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2017年7月12日 (水)

アベノミクス周辺は経済素人だらけ

『森長官"異例の3年目"地銀が落ち込む理由』(PRESIDENT Online 7/6 ジャーナリスト/ 鷲尾 香)
http://blogos.com/article/233003/
「(略)政府は7月4日、金融庁の森信親長官と総務企画、検査、監督の3局長が留任する幹部人事を発表した。ある関東地区地銀の役員は、「事前に雑誌辞令が出ていたので、森長官の留任は予想していたが、実際に留任となると気が重い。これからの1年、経営に行き詰まる地銀が出てくるかもしれない」と肩を落とした。
森長官の留任に、地銀業界が落胆するのには訳がある。日本銀行が16年2月にマイナス金利政策を導入してから、初めての通期決算となった17年3月期決算。金融庁のまとめによると、本業の収益から国債等債券損益などを差し引いた「実質業務純益」は、都市銀行(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)で前期比13.2%の減少となった。第二地方銀行41行も合計値が同16.0%減と都市銀行を上回る減益だったが、もっとも減益となったのは地方銀行だった。地方銀行64行の合計値は同19.8%減と約2割も収益が減少した。(略)」

記事の中で鷲尾氏は、地銀幹部が森金融庁長官の留任に恨み節を述べる理由を次のようにまとめている。

①日銀のマイナス金利政策により、地銀各行にとって収益の柱となる預貸金利ザヤ(貸出金利-預金金利)が大幅に縮小したため、貸出量拡大でカバーせざるを得ないが、不況や過疎化による資金需要低迷でそれも叶わない

②事態打開のため、積極的な有価証券運用を試みるも、森長官は、「地銀以下の業態による有価証券運用には、運用体制面や運用ノウハウなどで問題のあるところも多い」として、有価証券運用の検査を厳格化してしまった

③地銀サイドは、収益対策として無担保・無保証・高金利の「カードローン」を積極的に推進しており、これは、「融資は原則として無担保・無保証であるべき」という森長官のリクエストにも一部合致するはずだが、当の金融庁は、“カードローン=サラ金地獄”を連想する消費者団体からの自粛の声に同調する始末だ

④金融庁が勧める無担保・無保証融資の推進や、新規事業に対する積極的な融資は、大きな貸出リスクを内包しているが、有価証券運用やカードローンといった収益源を断っておきながらリスクばかり押し付けられては堪らない

地銀幹部の落胆ぶりに同情を禁じ得ないが、たとえ森長官の首を挿げ替えたところで金融庁や日銀の方針が変わるものではなかろう。
金融庁のトップなんて、内閣府か財務省の息が掛かった連中ばかりだから、政権のご機嫌伺には熱心だが、監督対象である金融機関の立場に配慮する者なんて滅多にいない。

金融庁なんて、不良債権問題や預金者保護が話題になると、金融機関の融資姿勢を厳しく締め付け、逆に、貸し渋りや地方創生が話題になれば、たとえそれが不良先であっても「融資できない理由を公にせよ」と尻を叩くような支離滅裂ぶりで、まさに、“朝令暮改”や“アクセルとブレークの同時踏み”を命じて平気な顔をする厚顔無恥の輩である。

最近でこそ、金融機関を締め上げた“強権の象徴”として悪名高い「金融検査マニュアル」の凍結・刷新を決め、金融機関との対話を重視する方針を打ち出した。
しかし、次の日経記事の記載どおり、「監督官庁」としての傲慢や増長ぶりが抜け切れぬようなら、検査マニュアルの刷新も無意味なものになるだろう。

【記述1】
「(金融検査マニュアル見直しの)狙いは銀行の経営モデルの変革だ。実体経済に眠ったままのマネーを動かそうとしているからだ。国内行の貸出金残高は約480兆円。最近は上向きつつあるが、00年代初頭とほぼ同水準にとどまる。一方で預金残高は700兆円を超え、5割増えた。この眠る預金を成長投資に振り向かせたい。健全性の確認だけではなく、将来へのビジネスモデルを描けているかを確認する。銀行に守りの経営から攻めの投資を促し、フィンテックや地方創生などを通じて「顧客本位」の金融サービスの普及を狙う。」

【記述2】
「不正融資が発覚した商工組合中央金庫には5月24日、金融庁主導で立ち入り検査に入った。麻生太郎金融相は「なかなか育成庁にさせてもらえない状況なのが問題だ」と指摘。金融庁が強権を封印するのは金融機関が健全性を保ち、社会的信頼を維持するのが前提だ」
(いずれも6月8日付日経新聞記事より)

記述1は、融資が伸びない原因を、金融機関の事業性評価スキル不足や攻めの姿勢の欠如に責任転嫁しようとするものだ。
また、記述2は、商工中金の天下り官僚や出身母体の経産官僚による無謀な融資ノルマのゴリ押しを、金融機関の融資市営の甘さの問題にすり替えるもので、何れも金融庁や財務省、官邸サイドの責任を金融機関側におっ被せてトカゲの尻尾切りで誤魔化そうとする非常に性質の悪い記事だ。

麻生金融相(財務相)は、さも、金融機関側の融資姿勢が改まらないから、何時まで経っても金融庁は検査監督庁のままで育成庁になれないと嘆く素振りするが、バカも程々にしろと言いたい。

中小企業の経営者と議論したことが無く、企業の財務諸表ひとつまともに分析できず、経営のイロハすら解らぬシロウト官僚どもが“育成”できるほど金融事業は甘いものではない。

麻生金融相をはじめ金融庁や財務省の連中には、融資の基本を教えてやるから、2~3年ほど金融機関の支店に張り付き、どぶ板営業の見習いでもやってみろと言っておく。

冒頭の鷲尾氏の記事に、「一地銀が頑張ったからと言って、地方が創生するような生易しいものではない。少子高齢化、地方の過疎化を放置したこれまでの政府の無策を、地銀に押し付けるのはおかしい」という地銀役員の憤懣やるかたない意見が紹介されていたが、筆者もこれに同意する。

地方創生然り、融資活性化然り。
地方交付税の大幅な増額、財政支出による地方産業の育成や公共投資の推進といった思い切った手を打ち、問題の根源や基点に手を突っ込まぬ限り絶対に解決しない。

新自由主義や緊縮主義に染まった歴代の政権は、「日本の財政危機は深刻」という大嘘を金科玉条の御本尊に祭り上げ、積極的な財政金融政策という武器を封印したまま経済問題の解決に当たってきたが、案の定、何の成果も出ていないどころか、病根を放置したせいで、病状(=後進国化&不況の常態化)は悪化の一途を辿っている。

政府や金融庁が自身の経済無策の責任を金融機関に転嫁して、“もっと融資に積極的になれ”、“事業評価スキルを磨いて成長企業を発掘しろ”、“フィンテックで金融革命だ”と叫ぶ様を見るにつけ、あまりの見識の低さと浅知恵に唖然とさせられる。

彼らは、融資を伸ばせばデフレ脱却も地方創生も成功すると勘違いしているようだが、原因と結果がまったく逆なのだ。
政府による適切な経済政策と民間経済主体の努力によって実体経済が活性化(=好況)し、それが企業や家計の資金需要を刺激するのであって、その逆はあり得ないことくらい解らないのか?

靴の上から足を掻き、痒みが止まらぬと靴に文句をつけるような大バカ者に、国民生活の未来を左右する経済政策の舵取りを任せてはいられない。

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