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2017年11月24日 (金)

エア現実主義者

『若者の自民党支持率が高くなってきた理由~2012年が転機、保守化ではなく現実主義化だ』(東洋経済オンライン 薬師寺 克行/東洋大学教授)
http://toyokeizai.net/articles/-/195199?

「10月の衆議院選挙で自民党が圧勝した勝因の一つに20代や30代の若い世代の有権者の自民党支持率が高いことが挙げられている。マスコミが実施した出口調査や世論調査でも20代30代の支持率が、60代以上の世代と並んで高かった。
NHKが投票日に実施した出口調査では、回答した人のうち自民党に投票した人の割合は、20代が50%と最も高く、30代42%、40代36%、50代34%、60代32%、70代以上が38%となっている 。60代までは年齢が上がるほど自民党支持者が減っており、ひと昔前であれば考えられないような変化が起きているのだ。(略)」

先の衆院選で自民党に勝利(というより、「敗戦を免れ現状維持」と呼ぶべき…)をもたらしたのは、「若者の保守化」との論評が多い。

上記コラムを書いた薬師寺教授のように、民主党政権末期の政治的混乱を目の当たりにした若者世代の野党や新党アレルギーは重症で、「現実的視野」で政治を評価する彼らは、政治的安定を求めて与党を支持しがちだとする論評をよく見かける。

巷では、新卒の就職事情の好転から安倍政権の手腕を評価する声も大きいようだが、
・就職活動に伴う交通費や宿泊費などの上京費用は学生持ち(地方学生の就職費用負担は平均で20万円近い)
・エントリーシートの平均提出枚数は26枚以上という負担感
・上場企業クラスの初任給は30年近く前とほぼ同レベル
・入社後の社員育成プログラムは形骸化
といった事情を鑑みれば、この程度でアベノミクスに手柄顔させる若者サイドの要求レベルの低さに唖然とさせられる。

薬師寺氏のコラムには2013年~2017年にかけての世代ごとの自民党支持率のグラフが掲載されているが、20歳台の支持率は、2013年と2016年に38%辺りまで上昇したものの、2017年には36%くらいにまで低下している。
また、先の衆院選での若者世代の投票率は、全世代平均を下回った(確報値は11月中に公表予定)との報道もあり、選挙結果を左右するほど“保守化した若者”が熱狂したとは到底思えない。

「若者は就職問題を解決してくれた安倍政権を支持している」、「北朝鮮情勢が緊迫化する中で政権担当能力を持つ自民党を支持する」といくら強がっても、所詮は40%を下回る支持(11月初旬時点)しか得ておらず、若者の保守化なんて思いこむのはあまりに早計で大袈裟すぎる。

薬師寺氏によると、2012年衆院選での民主党政権敗北の要因は、「鳩山首相の普天間飛行場移設問題や菅首相の東日本大震災対応の混乱など不手際が続いたにもかかわらず、各世代で3割以上の支持率を得て、自民党を圧倒していた。ところが2012年9月に転機が訪れた。民主党は消費税増税などに反対する小沢一郎氏らのグループが民主党を大挙して離党したため与党の体をなさない状態に陥った。一方の自民党では多くの予想を裏切って安倍晋三氏が総裁選で勝利した」ことにあり、民主党が分裂の危機を迎える最悪の状態であったのとは対照的に、当時の安倍総裁の劇的な勝利がもたらしたサプライズが、自民党への期待感を急速に向上させたのだと分析している。

この辺りの見方には筆者も同意する。
2009年の自民党→民主党への政権交代、2012年の民主党→自民党への再交代をもたらしたのは、経済や外交問題に係わる当時の政権の失政に対する国民の憤りだと解説する論者も多いが、こうした意見には賛成しかねる。

1997年の橋本行革や2000年の小泉バカ政権の構造改革騒ぎが始まって以降、一部の政権を除いて、過度な緊縮主義や改革主義が猛威を振るい、そうした緊縮的財政運営思想は、政権交代が起きた2009年や2012年にも一貫して受け継がれてきた。

国民が時の政権の経済失政に怒り、世界に類を見ないデフレ不況を真に憎んだことがマグマとなり、政権交代をもたらしたのなら、その後の誕生した新政権が同じ過ちを犯すはずがないし、民主党政権の「事業仕分け」や「コンクリートから人へ」、安倍政権の「ワイズスペンディング」や「社会保障改革」といった不況を深刻化させるだけの愚策に喝采を送るはずもない。

国民は経済問題に関して、まったく無知・無関心・無責任なまま、マスコミ報道に煽られ、コロコロ投票先を変えたに過ぎない。
政権選択をする意思も能力も持とうとせぬまま、外部情報に流されただけのことで、自らの生活に直結する経済問題への関心が著しく不足している。

二度の政権交代をもたらした国民は、憤るべき真の理由に目を向けぬまま、質の悪い煽動屋(=マスコミ)に乗せられた無知蒙昧の民でしかなかった。

こんな体たらくでは、この先何度選挙をやっても、緊縮主義者や新自由主義者どもが看板を変え政権の座に居座り続けるだけで、不況の永続化は避けられない。

薬師寺氏はコラムの〆に、「どうやら今の若い世代に保守とか革新などというイデオロギー的な意識はまったくなさそうだ。財政危機や年金制度の破たんなど将来に不安しか抱けない世代が、問題を解決できる実務能力のある安定した政治を求めるのは至極当然であろう。つまりかれらは極めて現実的なのである」と述べ、若者世代をリアリストと評して持ち上げているが勘違いも甚だしい。

彼の言葉を素直に読めば、財政危機や年金制度破綻に脅える若者たちは、いまの自民党がそうした問題を解決できる実務能力を備えていると信じ込んでいるらしい。
だが、若者世代が本気でそう思っているとしたら、彼らの暗愚魯鈍ぶりを軽蔑し、呆れるよりほかない。

現政権とそれを支える自民党の連中が、経済財政問題や社会保障制度を如何に考え、どのような解決策を目指しているのか、経済財政諮問会議辺りの資料を読み込めばたちどころに理解できる。

政権与党の経済政策は、聖域なき歳出削減とPB黒字目標堅持を柱とする緊縮的財政運営であり、その社会保障政策は、社会保障改革と銘打った国民負担増と社保サービスの削減なのだ。
それは現実的と呼べるレベルですらなく、敗北・絶望・諦観だらけの「負担と節約」を以って実りの無い延命策に縋ろうとする籠城型の縮小均衡思想でしかない。

右肩下がりの未来を「現実的」と有難がる者の知的レベルには暗澹とする思いを禁じ得ない。
いまの若者は好況を知らぬ世代だから致し方ない、という言い訳を聞く気にもなれない。

彼らは現実主義どころか、厳しい現実を覆す熱意すら持とうとせず、幸福を求め実現させる努力を怠っているだけに過ぎない。

戦地の若者が平和を強く渇望するように、景気の良い時代を知らぬからこそ、好況に対する抑えがたい欲求や願望を抱いてしかるべきだろう。

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コメント

多くの若者による自民党支持は、酷い欧米のリベラルの影響の受けた、日本のリベラルに対する反発心からのものでしかないと思います。それほど、欧米のリベラルは酷いものです。とはいっても、リベラルが-100だとしたら、自民党は-80くらいで、どちらにしても、酷いマイナスということに違いはありません。

自民党もリベラルですけどね
緊縮政策とか移民推進とか

私は、どこも同じ経済政策しかしないのなら、与党を叩くしかない
周りを説得する気力のない、みんな逃亡できずに破滅するまで突き進め
という考えのエア現実主義者です


流石のエセ学者やマスコミも海外逃亡不可な状況になれば、自己保身で手のひらぐらい返すといいな…そこまで逝ったら最早挽回不可になりそうだけど

私は20代ですが同年代の周りはほぼ鬱病と言える様な人だらけです。
あまりにも現実が過酷過ぎて日々生きるのが精一杯と言った感じで、精魂尽き果ててしまっているのです。

むしろ今の若者(ネットの多数派)たちは、「時代遅れの左翼を嘲笑って自分たちの立場を正当化する」という現実逃避を続けているようにしか見えませんね。
そこに真剣にこの国の将来を考えるという姿勢は微塵もない。
精神構造は民主党政権交代を支持した大衆と何も変わりません。
その程度のことも見抜けない人間が教授をやっているとは驚きです。

日本だけでなく、先進工業国のトップが、右だろうが、リベラルだろうが、大企業の言いなりになるしかないという状況だと思います。資本主義自体が限界に来ているのです。

トランプには少し期待していましたが、奴も、結局は大企業のセールスマンでしかありませんでした。大企業だけが栄え、国全体と衰退していくアメリカを救うことは出来ません。

皆さま、コメントありがとうございます。

若者に限らず、諦観や諦めを現実主義という言葉で誤魔化してはいけませんよね。

クソみたいな現実を変えるために何が必要か、どう行動すべきかを具体的に考えることが現実主義だと思っています。

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