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2017年6月15日 (木)

リフレ派の懺悔は聞き飽きた

アメリカの前FRB議長ベン・バーナンキ氏が、先月、日本の金融政策がもたらした経済的効用に関して、自らの見通しの甘さを懺悔した。
(翻訳文の参照先:http://econdays.net/?p=9121)

上記サイトから、バーナンキの発言を掻い摘んで紹介すると、
・インフレ目標達成の重要性に変わりはないが、日銀の金融政策だけでは、達成は極めて困難な状況だ
・これを打破するには、政府の積極的な財政政策による追加の総需要創出が必要だが、政府は債務対GDP比の制約下にあり、これに及び腰にならざるを得ない
・デフレ脱却のためには、財政政策の拡大が債務残高対GDP比の悪化に結びつかぬよう配慮する必要があり、財政政策と金融政策の連携が欠かせない
・追加の財政支出や減税によって生じる債務残高対GDP比の悪化は、金融当局による将来のインフレ誘導によって相殺すべき
といったところか。

それにしても、リフレ派の御大は懺悔や反省がお好きなようだ。

以前に、P.クルーグマンが、これまでのインフレターゲット万能論を撤回し、2015年10月の自身のブログ記事「日本再考(Rethinking Japan)」で、「日本はインフレ率を上げるために拡張的な財政政策をもう一度大いに試すべき」と財政政策の有効性を認め、他の寄稿記事でも、アメリカのリーマン危機脱出の要因について、FRBの量的緩和が有効だったとしつつも財政政策が主たる効果を上げたとの見方を示している。

また、昨年11月には、浜田内閣参与が、「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ」と金融政策一本足打法の限界を吐露したのは記憶に新しい。

彼らの反省文に共通するのは、
①デフレ脱却なんて、金融政策だけで十分だと高を括っていた(=利権の温床になりかねず、国民を甘やかすだけの財政政策なんてやるべきじゃない)
②だが、何年金融緩和を続けても、家計や企業の消費・投資意欲は盛り上がらず、インフレ率は一向に上昇しなかった
③民間のインフレ期待を押し上げて、実質利子率を引き下げ、将来の成長見込みを醸成する試みは失敗に終わった
④この上は財政政策(財出や減税)の協力を頼むしかない
といった点だ。

リフレ派の連中は、金融政策一本足打法なるニセモノのインフレターゲット政策が、株式市場や長期利子率、為替レートに好影響を与え、労働市場の改善にも一役買ったと必死に喧伝してきたが、肝心要の国民の平均所得はほとんど改善させられず、消費支出は1年半以上も対前年マイナスと低迷したままだ。
ご自慢の労働市場改善云々についても、そのほとんどが人口動態の変化によるもので、単に非正規雇用とパートが増えただけに終わっている。

財金両輪の経済政策の有効性を説く機能的財政論を理解する論者にしてみれば、彼らの反省文の内容なんて、既に何年も前から厳しく指摘してきたものであり、何を今更という感が強い。
ノーベル賞学者が揃っていながら、この程度の初歩的なミスを何年も無視し続けた事実に呆れ返っている。

財政支出の蛇口を閉めたまま消費税増税に賛成し、量的緩和政策によって数百兆円もの既発債を買い漁った挙句に、「何でインフレ率が上がらないんだ? インフレ期待が起きないのは、ひょっとして、財出が足りないからなんじゃないか?」と今頃になって気付くようでは遅すぎる。

こちらにしてみれば、真顔で『自動車って、ガソリンを入れないと走らないものなの?』というレベルの質問をされた気分だ。

バーナンキは、財政政策と金融政策との連携を唱えながらも、財政政策の拡大が債務残高対GDP比の悪化に結び付く云々と愚図愚図言っているが、余計な心配をせず、力強い経済成長と適切な分配構造の構築に邁進すればよい。

世界トップクラスの対外債権国で、政府債務が自国通貨建ての内国債主体の我が国において、国債の対GDP比率など気に掛ける方がバカげている。
ましてや、極度の長期デフレと史上空前の超低金利下で、債務の発散や高インフレ、金利の急上昇を懸念するなんて杞憂もいいところだ。

成長したくない理由を並べて財政政策に足枷を嵌めようとするなら、財政と金融の連携なんて夢物語で終わってしまうだろう。

債務残高の対GDP比率が気になるなら、日銀が保有する国債を債務残高から差し引けばたちどころに解決する話であり、それでも心配なら、政府紙幣を発行して財出に直接投入してもよいし、国債整理基金として積み立てて、国の借金とやらが気になって眠れない神経質な連中を黙らせる手もある。

今回、クルーグマンや浜田参与に続き、バーナンキが財政政策に助けを求めたのは良い傾向と言えるが、リフレ派の連中は何かと詭弁を弄してすぐに前言を撤回し、金融政策一本足打法に回帰する癖があるから、バーナンキの懺悔も話半分で聞いておくつもりだ。

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