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2017年11月 9日 (木)

インフラに支えられる社会

『日勝峠 1年2カ月ぶり通行再開 道東道の無料措置終了』(10/28 北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/141582

「昨年8月の台風10号による被害で不通が続いていた国道274号の日勝峠(日高管内日高町千栄(ちさか)―十勝管内清水町清水、36.1キロ)は28日午後、通行止めが解除された。道央と道東を結ぶ幹線は、1年2カ月ぶりに通行が可能になった」

昨年の8月17日から23日にかけて、台風7・9・11号が連続して北海道を直撃。
さらに、8月30日には台風10号が岩手県大船渡市経由で再び北海道に上陸し、北海道内に死者行方不明者4名、被害総額2,800億円余りもの甚大な被害をもたらした。
大雨の影響で各地のジャガイモ畑やアヲハタの製缶工場が被災し、ポテトチップスやコーン缶の出荷がストップしたのも記憶に新しい。

北海道で1年に台風が3回以上上陸するだけでも観測史上初めてのことだそうだが、1週間に3回、1カ月に4回ともなれば、台風慣れしていない道民の驚愕ぶりたるや想像を絶するに余りある。
改めて、被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

件の台風連続直撃は、北海道、とりわけ十勝や上川南部、オホーツク地域ほか主に道東地方に大きな被害をもたらしたが、最も象徴なのが、札幌などの道央地域と十勝・釧路・根室などの道東地域を結ぶ大動脈の国道274号線で最大の難所と呼ばれる「日勝峠」が各所で崩壊し、寸断されたことだろう。
(※)日勝峠寸断の惨状などの様子は下記のブログをご参照ください。
【参照先】『台風10号 北海道各地の爪痕~十勝毎日新聞~』
https://ameblo.jp/irukazion/entry-12197937870.html

冒頭記事のとおり、関係者の方々の昼夜を問わぬご努力と奮闘により、日勝峠が被災から1年2か月という短期間で無事に通行再開を果たしたわけだが、この間に道央圏と道東圏の交通や物流を支え続けたのが「道東自動車道」であった。

道東自動車道は、道央自動車道の千歳恵庭JCTから分岐して釧路市の阿寒IC及び足寄郡足寄町の足寄ICに至る総延長258kmの高速道路だが、通行量の少なさや暫定2車線の対面通行区間が長いことによる不便さから、石原伸晃辺りの役立たずから「車の数より熊の通る数が多い」と揶揄され、地元のマスコミや住民からも無駄な公共投資の象徴として随分叩かれたらしい。

だが、実際に大規模な自然災害の被害に直面した地元住民の心情は、否応なく変化せざるを得なかったようだ。
筆者は今夏に出張で帯広市を訪れ、観光バス事業者や野菜の卸売業者らと話す機会があったが、皆一様に、「今回は道東道の有難味を身に沁みて感じた」、「道東道が無かったら間違いなく道央圏との物流は寸断されていたと思うとゾッとする」と話していた。

道東道が無い状態で日勝峠が寸断されたと仮定すると、道央圏と道東圏との結ぶ迂回ルートは、
①札幌→滝川→南富良野→道東へ(約262km)
②札幌→上川→三国峠→道東へ(約344km)
③札幌→襟裳岬→道東へ(約366km)
の3パターンとなり、道東道経由(約203km)と比較した移動距離は3~8割も長く、当然所要時間も倍近くに増えてしまう。

これは、人手不足や燃料価格の高止まりに悩む物流業界にとってコスト負担があまりに大きく、非常に重たい足枷になる。
また、冬期間に猛吹雪や路面凍結というハンディを背負う北海道の道路事情を鑑みると、長距離運転を強要する迂回ルートは、ドライバーの事故リスクを否が応でも高める危険な選択となっただろう。
(※筆者も、稚内に出張しレンタカーで移動中にブリザードに巻き込まれ、目の前がホワイトアウトし、死ぬ思いの恐怖を感じた経験がある)

NEXCO東日本のデータを確認すると、台風災害前後の道東道の通行量は、H28年4~7月累計38千台に対し、H29年4~7月の累計は48千台と26%も増えており、立派に日勝峠のピンチヒッターを勤め上げたことが解る。

世襲のバカボン議員(石原ほか)から、“熊やキタキツネしか通らない”と罵られても、道東道は黙々と道東圏68万人の生活や物流を支え続けてきたのだ。

筆者も、先の出張の際に道東道を通ってみたが、法面が崩壊した箇所や、土石流が高速道路のすぐ横まで迫っている箇所が複数見受けられ、道東道とて決して無傷というわけではなく、各所に刀傷を受けながらも何とか持ちこたえ、1年以上も交通や物流を可能ならしめてきたのかと思うと、道東道の存在と関係者のご尽力に今更ながら頭の下がる思いがした。

世の中にはインフラ投資と聞けだけで背中に虫唾が走ったり、天然資源の無駄遣いだと叫ぶ痴れ者 (※インフラ投資に使われる資材や骨材の自給率が高いことを知らぬバカ)も多いが、我々の生活や生産活動はすべて公共インフラに支えられて初めて成り立つもの、つまり、公共インフラは「社会基盤のゆりかご」であることをきちんと理解すべきだ。

ましてや、年々老朽化が進む公共インフラの維持更新や新規投資予算を削り、“賢い支出(ワイズスペンディング)”とか、“コンクリートから人へ”などと嘯く愚か者には、大いに猛省を促したい。

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コメント

うずらさんの仰るとおりですね。
インフラというだけで「無駄な公共事業」というレッテル貼りで毛嫌いする人の多いこと。
昔は「道路族」なんて揶揄されましたね。
災害大国日本にとってインフラ整備は支援物資や復興の命綱でもあるのに。
今はダム建設や堤防なんかもやり玉にあげられて、自然破壊する悪者扱いです。
自然ももちろん大事ですが
そこに暮らす人々の安全も大事です。
コンクリートから人へとは、つまり地方に住む人々の安全、命など知ったことか!という政府の地方切り捨て論だったのですね。

インフラの金を払いたくない、でもインフラは使いたい
というかインフラなんてタダでしょ
……とでも思っている連中が金持ちに多すぎる

個々の経済能力に応じて税率は調整すべきだと思う
ただし金持ちの人がガチで破産しかねないレベルは論外
そういう細かい調整をやるのが面倒くさいから、一律税率とか馬鹿をやるんだろうな、この似非エリートどもめ

≫K・Kさん、リトルマックさん

ご指摘のとおりです。
インフラの恩恵に気づけぬ自身の愚かさに、他人を巻き込むな、と言いたいところですね。

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