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2017年9月22日 (金)

大機小機のインチキコラム

『消費税問答を採点する』(9/19 日経新聞 「大機小機」 執筆者:隅田川)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21270070Z10C17A9EN2000/

日経新聞の経済コラムとして有名な大機小機は、ごくたまに、積極的な財政政策や政府紙幣の活用といった日経らしからぬ大胆な提言がなされるが、98%くらいは「緊縮・改革・規制緩和・移民推進」を唱える日経教の経文で彩られる。

隅田川氏のコラムは、いかにも日経らしく消費増税を賛美する内容だが、その論旨の拙さに唖然とさせられる。

詳細は上記URLでご確認いただくとして、コラムは、消費税率引上げについて教官と学生とが問答し、学生の回答を順に採点していく形で進んでいく。

因みに、学生の回答に対する採点結果は次のとおりだ。

・学生A:「むしろ税率を下げるべき」→『ただの昼飯はない』という経済の大原則を理解していないから、成績はD(落第)
・学生B:「10%への引き上げは中止し、もっと経済状態が良くなるのを待つべき」→日本は戦後2番目に長い景気拡大局面にある。最新データを踏まえていないから、成績はC
・学生C:「消費税を10%に引き上げ、増収分は全て社会保障や奨学金などの充実に使うべき」→増税から逃げない姿勢は評価するが、財政の深刻さを十分理解していないから、成績はB
・学生D:「予定通り2019年10月に10%に上げ、増収分はできるだけ財政再建に充てるべき」→その通り。安倍首相と同じ認識だから、成績はA

そして、最上級のA+評価に相応しい模範解答は、「社会保障を中心に歳出を削減するとともに、少なくとも消費税率を15%へとさらに引き上げる」だそうだ。

筆者に評価を任せてもらえば、隅田川氏とは全く逆の評価になるが、例示された回答の中にはAもA+もない。
ましてや、“10%へ引上げ”や“社会保障費削減+15%へ引上げ”辺りの愚答には、Z(打ち首獄門)かZ-の評価(市中引回しのうえ火炙り)しか与えられない。

隅田川氏は、我が国は十分な景気回復局面にあるとの思い込みを前提に、火だるまの覚悟で増税をやり抜くべしと訴えたいようだが、そもそも、「日本は戦後2番目に長い景気拡大局面にある」なんて妄想を本気で信じているのは、よほどの変わり者だろう。

最新の日銀生活意識アンケート(第70回調査)を見ても、現在の景気水準について、「良い」が0.8%、「どちらかと言えば良い」は11.6%に止まり、1年前と比べての暮らし向きについて、「良くなった」との回答は5.9%でしかない。

これでも、市井の庶民感覚からすればかなり下駄を履かせた数値で、もっと対象者を拡げて本音ベースの調査をすれば、これらの数値は1/4くらいに縮小するだろう。

隅田川氏みたいに、民に苛政を押し付けて悦に入る変質者は、『ただの昼飯はない=フリーランチ否定論』を主張したがる。

しかし、国民の勤労・勤勉にタダ乗りし、国民が納めた税金をムダ喰いしているのは、財政再建の御旗の下に緊縮&徴税強化政策を優先させ、経済成長を阻害し、富の分配による国民への対価の支払いを拒否する政・財・官・報の連中だろう。

我が国の労働者は、韓国と並び世界最悪の長時間労働や不安定な雇用条件に晒され、拷問にも等しい精神的ストレスを抱えながら、日々懸命に質の高い労働サービスを提供している。
にもかかわらず、国税庁データによるH27の全産業平均給与額は361万円と、H10のピーク時(418万円)と比べて13.7%も低い水準でしかない。

これは平成元年頃とほぼ同水準に過ぎないが、世界中のどこを探しても、20年近く前より給与が減り、30年近くも前と同じ水準に止まる国なんてあるまい。

その間、日本人が怠け呆けていたなら話は別だが、周知のとおり、世界が驚愕し呆れるほどのワーカホリックぶりで、警察庁のデータによると、勤務問題を原因とする自殺者数は、H25に2,323人と、H1の1,099人から倍増している。

オーストラリアのように、鉄鉱石や石炭、小麦といった低付加価値産品の輸出だけでのんびり暮らしながら、いまや平均年収が7~800万円に達する国があることを思えば、日本人の平均所得が伸びないどころか減っているのは異常としか言えない。

緊縮主義者が好んで使う「経済にフリーランチはない」というセリフは、為政者の経済失政を糊塗するためのくだらぬ言い訳でしかなく、国民の勤労や勤勉さにタダ乗りし、ひたすら増税を課そうとする緊縮主義者どもこそ「タダ飯喰らい、ムダ飯喰らいの木偶の棒」で、国民は、彼らにこそ「勤労にフリーランチはない」と糺すべきだ。

最期に、隅田川氏おススメの「社会保障削減&消費税率15%への引上げ」という愚策に一言モノ申しておく。

アサヒグループホールディングスのアンケート調査(「いま、節約を意識していますか?」)によると、節約する理由の中で最も多かったのが「老後の生活不安のため(36.3%)」という回答だったそうだ。

個別回答を見ると、「年金制度も将来どうなるか全く不透明なので、老後に備えて節約を強く意識している」、「年金受給年齢がどんどん先延ばされて、もらえないことになりそうで不安しかありません」といった具合に、年金や医療・介護といった社会保障制度の縮小や先細りを不安視する声が多い。
【参照先】http://www.asahigroup-holdings.com/company/research/hapiken/maian/201702/00620/

こんな状況下で、隅田川氏の愚見通り社会保障費をカットし、消費税率を15%に引き上げてしまえば、消費は完全にシュリンクし、実体経済はデフレどころか、復元不能レベルの深刻な恐慌に陥りかねない。

これほど質の悪いコラムを掲載しながら、クオリティーペーパーを称する日経には経済を騙る資格がない。
いますぐ、『日本経済破壊新聞』に名称変更すべきだ。

ついでに言うと、『消費税増税なんて論外。消費税は今すぐ廃止し、所得税の累進課税強化や大企業を中心とする法人税率引上げ、及び、海外逃避資産や株式等金融資産への課税強化といった税制改革を実行。さらに、社会保障費の民間負担割合を半分程度に軽減させるとともに、大規模な財政政策により国家予算規模を現状の1.3倍程度に拡大させる』くらいで、ようやくA評価といったところではないか?

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