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2018年1月11日 (木)

税が主役の時代は終わった

政府は、幼児教育の無償化を柱とする「人づくり革命」と、企業の実質的な税負担軽減を盛り込んだ「生産性革命」による2兆円規模の「経済政策パッケージ」打ち出している。
(政府・与党は、不況色の強い「改革」という文言に見切りをつけ、「革命」に衣替えする意向のようだが…)

政策パッケージの財源は、2019年10月に実施予定の消費増税による1.7兆円と、企業の拠出金0.3兆円を充てることになっているが、たかだか2兆円くらいの経済政策を打つのに、消費増税が人質に取られるのは間尺に合わない。
家計や企業は増税による恒常的な負担増に悩まされることになり、長期的に縮小傾向にある勤労者世帯の可処分所得は一層低下するだろう。

ここ20年来の不況により、経済政策の中身よりも財源の確保を何より重要視する「財源ファースト論」が蔓延する一方で、歳出増につながる財政政策は蔑視され、不況脱出の大きな障害になっている。

財源ファースト論の支持者は、歳出の恒常的抑制を前提とし、上に手厚く下に重たい税制の導入を狙っている。
彼らは、持てる者に都合のよい税制を目指し、消費増税や高額所得者・法人の税率引き下げという国民への負担押し付けでしかない税制改悪を「歳入改革」だと称する強欲な痴れ者だ。

下記にご紹介するコラムは、そんな痴れ者のアホな御託が満載だ。

『税制の抜本的な改革を!<歳入改革>』
(GLOBIS知見録 堀 義人:グロービス経営大学院 学長 グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)
https://globis.jp/article/1059

堀氏の主張は次のとおり。
①競争原理を働かせ経済成長に資する税制 → 法人減税 実行税率を25%まで引き下げろ
②頑張った人が報われる税制 → 所得税の最高税率を引き下げろ
③なるべく多くの人が公平に負担するシンプルでフェアな税制 → 所得税の課税ベースの拡大・消費増税・各種控除の廃止により、低中所得者により多く負担させろ

堀氏のように、持てる者に優しく持たざる者に厳しい税制を好む輩は、「高額所得者=頑張った人」という幼稚で根拠不明な妄想に囚われている。

彼のような妄想家は、自分たちが税を負担するのを嫌がるくせに、税制自体に強いこだわりを持ち、他人に税が課されるのは何の痛痒も感じない。

“それほど税金を払いたくないのなら、いっそのこと無税国家にしましょうか?”と彼に提案してあげたいが、無税国家なんて絶対にありえないと100%否定するに違いない。
彼に限らず、所得税の最高税率や法人税率引き下げに熱心な連中に限って、税制そのものに縋りつき、しかも、それを他人に負担させようとするものだ。

だが、“税”を信奉するのは、堀氏みたいな“税制タダ乗り論者”だけではない。
ほとんどの国民が、税収こそ歳入の柱であるべきだと自然に考えているだろう。

巷には、「歳入=税」という公式がまことしやかに常識化しているが、歳入とは何かを改めて確認すると、「歳入の主要部分は、租税から構成されるのが通常である。その他、使用料・手数料や交付金・負担金、公債(国債・地方債)、通貨発行益などがある。租税法律主義(租税を徴収する根拠は必ず法令に明記すること)に準じて、租税以外の歳入についても必ず法令に根拠を置くことが近代国家では原則となっている。歳入とは、歳出に充てうるものを指す。すなわち、フローである。」(Wikipediaより)とあるように、歳入とは様々な政策の実行に必要なフローを手当てするための手段に過ぎず、その調達は税に限定されているわけではない。

税の役割を過大視したがる連中は、国家運営の経費は税という“会費”で賄うべきだという固定観念に囚われ過ぎなのだ。
国家の財政運営は、そこいらの自治会やサークルと違うことを理解できないのが、筆者には不思議でしかたがない。

自治会の運営経費だって、自治会費だけでは賄いきれず自治体からの補助金収入があるのが普通だというのに、1億人を超える人口を抱える我が国の国家財政を税だけで賄おうとする発想そのものに呆れ返る。

我が国には6,500万人もの就業者と380万者もの企業が存在し、膨大な量の製品やサービスを生み出すべく日夜努力を重ねている。
そうした経済活動を円滑に継続・発展させる原動力は、売上や給与という名目で支払われる対価であり、その対価の正体は「円という通貨(貨幣)」に他ならない。

不断の経済活動を支え続けるには、供給された製品やサービスに見合う分量の貨幣量が必要であり、既存のストックをぐるぐる廻すだけではまったく足りない。
政府が国債や紙幣発行を通じて貨幣量を増やさぬ限り、対価を得られぬ生産者や労働者の苦労や努力は無駄に終わる。

税という制度自体が、そもそも、国家財政運営の原資を主体的に賄う性格のものではなく、“税は国家なり”を体現するための徴税権行使を通じた権力の確認行為、あるいは、酒やたばこなどの奢侈を抑制する懲罰行為的な色彩が強い。

よって、歳出の原資を税だけに限定してしまうと、経済活動量に見合うだけの資金を確保できず、「歳出削減+増税=不況」という永遠のスパイラルを繰り返さざるを得なくなる。

民間金融機関や事業者が消費や投資に使える貨幣を勝手に創ることはできない以上、唯一それを為し得る政府(日銀を含む統合政府)が、歳出というお題目の下で国債発行や紙幣増刷という手段により実体経済下の貨幣量をコントロールするしかない。

税が歳入の主役を務めることができた時期はとうの昔に終焉を迎えたのだ。

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