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2017年12月23日 (土)

ハード整備なき防災対策など役に立たない

『千島海溝でM9級巨大地震 「切迫性が高い」 政府・地震調査委が新想定公表』(12/19 産経ニュース)
http://www.sankei.com/affairs/news/171219/afr1712190019-n1.html

「政府の地震調査委員会は19日、北海道の太平洋側に延びる千島海溝でマグニチュード(M)9級の巨大地震を初めて想定する新たな長期評価を公表した。発生が切迫している可能性が高く、20メートル以上の大津波が起きる恐れがあり、防災への取り組みを求めている。(略)
沿岸の津波堆積物などの調査結果から、最大規模の地震は少なくともM8・8程度に達すると判断。発生間隔は平均340~380年で、既に前回から約400年が経過しており「切迫性が高い」と評価し、今後30年以内の発生確率を最大40%と算出した。
 平田直委員長は「極めて高い確率だ。東日本大震災のような地震が千島海溝でも起きる可能性が高い」と警戒を呼び掛けた。(略)」

大相撲の暴行事件のニュースで霞んでしまった感もあるが、上記は衝撃的なニュースだ。
M9クラスの大地震といえば、東北や関東地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災と同等クラスのエネルギーであり、北海道から東北北部にかけての太平洋岸に巨大な津波が襲い掛かる恐れが非常に強い。

しかも、今後30年以内の発生確率最大40%という値は結構な高確率で、南海トラフ地震ほどではないが、ホラ話として一笑にふせるほど非現実的な数値でもない。

筆者は、先週、たまたま出張で釧路空港を経由して釧路市や根室市を訪れる機会があり、両市を結ぶ国道44号線を通り、途中にある厚岸町や根室市花咲地区などを車で廻ったが、海岸線沿いに犇めくように立ち並ぶ住宅や工場、商店などを思い浮かべ、ここに大津波が押し寄せて来たらひとたまりもないと改めて戦慄を覚えた。

本州に比べると呆れるほど広大な大地が広がる北海道だが、水産王国でもある産業特性もあってか、海岸線に居住する人口は想像以上に多く、日本海側では荒々しい海岸線と急峻な崖に挟まった土地に立地する家屋も目立つ。

今回大地震の恐れが公表された北海道東方の太平洋岸は、海岸線から奥へ数㎞に亘り平坦地が続く地形が多く、大津波の襲来による甚大な被害発生が強く懸念される。

道東地方の中核都市である釧路市を例にとると、津波による浸水深が2~10m以上に達する地区が市街地の7~8割近くにも及ぶとの想定されている。
【参照先】http://www.city.kushiro.lg.jp/common/000107459.pdf

しかし、これは高さ10mの津波を想定した予測であり、千島海溝で発生が見込まれる大地震による津波の高さは18~24mにも達する恐れがあるらしく、実際の浸水深はこんなものでは収まるまい。
最悪の場合、高台になっている釧路市東南部の一部を除く主な市街地の浸水深が5~20mに達するかもしれず、そうなってしまえば、どこにも逃げ場はない。

釧路市の地図をGoogleマップで確認すると、市内には釧路川と新釧路川という日本の河川が南北に縦断しており、平坦地で勾配が緩いため欧州の河川のようにゆったりと流れている。

今回公表された調査書では、「(過去の)津波で内陸に運ばれた砂などが沿岸から最大4キロ先で確認された」とのことで、東日本大震災で石巻市大川小学校を襲った津波と同様、河口から4~5km先まで津波が襲来する可能性が高い。

釧路市の商業地や住宅地、工業地帯、行政機関などは釧路川・新釧路川の両河川周辺、それも河口から4㎞以内に集中しており、大津波の被害をまともに喰らう可能性が高い。

河口から4㎞少々のところに、市街地を東西に横切る釧路外環状道路(高規格道路)が敷設され、これが万が一の際の避難場所や防潮堤の役割を果たすことになるだろうが、市内中心部から外環状道路に向かう縦方向の道路は数が少ない。
また、JR根室線が市内を縦断して、南北方向(河口から奥に向かう方角)の交通をあちこちで遮断しており、、地震発生後の大渋滞が予想され、避難は非常に困難だろう。

最悪のケースだと、釧路市内だけで東日本大震災を上回るほどの死者・行方不明者を出すリスクもある。

今回の発表に対して、北海道庁や該当地域の各自治体は、すでにM9.1クラスを想定した津波浸水予想に基づく防災計画を進めていると冷静に受け止めている。
だが、実際の対策はと言うと、ハザードマップ作製や非常食や燃料の備蓄、住民の避難訓練程度の初歩的なソフト対策に止まり、あまりにも心許ない。

千島海溝での大震災予想を踏まえた地元の北海道新聞の記事でも、根室市の防災担当者は、「(すでにM8を超える地震を想定するなど)最悪の場合を考えており、直ちに何らかの対応をとることは考えていない」と呑気にコメントしており危機感がない。

本来なら、防潮堤や避難用建物の整備、避難道路など諸々のハード整備に注力すべきだが、万年金欠病の北海道庁や道内自治体は無論のこと、北海道開発局のH30年度防災関連予算ですら約381億円と前年度からほとんど増えておらず、北海道内の防災対策はソフト重視の“口だけ防災”でしかない。

H29年度防災白書には、「現在想定されている南海トラフ地震の様な大規模災害が発生した場合には、「公助」による支援だけでは限界がある。事実、阪神・淡路大震災では、7割弱が家族も含む「自助」、約3割が隣人等の「共助」により救出されているという調査結果がある。今後、人口減少により過疎化が進み、自主防災組織や消防団も減少傾向にあるなか、災害を「他人事」ではなく「自分事」として捉え、国民一人一人が防災意識を高め、具体的な行動を起こすことが重要である」と、やたらと自助や共助を賛美したがるが、こうした発想は、ただ単に公助に必要な予算をケチるための詭弁に過ぎない。

防災用のハード整備に多額の予算を投じてやれば、減災や防災効果も大きく、自助や共助の成功確立をより高めることができる。
防災用のハード資本が整って初めて自助や共助が機能することを忘れてはならない。

早々に“公助の限界論”を騙るのは、防災を放棄し人命をおカネより軽視する意地汚い守銭奴の言い訳でしかない。
カネを惜しみハード整備よりも遥かに脆弱な自助・共助に逃げ込もうとするのは、明らかに災害を“他人事”だと考えている証拠だ。

南海トラフ地震にしろ、東海地震にしろ、今回の千島海溝地震にしろ、予算不足を理由にして科学者による事前警告を無視するのは万死に値する大罪だと言える。
ハード整備やソフト対策などの防災予算の増額に対して露骨に反意を示すバカ者は、国民の生命や財産を守る気もない売国奴だと罵られて然るべきだ。

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コメント

 皆さん、今晩は。

 茨城県や長野県で新聞記者として活躍された宮崎健一氏によれば、津波対策には沖防波堤が有効とのことです。
 茨城県の阿字ヶ浦沖に造られた沖防波堤は、阿字ヶ浦海水浴場や常陸那珂港、そして東海村の原子力施設を持つ波から守ったといわれています。
 詳細は以下のリンクを御参照願います。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=331506670327836&set=a.159804884164683.56531.100004055165315&
https://www.facebook.com/kenichi.miyazaki.792/posts/908735785938252

≫国道134号鎌倉さん

御教示いただいた沖防波堤のような津波対策により、失ってはならぬ人命や財産を守ってほしいものです。

政府は、予算に糸目をつけず防災対策を主導すべきですし、国民も、財出の足を引っ張るような真似をすべきじゃありません。

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