無料ブログはココログ

リンク集

« 「小さくて無責任な政府」 | トップページ | 他者を思いやれる草の根であれ »

2017年10月30日 (月)

「消費税は平等」と主張するエセ論者

我が国は20年もの間、世界でも稀な“非成長国”たる地位に甘んじてきたせいか、多くの国民は経済成長の大切さを忘れ、雇用の質や所得の向上に諦観の念を抱きつつある。

“希望失調状態”に陥り抵抗力を失くした国民の周囲には、いかがわしい学者や論者が跋扈し、増税や社会保障費&歳出の削減を囁きつつ、国民の意識から“希望や期待”を完全に消し去ろうとする。

実際、消費増税や社会保障費削減を声高に叫ぶエセ論者(自称プロの経済学者)の中には、次のような主張をする者がいる。

①GDPの6割を占める消費が弱いのは、国民が「社会保障制度の持続可能性」に不安を抱えて貯蓄に勤しみ消費を手控えているせいだ。

②増える一方の社会保障費を増税なしで賄うとすれば、無税国家にして100兆円規模の国債発行が必要になるが、そんな馬鹿な真似はできない。

③社会保障費を捻出するには消費税増税しかない。
消費税は「一番平等な税」だ。なぜなら、個々人が得る所得は、生涯を通じて必ず消費に回るからだ。所得に占める貯蓄割合が高い高所得者だって、将来消費するために、いま貯蓄をしているに過ぎない。

巷で学者やエコノミストを称したり、経済本(※売れぬまま在庫山積みのようだが…)を出したりする“プロ気取りの連中”が、レベルの低いバカ論を垂れ流すのには呆れ果てるしかない。

残念ながら、エセ論者の空論は現実の前では哀れなほど無力だ。

内閣府が行った調査(国民生活に関する世論調査H29)によると、政府に対する要望として多かったのが、
「医療・年金等の社会保障の整備」65.1%
「景気対策」51.1%
「高齢社会対策」51.1%
「雇用・労働問題への対応」37.3%
といった課題で、これらは、国政選挙の際に各政党へ求める政策とほぼ一致する。

これらの項目を素直に読み解くと、
「年金支給開始年齢引き下げや医療・介護費用負担の軽減、子育て支援の充実などの社会保障制度を拡充してほしい」
「景気対策をして、仕事を増やし、所得を向上させてほしい」
「高齢者が安心して暮らせるよう医療費・介護費用負担の削減、地域医療体制の充実を図ってほしい」
「雇用の質を上げるために、非正規雇用から正規雇用への登用拡大と長時間労働の規制強化を実現してほしい」
といったものになるだろう。

だが、エセ論者は、「医療・年金等の社会保障の整備」という国民の声を「社会保障制度の持続可能性確保」、つまり、『社会保障費の削減とサービスの切り下げ』にすり替え、社会保障制度の縮減と劣悪化を前提に話を進めようとするから始末が悪い。

先ず、①の国民の消費力低下は、社会保障制度の持続可能性に対する不安ではない。
単に、雇用の質が劣化(非正規割合増加やポスト削減等による不安定化)し、所得が低迷(1997年をピークに長期低迷中)し続けている厳しい環境下で、増税や社会保障費負担の増加による支出増が相次いだことが原因であることくらい小学生でも解る。

多くの国民は現行の社会保障制度にさえ強い不満や不安を抱いているのに、この上更なる制度の劣化を許せば、社会保障に対する不安は益々増大し、将来不安を抱えた国民は消費をもう一段抑制し、貯蓄に励まざるを得ないだろう。

次に、②の大規模国債発行や無税国家不要論について、逆に100兆円規模(※2016年度予算ベースでは保険料66兆円、税金45兆円)にもなり、年間2兆円近いペースで増加する社会保障費を、社保料や税といった国民や企業負担で賄い切れると考える方がどうかしている。

社会保障費の増大は、少子高齢化や生産年齢人口の減少という人智の及ばぬ天災(=人口動態の変化)によるものであり、長期不況で疲弊しきった国民や企業にこれ以上の負担を求めるなど愚の骨頂だ。

大規模国債発行や日銀の直受け、政府紙幣発行など、国民負担にならぬ手法を積極的に活用して社保財源の国民負担率をもっと減らしてあげないと国民の消費力(=需要力)は上がらない。

最期に③の“消費税は平等な税”なる質の悪いまやかしについて指摘しておく。
その根拠となる「個々人が貯め込んだ過去の貯蓄は、必ず老後に使用される」という妄想は、生活実態を何一つ知らぬシロウト論でしかない。

旭化成ホームズの「親と子の財産相続に関する意識調査」によると、土地・建物・預金・貯金を合わせた遺産の総額平均は4,743万円で、うち土地や建物分3,047万円を除くと、預貯金などの金融資産は1,700万円近くにもなる。
この数値は、65歳以上の世帯平均貯蓄額(2,499万円)からしてほぼ妥当な水準であり、実際には、一般の国民は貯蓄を全て使い切ることなく多額の資金を使い残したまま生涯を終えている。

そもそも、“誰もが生涯で所得を使い切るから、消費に掛かる消費税は平等な税だ”という論拠自体がまったく意味不明なのだが、所得の多寡に対する逆進性が極めて強い消費税が平等なはずがない。

GDP成長の四番打者である個人消費活性化のためには、消費力を担保する所得の増進が欠かせず、所得増進のためにはその源泉となる他者による消費や投資の活性化が不可欠だ。

消費税という存在は、個人・法人を問わず、消費や投資へ無用なペナルティーを課す悪税であり、消費や投資が生み出す所得の発育の妨げにしかならない。

屁理屈と詭弁ばかりで消費増税と社会保障制度の劣悪化を訴えるエセ論者は、顔を洗って経済の基本から勉強し直すべきだろう。

« 「小さくて無責任な政府」 | トップページ | 他者を思いやれる草の根であれ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1436015/72045368

この記事へのトラックバック一覧です: 「消費税は平等」と主張するエセ論者:

« 「小さくて無責任な政府」 | トップページ | 他者を思いやれる草の根であれ »

最近のトラックバック

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30