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2017年9月20日 (水)

ダウンサイジングが選挙の争点化する不幸

『衆院選で首相、消費増税の使途変更問う 教育無償化に~財政健全化遠のく』
(9/19日本経済新聞電子版)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H2A_Y7A910C1MM8000/?dg=1

「安倍晋三首相は18日、2019年10月の10%への消費増税を予定通り実施し、増税分の使い道に子育て支援や教育無償化の財源を加える検討に入った。8%から10%への増税分の約8割を財政健全化に回すとした使途割合も見直す。憲法改正とともに10月22日投開票の衆院選で訴える。ただ20年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)を黒字化するとの目標は先送りが不可避だ。(略)」

報道のとおり、安倍首相は9月28日召集の臨時国会の冒頭で衆議院解散を宣言し、10月10日公示~22日投開票の日程で衆院選を行うとのこと。

今回の解散報道を巡り、野党から、「森友・加計問題隠しだ」、「北朝鮮のミサイル問題を放り出すのか」と強い批判が浴びせられ、一方、与党支持者からは、「そもそも、解散を迫っていたのは野党側ではないか」とカウンターパンチが飛び交い、公示前からかなりヒートアップしている。

だが、筆者は、この「山尾不倫解散」の行方に大した興味を持てずにいる。

衆参を問わず、主な現職議員たちの思想や発言を見渡す限り、彼らの国家観や社会観、経済観は、何れも経世済民を目指すレベルに達しておらず、それどころか、「緊縮・構造改悪・規制緩和」の三本の毒矢で日本社会を破壊しようとする連中ばかりで、現段階で選挙をしても、幾人かの糞蠅が消えて新たなウジが湧く、あるいは、汚い泥水を掻き混ぜる程度の結果にしかならぬだろう。

日経記事のとおり、与党側は緒戦から、「消費税率10%への引上げ」を土台とした予算配分論を選挙の争点化するという大きなミスを犯した。

なにせ、9月に時事通信社が行った世論調査では、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げについて、「見送るべきだ」が58.1%と、「予定通り引上げるべきだ」の34.3%を大きく上回るほど増税に対する国民の抵抗感は根強いものがある。

所得が増えぬ状況下で、食料品やガソリンなど生活物資の高止まりや値上がりに耐え忍ぶ国民としては、消費税率UPに対する忌避感が強くなるのは当然だろう。

ここで消費税率引上げを争点化する与党サイドの戦略の拙さに唖然とさせられるが、これを猛攻撃すべき野党やマスコミサイドは、与党の拙攻に対して、国民の生活困窮や経済成長の足枷という観点ではなく、何を血迷ったのか、増税分の使途変更が財政再建の遅れ招くというまったく的外れな批判を浴びせるありさまで、敵のミスを突くどころか、アシストするつもりにしか見えない。

まぁ、与野党を問わず現職議員連中の大半は、経済の意味や意義、社会機構における役割をまったく理解していないから、選挙の争点がトンチンカンな方向に逸れてしまうのも仕方ない。

今回の解散に関して、日本維新の会のアホ代表(松井一郎)は、「選挙は戦いだから、有利な時期に解散をするというのは、だからこそ総理に解散権がある。いつも衆院議員は常在戦場って言っている。批判してもしょうがない。それ批判するのは、負け犬の遠ぼえだ。」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170918-00000053-asahi-pol
と偉そうに語っているが、彼らがいつも口にする「常在戦場」との格好良いセリフとは裏腹に、戦場にいるはずの議員諸侯には“戦局”がまったく読めていない

いかがわしい維新の会だけではなく、主要政党代表の発言を聞いていると、消費税率引上げの可否について多少の意見の違いはあるが、各党とも、「身を切る改革」や「財政再建(=聖域なき歳出カット)」を主軸とする『緊縮政策』の断行という方向性で見事に一致している。

そもそも、このタイミングで増税肯定論と財政再建肯定論が争点化されてしまう背景には、現況を「景気回復期」や「経済成長期」と見做す政治家たちの認識ミスがある。

昨今、政府やマスコミからGDPの大幅な成長や個人消費の堅調さが報じられているが、虚構の大本営発表は、国民個々人の生活実態とは大きくかけ離れている。

総務省が公表する「家計調査」によると、今年6月の消費支出(二人以上の世帯)は、1世帯当たり268,802円と、16カ月ぶりに前年同月比で実質2.3%増加し、4-6月期のGDP成長を裏付けるかと思われたが、翌7月の数値は、実収入が対前年同月比で実質3.5%も増えたにもかかわらず、消費支出は実質▲0.2%と再び下降局面に入ってしまった。

今年6月の消費支出は、昨年比で増えたとはいえ、3年前(H26)との比較では▲1.5%、5年前比(H24)で▲0.4%、10年前比(H19)で▲4.2%と、絶対値としてはあきらかに低水準でしかない。

家計の支出額が、いまだに10年前よりも少額でしかないのに、さも、景気が完全に回復したかのように浮かれるのは拙速に過ぎる。

多くの国民は、あまりにも長過ぎた不況への警戒心を解こうとはせず、少々収入が増えても、支出を抑えたがっており、この局面で消費税の廃止や減税ならともかく、増税を議論するなんて、戦局がまったく読めない連中のシロウトぶりには呆れ果てるばかりだ。

景気回復説を唱える連中の眼は、いったい何処を向いているのか?

程度の低い議員諸侯は、社会機構の破壊を「改革」と信じ込み、実体経済の縮小を「財政再建」だと勘違いしたままで、創造や成長の重要性をまったく知らぬから、国民に危機感を煽り、大きな船から小さな船に乗り換えさせたがる。

彼らには、実体経済をマクロ的に捉え理解する視野と、富国・済民の意志が致命的に欠けており、日本の国力や経済力、国民の生活水準を“ダウンサイジング”することにしか興味がない。

だが、こんな縮小均衡策を繰り返していけば、遠からず我が国は、東アジアの惨めな後進国の地位に甘んじることになるだろう。

今回の解散について、解散大儀云々といった高尚な話はもう要らぬ。
現職の衆議院議員のうち、「経世済民の理を知らぬバカは、誰一人立候補するな」とだけ言っておく。

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コメント

経世済民の考えが世の中に浸透する日がいつになったら来るのでしょうね。
「失業率が減ったのだから賃金アップはそのうち来る。今は過渡期」?なのだとか?
どこかのコメント欄でこんなやり取りが行われていましたが
なんだかピンときませんね。
一体いつまで過渡期が続くのでしょうか?
一向に賃金は上がる気配がありませんが。はぁ・・・ため息が出ます。
そんな中で消費税増税とは。右を向いても左を向いても、党利党略や選挙戦のことばかりで、真に国民に寄り添った政治家が誰一人いませんね。

≫リトルマックさん

>「失業率が減ったのだから賃金アップはそのうち来る。今は過渡期」?なのだとか?

賃金アップの好機到来と思いきや、女性や外国人の活用によるコストカットが横行し、賃金アップの邪魔をします。

やはり、単なる人手不足では不十分で、好況下の人手不足でないと、真の待遇改善は難しいのでしょうね。

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