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2018年1月29日 (月)

使われたカネは消えない

食料品やガソリンなどの値上がりのせいか、国内消費がどうもパッとしない。
そして、“消費を盛り上げる方法はないか”という議論になると、真っ先に出てくるのは、「規制緩和や構造改革を断行し、凍りついた1800兆円の個人金融資産をフローに廻せ」という改革論で、その次が、「社会保障を削って、社保制度に対する国民の不信感を払拭しろ」といった緊縮論と相場が決まっている。

改革論や緊縮論しか言わぬ論者は、「消費=カネ(主に所得)を使ってモノやサービスを購入すること=生産したモノやサービスにカネという対価が支払われ収益になること」という単純な構図を理解していない。

消費に強い影響を与えるのは「現実の所得(フロー)の多寡」と「将来にわたる所得逓増への確信」、つまり、いま所持している財布・貯蓄の中身と、来月以降も給料が増え続けるという強い期待であり、規制緩和や財政赤字云々なんて、ほとんど関係ない。(というか、まったく関係ない)

財布に2千円しか入っていないのに、“年金支給が70歳からに引き上げられたのか… よしっ! これで日本の年金制度は100年大丈夫。今夜はパーッと飲みに行くか!”と散在するバカが、いったいどこの世界にいるのか?

だが、今回は、改革・緊縮論に浸るバカコンビではなく、莫大な個人金融資産の一部をフローに廻せという改革論に噛みつき、「ストックはフローには絶対に廻らない」と言い張る稀代の珍説・奇説を採り上げてみたい。

ストック&フロー断絶説を本気で信じるネジの緩い変わり者は、「ストックとは貯蓄ではない。金融資産のうち既に「融資された額=結果」だ、あるいは、既に世の中にある「土地・建物・道路・空港・港湾設備…といった使われた総額」だから、フローにはなり得ない」と自信ありげに断言する。

奸物が、小学生にもバカにされそうな珍説を吐く意図は、「ストックを刺激してもフローは増えない→フローを増やす手段はない→経済成長なんて諦めろ→日本経済の弱体化」にある。

一般的には、「フロー=所得(収入)、ストック=貯蓄・資産」という理解が浸透しており、ストックの定義を、無理やり、融資や実物資産(国富)に限定する意味はない。
珍説論者は、持説を吹聴したいがために、都合よく仮定を捻じ曲げているに過ぎない。

珍説論者は、「ストック=貯蓄ではない。既に融資したカネだから、そのカネはもう貸せない」と暴論を吐く。

彼は、銀行が国民から預かり企業に融資したカネ、あるいは、国民が株を買ったカネは、どこかに消えて別管理され、二度とシャバには出てこれないと妄想しているようだ。

銀行が預かったカネのほとんどは融資に廻り、仮に融資されずに余ったカネは、国債や株・外債などの債券に変身してしまうから、もう使えないはずだ。
さらに、「土地・建物・道路・空港・港湾設備などの国富」の購入に使われたカネも、二度とフローには使えない、と言いたいのだろう。

この手の妄想を本気で信じるバカの頭の中には、使われたカネだけを集めて一気に焼却する“巨大なゴミ箱”があるに違いない。(呆呆呆…)

実体経済下には、「カネを使う者」の反対側に、必ず「カネを受け取る者」が存在するから、融資されたカネであれ、株を買ったカネであれ、カネが消失することはない。

Aがカネを使いBから株を買えば、カネがAの預金口座からBの預金口座へ移動するだけで、カネそのものは無くならずに、日本中にある金融機関の口座の中を動き回るだけのことだ。

第一、融資されたカネが二度と使えないとしたら、信用創造機能はストップし、金融機関はとうの昔にこの世から消えているはずだ。

金融機関は預かった以上のカネを貸し出せないと言い張るなんて、シロウト未満の杜撰さで呆れ果てる。
いまでこそ預貸率(融資総額/預金総額)が100%を下回る金融機関が多いが、高度成長期やバブル期は100%を超える(バブル期には120%超えも…)オーバーローン状態が当たり前だったことを思い出せばよい。

これは、不動産や道路、空港などのインフラでも同じで、珍説論者は、「カネを使って建設された道路は、もはや換金できず、カネではないから、フローに使えないはず」と言いたいのだろう。

だが、道路を建設した時点で、建設資金は “土木工事売上というカネ” に変化して建設業者の預金口座に移動するから、別の用途で消費や投資・融資に使える、つまり、いくらでもフローに化けることができるわけだ。

さらに、不動産や有価証券といったストックを担保に融資するのも当たり前に行われてきたのだから、ストックがフローに一切廻らないなんて、「一度降った雨は地球上から消え去り、再び降雨をもたらさない」とドヤ顔で騙るくらい恥ずかしい。

彼みたいに、カネの動きを片務的視点(行ったきりの片道切符)でしか理解できないと、こうした基本的ミスを犯し、世に大恥を晒すことになる。

そもそも、ストックがフローに廻らぬとしたら、この世にストック(資産)を貯め込む者なんて誰もいないはずなのだが…

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コメント

会計と経済を混同してる人が多いんですよね。
日本経済を語る人の多くが日本政府の会計について語ってますしね。

≫匿名さん

ご指摘のとおりです。
会計と経済とを混同、あるいは、意図的に話をすり替えて、カネと経済成長との関係性を断ち切ろうとする輩がいます。

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