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2017年10月25日 (水)

「小さくて無責任な政府」

『いま大きな政府か将来もっと大きな政府か』(10/22 アゴラ/池田信夫)
http://agora-web.jp/archives/2029055.html

「(略)日本には小さな政府を志向する保守政党がないという傾向は、今度の選挙の公約でますますはっきりした。消費税を予定通り上げる(一部は流用する)自民党と、それに全面的に反対する野党という対立は、世界的にみると珍しい。アメリカでも医療保険や減税をめぐって対立が繰り返されているように、大きな政府か小さな政府かが主要な対立である。
日本でそういう対立が成り立たないのは、国債発行の歯止めがなくなったからだ。(略)
与党も野党も社会保障給付を減らさない状況での国政選挙は、負担の大小ではなく、そのタイミングの選択に過ぎない。だが政府債務(社会保障給付)の水準を選ぶことはできるが、金利上昇のタイミングを選ぶことはできない。日銀が財政ファイナンスを続けても、含み損を蓄積するだけだ。(略)」

上記コラムの中で池田氏は、「大きな政府か、小さな政府か」を縦軸、「改憲か、護憲か」を横軸にして主要政党をカテゴライズし、「自民・希望・維新」を改憲に、「立民・公明・共産」を護憲グループに色分けしている。

実際、自民党なんて、5年近くも改憲勢力を保持しながら改憲論議から逃げ回ってきた“口先改憲”グループに過ぎないのだが、まぁ世間一般の理解としてはこんなものだろう。

不可思議なのは、池田氏が主要政党を全て“大きな政府支持グループ”に色分けしている点だ。

政府規模の大小に関する池田流の判断基準は今一つ明確ではないが、コラムを精読すると、恐らく「社会保障制度の改悪や歳出削減に熱心かどうか」をポイントにしたがっているように見える。

最近、“大きな政府”という言葉をめっきり聞かなくなったが、ネットで検索すると、次のような解説が付されている。
『政府が経済活動に積極的に介入することで、社会資本を整備し、国民の生活を安定させ、所得格差を是正しようとする考え方。政府の財政支出が増えるため、税金や社会保障費などの国民負担率が高くなり、「高福祉高負担」となる傾向がある』(デジタル大辞泉より)

池田氏が、何処をどう勘違いして全ての主要政党を大きな政府呼ばわりするのか、まったく意味不明だが、各政党の党首や幹部の日頃の発言や、先の選挙公約を眺めても、「社会資本の整備・国民生活の安定・所得格差の是正」に熱心な政党なんて見当たらない。

しかも、社会保障費の削減や緊縮財政、増税を声高に訴えるバカ者は多数見かけたが、「政府による聖域なき財政支出」を積極的に訴える政党など皆無であった。

ましてや、現在や将来の日本の社会保障制度を指して、その「高負担」ふりに不満を覚える者こそあれ、その内容が「高福祉」だと満足する国民などいない。
それを証拠に、国政選挙があるたびに行われる世論調査では、優先処理してほしい事項として「社会保障の拡充」を訴える意見が常に最大勢力と化しているではないか。
我が国の社会保障制度が「高福祉」と呼べるほど立派なものなら、国民から文句が出るはずがなかろう。

サラリーマンの平均年収は、1997年→2016年にかけて467万円→422万円へ10%近くも減少した中で、社保と租税の国民負担率は37.1%→43.9%と大幅に上昇し、社保負担率も13.1%→17.8%へ大きく増えている。

また、政府内や財政審の連中から、年金支給開始年齢の70~75歳への引上げの声が上がり、世のサラリーマン諸氏は「俺らは死ぬまで年金を貰えそうにないな」と自嘲するしかない。

さらに、財政審から、75歳以上の後期高齢者の医療費負担割合を1割から2割へ引き上げるよう提言がなされ、経済財政諮問会議では、度々、民間委員の連中から、消費増税と社会保障費の削減とをセットで議論するようケチをつけられるなど、社保制度の圧縮や関連費用の削減話ばかりが先行している。

こんなボロボロの社会保障制度のどこが「高福祉」なのか?
単に、質の悪い「低福祉・高負担」でしかなかろう。

池田氏は、社会保障費削減や消費増税を渋る国民や、国民負担を先延ばししようとする諸政党の態度を非難し、我が国には大きな政府(※池田基準)を志向する政党しか存在しないと嘆いて見せる。

だが、実際に各政党の政策や公約を精査すると、緊縮的財政運営や消費増税、PB黒字化を前提とした緊縮&改革政策ばかりで、既存政党を大きな政府呼ばわりする彼の認識は、現状誤認も甚だしい暴論だ。

誰がどう見ても、各政党は「大きな政府」ではなく、「小さくて無責任な政府」にしか見えない。
池田氏は、顔を洗って各党の政策や公約をよく見直すべきだろう。

今回の衆院選の結果は、壊国街道を驀進する自民党がほぼ現有勢力を維持するという誠に残念な結果に終わったが、調子に乗って「しがらみのない政治」や「身を切る改革」を連呼し、聖域なき歳出削減や社保切り下げを訴えていた希望と維新のバカ者どもが惨敗を喫したことは唯一の収穫だと言える。

今後、自民党の連中は、選挙結果を以って「国民から消費増税の信認を得た」と大きな顔をするだろう。
だが、それなら、希望や維新という自称改革勢力の惨敗という結果を以って、「国民は、腹の足しにもならない“しがらみのない政治”や“身を切る改革”を拒否した」と言えるのではないか。

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コメント

大企業が力を持ち過ぎて、先進工業国は全体としては衰退中です。
さらに、欧米では、大企業とリベラルが結びつき、
大量移民をした結果、取り返しのつかない惨状になっています。
日本の自民党政権だろうと、大企業の影響下にあるので、
徐々に移民のハードルを下げていくつもりでしょう。
結局、大企業は、欲望のために国家を破壊することもやむなしというわけです。

≫千手観音さん

大手企業が羽を伸ばしすぎるあまり、一国の政策や国民生活の足を引っ張られるようでは本末転倒ですね。

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