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2017年9月11日 (月)

一方通行のおもてなし

『日本人の「外国人観光客への偏見」が酷すぎる~「お・も・て・な・し」は五輪の年だけなのか』(8/22 東洋経済online執筆者:ミセス・パンプキン)
http://toyokeizai.net/articles/-/185483

「まもなく秋の観光シーズンがやってきます。多くの訪日外国人(インバウンド観光客)で、観光地はどこも混雑することでしょう。ところで私の狭い生活範囲でも、海外からの観光客に対する失礼な言動を目にすることが多く、心が痛みます。
特にアジア系の観光客に対して私たちはもっと、「おもてなしの心」で接するべきだと提案したいと思います。(略)
同時に一部の日本人にみられる、海外からの観光客は迷惑な人たちという偏見を払拭する努力も、今一度必要ではないかと感じます。(略)
私はこれは、ステレオタイプ化した外国人観光客に関する報道の仕方にも責任があると思います。民泊を利用するインバウンドに関する記事には、「ゴミの分別ルールを守らない」「周囲の迷惑構わず騒ぐ」と付記されることが多く、直接インバウンド観光客と接したことのない人にまで、まるで彼らが、日本にとってお荷物でしかないような、結果的に印象操作になっているのを感じます。(略)
私が目撃したインバウンド観光客に対する心無い人たちは極少数だということになりますが、数が問題ではないはずです。実際、観光客側にマナー違反をする人はいますが、それはどこの国にもいることですし、文化の違いも考慮する必要があります。十把ひとからげに偏見を持つのは問題です。(略)」

上記コラムは、アジア系や中国人観光客に対して日本人が失礼な態度を取った事例をいくつか挙げて、観光大国を目指す日本として大いに反省すべきと主張している。

今年の訪日外国人数は2600万人以上と過去最高を見込まれており、当然、あちこちで小さなトラブルが起きていることは想像に難くない。

だが、筆者は出張で何度も北海道を訪れ、道内有数の観光地である札幌や旭川、函館にも足を運んでいるが、観光スポットで外国人観光客がトラブルを起こした現場に遭遇したことはないし、現地の方からトラブルめいた話を聞いたこともない。

インバウンドの中でも中国人や台湾人は、とりわけ声が大きく、移動中の列車の中でガヤガヤ騒ぎ、狭い車内に大きなトランクを持ち込んで通行の妨げになっているのをよく見かけるが、幸いにもコラムで紹介されたようなトラブルに発展した例を眼にしたことはなく、日本人のインバウンドに対する偏見云々というパンプキン氏の指摘はやや大袈裟に思える。

確かに、早朝から路上に広がり大声出して歩きまわったり、京都や奈良辺りの古刹名刹で撮影禁止区域にズカズカ入り込んだりするアジア系観光客が目立つのは事実で、そうしたマナー違反者を苦々しく思う日本人も多いだろう。

だが、マナー違反者や我が国のルールを無視する不届き者に厳しい対応をするのは当然のことで、パンプキン氏のように、そこで生じた僅かな行き違いを針小棒大に採り上げ、アジア系差別や中国人差別の問題に結びつけたがるのは、明らかに行き過ぎだ。

事実、当該コラムに付いたコメントにも、
「ミセスパンプキンの日本人への偏見が酷すぎるという件」、
「客であろうがマナーのなってない人間に怒るのは当然。日本人だってつい20年前まではひどいマナーだと海外から怒られていたではないか。」、
「こういう記事を書いてる人が偏見に満ちてるのではないかと思います。皇居でマナーが悪いと日本人でも怒られますよ。「外国人だからマナーが悪くても許される」と思う方がおかしい。」
といった反論が溢れている。

執筆者の主張が、アジア系観光客への配慮不足への指摘を装いつつ、その真意が日本人を卑下しようとする偏見でしかないことを見事に見破られている。

先日出張で訪れた函館の商工団体で話を聞いたところ、インバウンド需要による観光業界の活況によりホテルの稼働率は上がり、人手不足も発生しているが、地域経済や地場産業への波及効果は思ったほど拡がりを見せてはおらず、ホテル業界の雇用条件が急速に改善しているわけでもないとのこと。

インバウンドが足を運ぶのは、一部の観光施設やホテル近辺の飲食店に限られ、そこから先まで波及せず、インバウンド景気の受け止め方には、地域内でもかなり濃淡がある。
筆者も、函館市内のホテル業界の求人をチェックしてみたが、フロントスタッフ正社員の月収は20万円前後、バイト時給は800~900円程度に過ぎず、北海道の観光地を代表する函館でも、いまだにこんなレベルなのかとがっくりした。

因みに、函館市の人口は今年時点で前年比3159人減の26万4592人と、減少数は北海道内自治体で最大、全国の市でも4番目の減少幅で、観光業界の活況が経済効果や人口維持にあまり役立っていないようだ。

こんな中、地元の方々は、急激に増えたインバウンド対応で日夜忙しく立ち働いても雇用条件が急速に改善される訳じゃなく、インバウンド向けの様々な投資負担を強いられるだけの厳しい現況に、かなりイラついていることは想像に難くない。

光明の見えない自分の生活とは裏腹に、優雅に旅行を楽しむインバウンドの呑気な顔を見せつけられ、観光地の国民や住民が不満を募らせるのは日本ばかりではない。

最近、ヨーロッパでも“観光客嫌悪症”なる動きが拡がっているようで、『広がる観光客嫌悪症(tourismphobia)』というブログ記事でも、そうした動きが紹介されている。
【参照先】http://kawano-europe-essay.hatenablog.com/entry/eco-3

件の記事では、観光客嫌悪症の原因を次のように要領よくまとめている。
「観光客嫌悪症のニュースを見ていると,反観光の動機は2種類あるように思えます.
第1は,観光客の数や振る舞いに関するものです.ベネツィアやバルセロナなどで見られます.観光客が多く訪れることで地域住民の生活が破壊されるという意見です.観光客が夜遅くまで騒ぐ,ごみをまき散らすなどの行為は確かに見られます.(略)
第2は,経済に与える影響です.これには民泊も関係しています.観光客が押し寄せることで,観光地には宿泊施設が増えていきます.住宅価格や家賃が高騰し,特に低所得者にとっては住居を確保することが難しくなりつつあります.(略)」

そのうえで、
「北欧などの経済が豊かな国では休みも多く,逆に南欧や東欧などは低くなっています.南欧や東欧で反観光運動が目立つのは,自分たちが観光に行けないのに他国から観光客が大勢押し寄せて生活を破壊する,という思いがあるのかもしれません.」
と、住民サイドの悪感情の要因を端的に表現している。

国民や住民の雇用条件向上や生活改善につながらない観光行政は、入込客やインバウンドへの妬みを増幅させるだけに終わる。
我が国の観光行政やインバウンド対策は、あくまで、“日本人の余暇拡大”という基本や土台に立脚したうえで、為されるべきものだろう。
他人からまともなサービスを受けた経験の無い者が、他人に十分なサービスを提供できるはずがない。

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コメント

私のいいたいことをぜーんぶうずら様が言ってくれた!と爽快感すらある記事でした。
日本が嫌いな日本人が日本には多すぎます。そんなに卑下する必要ないのに。
これも戦後GHQによって行われた学校教育の賜物ですかね。
この手の(パンプキン氏のような)論調に心底うんざりです。

≫リトルマックさん

本当に、日本人をシバきたがる日本人って多いですよね。

日本人が幸せになるのが気に喰わぬなら、お隣りの国に出て行って貰いたいものです。

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