やコラムをよく見かけるが、上記の記事は、その典型と言える。

当該記事では、大きなボタンを掛け違えが二つある。

一つ目は、現状の景気判断を勝手に「好調」だと言い切り、それを前提に物価云々を語っている点だ。
二つ目は、このまま黙って待っておれば需給ギャップが拡大し、賃上げ→物価上昇にまで波及するはずだと妄想している点だろう。

先ず、これほど経済指標のパフォーマンスがだらしないのに、「好景気」とか「好況」なる言葉を使うこと自体の神経を疑う。

あたかも、打率200、打点35点、本塁打6本くらいのヘッポコバッターをつかまえて「不動の四番」とか「チームの柱」と持ち上げるようなものだ。

日銀の生活意識アンケートでも、ここ1年以上、景気が良くなったとの回答は常に1割未満(直近で6.9%)でしかなかったし、景況感DIに至っては、「1年後の景気は良くなる」とのDI値がプラス化(とは言っても0~1程度だったが…)したのは、ここ20年で8回あったが、蓋を開けてみると、実際にプラス化したのは、たったの1回だけという有り様で、人々の期待は裏切られ続けてきた。

また、家計消費支出も、1年7カ月以上も対前年マイナス続き(うるう年効果除く)という体たらくで、サラリーマンの平均年収も20年前より50万円以上も低いままという惨状だ。

この期に及んで、「アベノミクスのおかげで空前の好景気が到来したが、なぜか物価が上がらない」と嘆く輩は、単なるバカ者か、不況や現実を認めたくないだけの詭弁師でしかない。

“民主党政権時よりマシ”、“リーマンショックの頃よりマシ”、“石破を総理にするよりはマシ”等々、最低・最悪との比較には、まったく意味がない。
思い出したくもない過去と比べたところで、目の前にある飢餓感が癒される訳ではないからだ。

次に、“もうしばらく辛抱すれば、需給ギャップの拡大が賃上げを後押しして物価も上がるはず”という日銀の見方は、根拠ゼロの雨乞いか祈祷の類としか思えない。

当該コラムによると、日銀金融政策決定会合の議事要旨では、『企業が人件費上昇を価格に転嫁できない理由として「人々のデフレマインドが根強く残っており、企業が価格引き上げに動きにくい状況にある」との意見が示された』そうだが、そこまで解っていて、需給ギャップ拡大が賃金UPにつながると期待する方がどうかしている。

残念ながら、多くの企業が直面している課題は、ディマンドプル型の需要拡大による供給力不足(人手不足)ではなく、原材料高による仕入コストUPや、人口動態要因による大量の定年退職者と絶対数の少ない新卒求職者とのアンバランスがもたらす高度スキル人材不足なのだ。

これを補うのに、IT化や省力化、自動化に取り組む企業も多いが、日銀首脳部が指摘しているとおり、国民のデフレマインドはかなり重症で、それらに掛かる投資コストを回収できるだけの収益を上げるのはほとんど不可能に近い。

市場占有力の強いナショナルブランドを中心に、末端価格引き上げや内容量減による実質値上げを強行する例も相次いでいるが、価格変動に敏感な消費者から強烈な反発を喰らい、返り討ちに遭っている。
ユニクロや日清食品、マクドナルド、ロイヤルホスト、ワタミなどが良い事例だ。

需給ギャップ拡大が賃上げの導火線となるのを期待しても無駄なことで、緊縮&金融政策頼みの経済政策下では、「需要>供給」状態になるきっかけすら見えないし、需要を先行させるなんて絶対に不可能だろう。

そもそも、需給ギャップ拡大→賃金UP→物価上昇というシナリオの、第一幕が始まらないのだから、以降のシナリオが演じられるはずもない。

加えて、賃金上昇とは言っても、今年の春闘のベアやボーナス要求・回答水準は昨年度を下回る惨状であり、また、パートやバイト人材についても、人手不足による若干の時給UPは認められるが、それとて、せいぜい数十円単位と所得上昇効果を期待できるほどの物量にはなり得ず、奥様方のヘソクリを増やすだけに終わるだろう。

金融政策決定会合における日銀首脳部の「人々のデフレマインドが根強く残っており、企業が価格引き上げに動きにくい状況にある」という認識自体は正しいのだから、それを解決し、根治するためには、家計のデフレマインドを払拭する、つまり、需要サイドに内在する問題を真っ先に解決する必要がある。

家計の消費心理を委縮させ、需要サイドの体温を低下させている原因は何かと言えば、これまでの収入(財布の中身)や雇用に対する不満と不安であろう。

雨乞いや祈祷で不満や不安を払拭するできるわけがないから、採るべき政策は、不満を霧散させるだけの実弾(収入)を家計の懐にねじ込んでやることだ。

端的に言うと、
①家計の給与明細の総支給額を増やすこと(積極財金政策による企業経済活動の刺激)
②給与明細の控除額を減らすこと(税や社保負担の減額)
③預金口座に入金された給料を使う際の実質額を増やすこと(消費税の廃止等)
の三点に尽きる。

緊縮派や構造改革派による、くだらぬ御託や観念論、供給制約論、財政制約論は、もう聞き飽きた。
文句があるなら、人々の成長マインドを可及的速やかに刺激できる政策を持ってこいと言っておく。

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