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2017年9月25日 (月)

生産性は上げるものではなく、上げるもの

『人の力をいかす日本へ(3)社会人の技能高める環境整備を』(8/24 日経社説)
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO19952520U7A810C1PE8000/

「失業率など雇用指標は改善しているが、自らの技能を伸ばす機会に恵まれていない人は多い。技能が高まらなければ賃金の増加も望みにくい。総務省の労働力調査によれば、教育訓練の機会が少ない非正規社員で不本意ながら働いている人は2016年に297万人と非正規全体の16%を占める。
 企業が新卒採用を絞った「就職氷河期」世代といわれる30代後半から40代半ばの層は、ほかの年齢層と比べて非正規雇用の比率が高い。「消費の中心的な担い手になった氷河期世代の所得が低いままだと経済への影響が大きい」と、日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は指摘する。(略)
 働き手が技量のレベルを上げたり別の分野の技能を身につけたりすることで、正社員登用、賃金増や待遇の良い企業への転職へとつなげていける環境をつくることが急務だ(略)
 まず求められるのは、企業が教育訓練に力を入れ直すことだ。(略)
 同時に重要なのが、仕事に必要な知識や技能を習得する職業訓練や、大学などでの社会人教育を充実させることだ。安倍政権が掲げる人材育成政策「人づくり革命」で、ぜひ力を入れてほしい点だ。
 日本の人材育成は特定の企業でしか役立たない「企業特殊的」な技能の習得に偏ってきた。ほかの企業でも通用する一般的技能にも力点を置かねばならない。(略)」

 日経のアホ社説は、いつ読んでも、どこから読んでも、問題点の捉えどころが幼稚くさい。
 この程度の内容なら、ご自慢の“クオリティーペーパー”や“経済誌”の看板を返上し、素直に政府や財界の広報誌に成り下がりましたと公言してはどうか?

 日本の生産性に関して、日経の論調は、
 ①我が国のGDPが伸びない原因は労働生産性の低さにある
 ②なのに、企業は社員の教育訓練コストを十分に掛けていない
 ③さらに、働く側も技能レベル向上への努力が足りない
 ④働き手の意識改革(技能習得への努力)なくして非正規雇用の割合増加は避けられない
 ⑤そもそも、特定の企業内でしか通用せぬ技能を上げるよりも、あらゆる業界で横断的に通用する一般的技能向上を図るべき
 という流れに持って行きたがる。

 そのうえで日経のバカ社説の結論を要約すると次のようになる。
 ❶日本の労働生産性向上のためには、教育訓練の強化しかない。
 ❷企業内教育だけじゃ大した効果は望めないから、教育訓練の専門機関に任せるべきだ。
 ❸特定の企業でしか役立たない知識やスキルなんてムダ。人材流動化の流れを本流化させるためにも、業種・業界の垣根を超えた横断的技能やスキルが一般化する社会を創るべき。

 当の社説では、非正規雇用の正社員登用を進めろ、企業は教育訓練に力を入れ直せ、働き手への投資が競争力の底上げにつながる、などと殊勝なことを述べているが、自分たちが、小泉バカ政権以降の労働規制撤廃の片棒を担ぎ、非正規雇用増加やOJT等の教育訓練機会の縮減の旗を振り、雇用条件や労働環境の大幅な悪化を招いた大罪を忘れたのか?

 彼らは、さも、日本の労働者が自己修練を怠り、それが生産性停滞を招いているかのように騙るが、事実誤認も甚だしい。

 早朝から深夜まで休日返上で働かせられ、やれ資格取得だ、スキルアップだ、QC活動だ、と鞭打たれる正社員。
 超氷河期という厳しいマクロ環境ゆえに、数十枚~百数十枚ものエントリーシートを突き返され、正社員登用への道を閉ざされてしまった非正規雇用社員。

 デスクや記者クラブで踏ん反り返って偉そうに天下国家を騙るだけで何の生産性も上げていない日経の連中は、激動のビジネス現場で汗水塗れて働いている人々に、「あんた方の待遇や給料が悪いのは、努力不足のせいだから。お前たちは今の環境に甘えてるんだよ。悔しかったら、中国人やベトナム人に負けないくらい生産性を上げてみろよ‼」と、堂々と正面から言ってみればよい。

 どうも、政財官報の世界では、“生産性向上なくして成長なし”という日経発の虚言が広く罷り通っているようだが、所詮は、内需停滞を前提に、生産性をコスト面でしか理解せぬバカ者の言葉遊びでしかなかろう。

・政府は財政政策みたいな借金を増やすだけの如何わしい経済手法は取り得ない

・内需拡大を夢見るのはムダ、これからは外需開拓しかない

・輸出振興には諸外国とのコスト競争が必須
 ↓
・生産性(=コスト競争力)アップしか生き残る道はない
という流れに持って行き、国内の労働者に更なる過酷な自己修練を課し、低賃金労働への従属を求めるのが、お決まりのパターンだ。

 日経流の“生産性向上なくして成長なし”という虚言は、一旦経済成長を成し遂げた国には通用しない。

既に質の高い労働力と優れた生産設備や流通機能を備えた我が国のような先進国では、“マクロ経済成長なくして生産性向上なし”と言うのが正解だ。
現に、日本人から見れば遊んでいるようにしか見えないEUや豪州の労働者の所得が驚くほど伸び、労働生産性順位の上位を占めているのも、かの国々が財政支出や資源バブルといったマクロ要因で高い経済成長率を“創り上げてきた”からに他ならない。

昼間のカフェでビール片手に仕事をこなし、残業がほぼゼロで、仕事より私生活優先のオーストラリア人よりも日本の労働生産性が低いなんて、本来あってはならないことだが、OECDのデータによると、オーストラリアの労働生産性は日本の1.26倍(2012年)もあるらしい。

この異様な逆転現象の要因を、資源バブルの波に乗り、名目GDPを1980年比で7.5倍、1990年比で3倍に拡大させたオーストラリアの幸運に求めるのが普通の感覚だと思うが、日経の連中みたいに歪んだ感性の持ち主は、これをすべて日本人の努力不足のせいにしてしまうから始末が悪い。

適切な財政金融政策でマクロ経済に需要のエネルギーを与え続ければ、それだけ国内企業のビジネス機会も増え、収益率も向上し、生産性など黙っていても上がっていくものだ。
ましてや、日々改善活動に勤しむ日本なら、労働生産性の世界ランクベストテン入り(2012年時点で21位)も余裕だろう。

日経のバカ社説は、安倍政権が掲げる人づくり革命をヨイショし、職業訓練の充実だ、リカレント教育だ、と威勢がよいが、こんなものは、安倍ちゃんのお友達のパソナやFラン私学の連中を悦ばせ、労働者に更なる負担を強いるだけに終わる。
その先に待っているのは、「日本人はいくら教育しても文句ばかりで使えない。仕方ないから優秀な移民で代用するか」という移民促進論であり、日本人労働者は安く扱き使われるだけの運命にある。

経済誌を騙るエセ新聞の妄想に騙されてはいけない。

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コメント

裏を返さなくても、
根性論(教育訓練の強化)と侵略(外需開拓)の話に聞こえますね。
平和主義どこ行ったw
グローバリズムなんて平和と安定有ってのモノだけど、
自己免疫みたいに自滅の道を辿りますね。

≫774さん

対価なき根性論を振りかざすバカは、本当に有害ですね。

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