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2018年1月22日 (月)

改革屋が創る「頑張ったものが報われない社会」

『年頭所感:改革が遅くなるほど、痛みを大きくする』(1/3 アゴラ 自民党衆議院議員 鈴木馨祐)
http://agora-web.jp/archives/2030357.html

巷には不治の改革病を患った連中が多いのは既知のことだが、経済事象をこれほどまで真逆に勘違いしたコラムも珍しい。

鈴木氏は、「今年は明治維新から150年の節目の年です。そして当時に勝るとも劣らない危機に我が国は直面しているといわざるを得ません」と紋切り型に危機感を煽ったうえで、デフレ不況の原因は、将来への期待や経済活動におけるリスクテイクの停滞であると指摘し、不況打破のためには、“より自由でオープンな競争、チャンスが何回でもあるダイナミックな社会、真に頑張ったものが報われる社会への構造改革”が必要だと訴えている。

具体的には、「ベンチャーの起業・スタートアップ、企業の新陳代謝、一度失敗すると岩盤規制にはじかれ再チャレンジが出来ない終身雇用の転換、バラマキによる持続可能でない需要創出主体の景気対策の転換、民間主導の経済成長の徹底」が不可欠で、経済・金融・税財政政策の方向性や霞ヶ関・永田町のあり方自体の大転換を図るべきだとの主張だ。

彼は、政府による規制や税制、行政サービスの肥大化をもたらす「大きな政府」や「優しすぎる政府」は民間活力を喪失させるという事実を過去数十年の失敗から学んできたとも主張する。

さらに、国民皆保険制度や税・社保料負担による医療制度をはじめとする社会保障制度を“共産主義的”と批判し、社保の効率化と抜本的な改革、つまり、社会保障制度の陳腐化と国民負担増を早急に受け容れよと叫んでいる。

ここ20年間というもの、彼が好みそうな「民間主導の経済成長」が一敗地にまみれた最大の原因は、民間部門が、「不況=需要不足」という事実を認めずに財政政策に反対し続けた挙句に、自らは「投資・消費・雇用・育成」という成長要素を放棄し、ひたすら内部留保と役員報酬・株主配当という内向きの分配にばかり執着してきたからだ。

鈴木氏の妄想の中では、「ベンチャー起業の勃興、企業の新陳代謝、終身雇用の崩壊」が足りないと感じているようだが、起業数が少ないから不況なのではなく、不況がアニマルスピリッツを抑制し、起業の邪魔をしているだけのことだ。

バブル期に7%を超えていた開業率も、バブル崩壊以降4~5%を行き来する体たらくで、売上も見込めぬ不況下でわざわざ起業したがる変わり者が減るのは当然だろう。

また、企業の新陳代謝云々と軽口を叩いているが、我が国の企業数は2009年→2014年のたったの5年余りで421万者→382万者へ9.3%も減っており、このペースだと50年後に我が国から企業が消滅してしまうことをご存じないようだ。

現実には新陳代謝どころか、「陳(=古いもの)」の消滅が進むばかりで、このまま雇用の場を減らすに任せてしまうと、彼が理想とする「より自由でオープンな競争、チャンスが何回でもあるダイナミックな社会、真に頑張ったものが報われる社会」なんて端から実現不可能になる。

鈴木氏みたいにリアルな社会経験や就業経験に乏しい輩は、企業活動のダイナミズムを生み出す源泉が何か、という点に対する考察が極めて幼稚だ。

「ヒト・モノ・カネ・情報」は企業経営の根幹を成す四要素だと言われるが、ヒトにしろ、モノにしろ、情報にしろ、それらを手に入れて活用し、収益を得るに至るには、とにかく「カネ」が要る。

カネが無ければ、どんなに優れたアイディアや技術を有していても、企業が成長することはない。

需要家がもたらすカネが企業活動のエネルギーとなって、売上→所得分配→収益→投資という経済循環を生み出し、起業促進・雇用の安定・自由でオープンな競争・ダイナミズムに溢れた社会をもたらすことを忘れてはならない。

不況下で少ない需要の奪い合いを余儀なくされる現状こそ、不断の努力が踏みにじられ、本来得るべき付加価値を不当に減じられてしまう「頑張ったものが報われない不幸な社会」であり、鈴木氏の発想は因果関係がまったく逆なのだ。

“自由競争を謳歌できる社会、挽回のチャンスに溢れた社会、頑張ったものが報われる社会”、これらは、鈴木氏が忌み嫌う「大きな政府」や「優しすぎる政府」が大手を振って跋扈した高度成長期やバブル期にしか実現できぬものであり、バラマキを否定し、社保の劣化・国民負担増の押し付けは、国民の消費・投資意欲の低下をもたらし、巡り巡って企業活動の萎縮を招くだけに終わる。

改革という言葉に酔いしれるだけの中学生に、経済の理をいくら解いても無駄かもしれないが、一つだけ確かなのは、需要力に裏打ちされぬ経済下で行う改革など、国民生活の窮乏を招き、社会基盤を壊すだけの毒薬にしかならぬということだ。

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コメント

私の住んでいる選挙区から出ている代議士。
恥ずかしくてたまりません。

需要が縮小すればするほど、機会も少なくなります。

≫国道134号鎌倉さん

件の議員もそうですが、経済やそれを動かす貨幣の役割をガン無視したまま理想を騙りたがる輩が多すぎますよね。

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