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2018年1月25日 (木)

不安を期待に変えるには「おカネ」が必要

今回は、今月11日に公表された日銀の「生活意識に関するアンケート調査」 ( 2017年12月調査)の結果に触れてみたい。
【参照先URL】http://www.boj.or.jp/research/o_survey/data/ishiki1801.pdf

この調査は、1993年以降、三カ月ごとに全国の個人4,000人(満20歳以上)を対象に行われており、拙ブログでもたびたび引用している。

今回の調査結果を見て気になったポイントは、
①景況感が前回比で若干改善しているにも関わらず、暮らし向きや収入、雇用環境に対する見通しが後退していること
②今後の物価についてインフレ見通しを立てながら、支出に対してネガティブな態度を取っていること
の二点だ。

まず、①について、一年前と比べた景況感は、
〈H27/9〉良くなった7.6%、変わらない71.0%、悪くなった21.1%
〈H27/12〉良くなった8.3%、変わらない70.9%、悪くなった20.2%
また、景況感D.I(「良くなった」-「悪くなった」)も、
〈H27/9〉▲13.5→〈H27/12〉▲11.9
さらに、現在の景気水準も、
〈H27/9〉「良い」+「どちらかと言えば良い」12.7%
〈H27/12〉「良い」+「どちらかと言えば良い」15.2%
と、いずれも(ほんのわずかだが…)改善を示している。

こうした景気判断の根拠として、「自分や家族の収入状況」61.4%、「勤め先や自分の店の経営状況」32.5%などの回答が多く、収入や勤務先の収益といった「数字」に裏打ちされたものと言えなくもない。

だが、景気回復を実感しているはずの家計が、どのような消費行動を取ろうとしているのかを確認すると、一気にトーンダウンしてしまうから不思議なものだ。

現在の暮らし向きに関する質問では、
〈H27/9〉ゆとりが出てきた7.3%、どちらとも言えない53.0%、ゆとりがなくなってきた39.2%
〈H27/12〉ゆとりが出てきた6.5%、どちらとも言えない52.4%、ゆとりがなくなってきた40.2%
と、暮らし向きの窮屈感が強まっている。

また、一年後の収入見通しは、
〈H27/9〉増える9.5%、変わらない58.9%、減る30.7%
〈H27/12〉増える9.8%、変わらない57.8%、減る32.0%
と、「減収」見通しが強まっている。

さらに、雇用・処遇に関する不安感について、
〈H27/9〉あまり感じない23.2%、少し感じる50.4%、かなり感じる26.1%
〈H27/12〉あまり感じない19.6%、少し感じる50.4%、かなり感じる30.0%
と、巷間囁かれている人手不足問題を吹き飛ばすほど明確に悪化しており、業務を回す人手が足りないにもかかわらず、既存社員の立場や処遇がぞんざいに扱われている様子が判る。

ここまでの結果をまとめると、緩やかな景況感の回復に反して、家計がポジティブな消費行動を取れないのは、明確な収入見通しが立たないのと、雇用環境に強い不安感を抱いていることが理解できる。

アベノミクスは大成功だと騒ぎ立てる盲目の徒も多い。

しかし、安倍首相の経済運営はと言えば、歴代政権が経済成長を放棄し、悪化するに任せてきたのを最悪の一歩手前で止めたという程度で、不況から反転攻勢し、力強く成長軌道に乗せようとする意志はまったく感じられない。

事実、安倍首相は、経済財政諮問会議の場では「ワイズスペンディング(=歳出削減)」や「社会保障制度改革(=社会保障の切り下げ)」を推し進めるとともに、2014年4月に消費税を8%に引き上げ、2019年10月にも10%への再増税を決断しており、消費の腰をへし折る気マンマンなのだ。

ここ数カ月の日経平均株価上昇や最低賃金引き上げなどを材料に、景気回復の芽を強調する輩もいるが、五年もの歳月を費やした割りに、アベノミクスの成果はあまりにも小さすぎる。

アベノミクスを誇大に評価する連中は、マイナス20℃の厳冬下で外気温が2℃上がったと喜び勇んでTシャツ一枚で外出しようとするキチガイと同じだろう。

現に、本調査の「現在の景況感D.I」や「収入D.I」、「一年後の支出D.I」などの指標を長期で見ても、安倍政権発足後、いずれも一貫して大幅なマイナス値から抜け出せていない。

次に、②のインフレ見通しに対する消費行動について、一年後の物価見通しは、
〈H27/9〉「かなり上がる」+「少し上がる」70.4%
〈H27/12〉「かなり上がる」+「少し上がる」75.6%
と、明確なインフレ見通しを持っており、これは五年後の見通しでも同様だ。

だが、物価上昇に対して「どちらかと言えば困ったことだ」との回答は、同期間で77.8%→80.8%へ増えており、家計が、収入の伸びが期待できぬ状況下でのインフレを迷惑がる様子が覗える。

よって、一年後の支出見通しは、
〈H27/9〉増やす7.5%、変えない49.5%、減らす41.0%
〈H27/12〉増やす7.4%、変えない49.8%、減らす41.8%
と、わずかだが「減らす」という回答割合が増えている。

要は、家計が所得や雇用に強い不安を抱いている経済環境下では、インフレ予想が駆け込み消費を促すことはなく、かえって家計の防衛意識を刺激するだけに終わるということだ。
インフレ予想がもたらすのは「期待」ではなく「不安と節約意識」でしかない。

よって、これ以上、「金融政策+構造改革+緊縮財政」の三点セットを根幹とするアベノミクスを続けても政策効果が出ることはない。
恐らく、重篤→微熱→重篤…を繰り返しながら、徐々に死期へ近づくことになるだろう。

家計が消費にポジティブになり景気過熱の発火点になる工程は、工場の製造ラインと同様に、一見複雑に見えるが、「材料投入→製造加工→検査→出荷」といった川上から川下までの流れと何ら変わらない。

投入される材料(=収入・所得)を増やし、製造加工を効率化(=適切な分配・消費スピードの加速)させ、生産性や付加価値向上(=個人消費の活性化・高付加価値製品購入へのシフト)といった好循環を創りだすことが大切なのだ。

歴代政権やアベノミクスのように、川上工程への材の投入ケチった挙句に、製造工程のメンテナンスも怠り、検査ばかりに目くじらを立てていては、まともな製品が出来上がるはずがない。

家計が自信と確信を以って消費行動に勤しめるよう、大規模な財政政策へと政策の軸足をシフトさせ企業収益を刺激するとともに、減税や社保負担・教育負担の軽減、医療費や水道光熱料金引き下げなどにより、家計の実質所得を増やす努力が必要だ。

家計が何より欲しているのは、「自由に使えるおカネ」なのだから…

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