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2018年2月 1日 (木)

消費は経済を映す鏡

1月25日にアップしたエントリー『不安を期待に変えるには「おカネ」が必要』(https://ameblo.jp/kobuta1205/)に、ryuzou1200さんから次のようなコメントを頂いた。

「私は地方住まいですから、景況感のひとつとして近隣の住宅にある車を見るんですよ。
そうすると、何年も買い換えてない車が結構多いことに気付きます。買い換えてもダウンサイジングだったりエコカーだったりします。車は好きなのを買うぜ!みたいな勢いはありません。(略)
私が最も懸念しているのはデフレしか知らない世代が社会人になり始めていることです。
教習所の先生に聞くと、免許を取りにくる若者の大半が「車は乗れたらなんでもいい」というんだそうです。
彼らは旺盛な消費を知らずに大人になっていますから、そのマインドを変える景況感というのは相当なパワーと年月が必要だと思います。
デフレマインドを変化させるパワーとはお金しか無いでしょう。とにかく金・金・金です。(略)」

ryuzou1200さんのように、身近な事象や体験にアンテナを張り、ミクロとマクロの視点から経済を俯瞰なさっている姿勢には、大いに敬意を表したいし、筆者も見習いたいと思う。

さて、経済論壇やネットには、「株価がバブル崩壊後最高値!」、「完全失業率は2.7倍、これで完全雇用達成だ!」とアベノミクスの成功を信じて疑わぬ声が溢れている。

一方、市井の声を拾ってみると、「アベノミクスの恩恵なんて、いったい誰の話?」、「給料が上がってないのに、ガソリンも食べ物も高くて生活が苦しい」、「何もかも高くて、積極的に物を買う気になれない」といった愚痴や嘆き節ばかりが耳に入ってくる。

取引先の中小・零細企業経営者に話を聞いても、「仕事はあるが安いものばかり」、「仕入値や修繕費が高いけど、元請に価格転嫁できない」、「人手が足りないけど、売上が冴えないから、時給を大幅には上げられない」といった元気のない答えが目につく。

我が国の企業数の99%以上、従業員数の70%以上を中小零細企業が占めており、仮にアベノミクスが成功したのなら、まず中小零細企業や一般の国民から威勢の良い声が聞こえてきて然るべきだが、実際に聞こえてくるのは不満と文句ばかりだ。

アベノミクスの成否に対する筆者の見解は、
・「構造改革・緊縮財政・規制緩和」を主軸とする経済政策は小泉改悪と大差ない
・金融政策偏重が過ぎ、財政支出に積極性を欠くことが、実体経済からインフレ期待の芽を摘んでいる
・旺盛な外需のお陰で経済は何とか現状維持
・官製春闘の意義は認めるが、長期不況に対してたった3%の賃上げはあまりにも力不足
・人手不足が騒がれる割に雇用条件はたいして改善せず、非正規化と質の劣化が進行
・2019年秋の消費税再増税を控え、消費の潜在的再下降リスクを内包
といったもので、この程度なら安倍首相でなくともやれる、端的に言えば、「大した成果を上げていない」としか評価できない。

ここで、冒頭にご紹介したryuzou1200さんの「ご近所で車の買い替えが進んでいない」というご指摘に着想を得て、関連するデータを拾ってみる。

ここ数年の乗用車買い替え平均年数(二人以上世帯)を調べてみると、2007年/7.0年→2012年/8.1年→2017年/9.0年と右肩上がりで長期化している。
ちなみに、1975年は3.3年、1983年なら4.5年だったそうで、「景気が良かったころは3~4年で新車を買い替えたものだ」というオッサンの昔話もまんざら嘘ではない。

それにしても、乗用車の買い替えサイクルが9年ということは、車検4回分のコストを払ってでも、新車を“買いたくないor買えない”ということで、国民の消費力減退は本当に重症だ。

確かに筆者の近所でも、アウディやレクサスへの買い替えもたまに見かけるが、未だにバブル期やそれ以前の懐かしい旧車が結構目につく。

だが、買い替えサイクルが長期化しているのは自動車だけではない。
✅パソコン:2007年/4.6年→2012年/5.8年→2017年/6.8年
✅テレビ:2007年/9.4年→2012年/8.9年→2017年/9.3年
✅エアコン:2007年/10.4年→2012年/11.9年→2017年/13.6年
といった具合に、いずれも長期化している。

耐久消費財全般の物価指数は、少なくとも1995年以降長期下落トレンドにある、つまり、実質価格が安くなってお得感が増しているのだから、5年にも及ぶアベノミクスが成功しているとしたら、本来、買い替え需要が過熱し、サイクルが短期化しなければおかしいのだが、現実は真逆になっている。

アベノミクス礼賛者は、現実から目を背け、「流行を追わずモノを大切にする消費者が増えた」、「人々の嗜好が多種多様化したせい」と言い訳するが、何の説明にもなっていない。

彼らが不作為のまま経済活動を野晒しにするこの瞬間にも、ryuzou1200さんが危惧するように、「デフレしか知らない世代」、「旺盛な消費を経験してない世代」が、好況を体験する機会を得られぬまま増え続けておる。

こうした世代を“嫌消費世代”と呼ぶ識者もいるが、筆者の認識は違う。
彼らは消費を嫌っているわけじゃなく、不況の波が直撃し、“まともな雇用と所得に嫌われた”だけの世代なのだ。

彼らは好況を体験していないせいか、おカネを尊び、消費には非常に慎重かつシビアだから、“○○手当”のような一時的消費刺激策を打っても、景気の先行きに疑いの眼差しを向け、せっせと貯め込もうとする。

彼らの強い警戒心を氷解させるには、実際に雇用の質を上げ、収入が将来にわたり増え続けるのだと確信させなければならない。
そのうえで、「経済成長は国民生活向上に欠かせぬもの」、「下請け業者や労働者へ適切な収益分配を行うのは当然だ」という常識を浸透させないと、日本の後進国化は止まらない。

世界第三位の経済大国に暮らし、世界一の自動車製造技術を有する我々が、10年近くも車を買い替えられないなんて、あまりにも情けない話ではないか。


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