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2017年12月 1日 (金)

教科書という老木にぶら下がるだけのミノムシ経済論者

『教条主義』…「状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や態度。特にマルクス主義において、歴史的情勢を無視して、原則論を機械的に適用しようとする公式主義をいう」(goo辞書より)

千変万化する現実を認めたくない者や、それについて行けぬ者は、固定化した原理・原則や教科書に縋り平静を保とうとするが、現実から目を逸らし、情報のアップデートを怠り続けた時間分だけ知識が老朽化することに気付けないものだ。

一部のネット論壇に蔓延る老朽化・老害化した知識(=痴識)には、こんなものがある。
①紙幣増刷はインフレを招き、インフレは資産や負債を棄損する
②インフレで給与が2倍に、名目GDPも2倍になるが、モノやサービスの生産量は2倍にはならず(需要に追い付けず)価格が上昇するから、実質的にはまったく豊かにならない(給与が倍になっても、カップ麺が150円→300円になるだけ)
③インフレにより預貯金の価値も目減りする
④為替も大幅な円安ドル高になり円が大暴落し、アルゼンチン・ペソやブラジル・レアルみたいになる

まず、①だが、要は「インフレは資産や負債の価値を目減りさせるから、インフレを招来する積極財政や紙幣増刷なんてご法度だ」と言いたいのだろう。

まぁ、インフレと聞いて恐怖感しか抱かぬ“ハイパーインフレ論者”は、そもそも、経済活動のイロハを理解していない。

個人や企業間の生産・消費活動が活発化し、その規模が拡大することで、人々はより多くの所得を手にし、それを元手により高付加価値な商品やサービスを求め、生活の質や生産性を向上させることができるのだ。

こうした経済活動の規模を拡大させるには、異なる経済主体間で行われる交易や決済を円滑に行う必要があり、それを成しえる唯一のツールである通貨(紙幣)の増発・増産が欠かせないことくらい子供でも解るはずだ。

日本にはスティーブ・ジョブスやラリー・ペイジみたいな革新的ビジネスを担う異才がいないと嘆く者も多いが、どれだけ革命的なビジネスであっても、その対価として支払われるおカネ(通貨や紙幣)が足りなければ、革新的ビジネスの芽なんて育つはずがなかろう。

実体経済で消費や投資活動に使われる通貨を増発させ、国民生活向上のエネルギー源となる生産力(=国富)の維持向上を図るのは、資本主義経済にとって当然すぎるほどの“常道”であり、それを否定するのは、頭の悪い頽廃論者でしかない。

ついでに、インフレが資産や負債を毀損する云々という空論の如何わしさについても指摘しておく。

物価が元気よく上がり続けていた1960年~1975年間に、消費者物価指数は2.93倍に、企業物価指数は1.74倍に増えたが、名目GDPは9.26倍、実質GDPは3.27倍と物価上昇以上に拡大している。

また、ストックである家計の金融資産はといえば、1979年~2010年間の消費者物価指数上昇率39.6%と比較して、同期間に約300兆円から1,500兆円へと5倍近くに増えている。

国内デフレ不況下での輸入物価高騰といった忌むべきコストプッシュ型インフレならともかく、経済成長に伴うディマンドプル型インフレがフローやストックの価値を毀損するかのような言いぐさは、たちの悪い流言蜚語でしかない。

次に、②のGDP&物価連動論だが、名目GDPがおよそ2倍になった1980年(239兆円)と2005年(501兆円)の物価を比較すると、白米10kg:4,142円→4,080円、砂糖1kg:270円→190円、ビール:240円→200円、そば・うどん:280円→450円、コーヒー1杯:250円→450円といった具合で、値段が上がったものもあれば、逆に下がったものもあり、世の中のあらゆるモノの値段が一律に上がっているわけではない。

ちなみに、カップ麺の代表格である日清食品のカップヌードルを例にとると、1971年の発売当時の価格は100円で、直近の平均小売価格は148円くらいだ。
最近の物価指数は1971年頃の約3倍と推計されるが、カップヌードルの値段は300円どころか、長期デフレのせいで150円を切るありさまだ。

教科書の文字しか読まぬ小学生は、GDP上昇と物価上昇とが同時期に同程度起きるはずだから実質GDPベースでは成長しないと信じ込んでいるが、実社会で働いた経験のない経済素人には、供給サイドが常に取り組む“生産性向上”の実態が理解できぬらしい。

続いて、③のインフレが預貯金の価値を毀損させる云々という戯言について、それが真実なら、過去の高インフレ期に国民は預貯金を回避するはずだが現実は異なる。

1979年~2015年間に消費者物価指数は48.2%も上がり、インフレが預貯金の価値を毀損するのなら、それを嫌う国民は預貯金を減らしてしかるべきだが、その間に家計金融資産は約300兆円から1,500兆円へと5倍近くに増え、預貯金額は約200兆円から800兆円近くまで4倍にも増えている。

「インフレ=資産(ストック)価値の目減り」という経済学特有の考えなんて、名目値を重視しがちな国民の経済観念の前では極めて無力でしかない。

いくら物価が上がっても、物々交換が通用せぬ貨幣経済下にあっては、最後に頼りになるのは通貨しかなく、多くの国民は、物価変動の如何に関わりなく生活防衛のために貯蓄に励まざるを得ない。
ドイツやオーストリアで過去に起きたハイパーインフレ時に、人々が大量の紙幣を台車に載せて運ぶ写真があったが、紙幣が無価値に近い状態に陥ってもなお、経済活動を支える決済機能の主役を張れるのは“通貨”しかないことがよく解る。

最後に、④の「インフレ=通貨価値の大暴落説」には冷笑を以って応えるしかない。

1971年から今年までの円ドル為替相場の動きをチェックすると、1$=360円→111円へと円の価値は暴落するどころか、3.24倍に上昇しているのだが…。
しかも、1995年や2011-2012年には1$=80円を切る円高に悩まされていたこともあり、日本で起きたインフレ・デフレ経済連続経済下における長期円高という事実が、教条主義者の大嘘を見事に暴いてくれる。

高度な生産能力に裏打ちされた円の価値を、外資頼みで自国発の生産力を持たぬアルゼンチンやブラジルと同列に論じること自体が素人丸出しの発想だ。

教科書に噛り付くだけのエセ学者気取りの連中は、己の眼で現実をよく観察し、情報を適宜アップデートすべきだ。

現実に溢れる事象や情報を収集・分析したうえで書かれた教科書なら問題ないが、数十年~数百年以上も前に書かれたポンコツ理論だらけの教科書にしがみつくだけでは、時代の流れについて行けなくなり、持説の過ちを糊塗するために詭弁を弄し、矛盾だらけの大嘘を吐き続けるしかなくなってしまうものだ。

改訂されない教科書ほど役に立たぬものはない。

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