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2018年3月23日 (金)

カネを惜しんで、衰退を厭わず

『安倍政権「富の先食い」政策は、もう限界だ~労働市場改革は頓挫、金融・財政頼みの弊害』(東洋経済ONLINE 星 浩 : 政治ジャーナリスト)
http://toyokeizai.net/articles/-/211246
「私がキャスターを務めるTBSの報道番組「NEWS23」で、黒田東彦日本銀行総裁の再任にからむ経済問題を取り上げた。その中で、就職活動中の学生が給料の使い途を聞かれて、「老後の蓄え」と答えていたのは驚きだった。日銀は金融緩和路線を続け、安倍晋三政権は財政規律を軽んじて景気対策を重ねる。にもかかわらず、物価は上がらず、消費も拡大しない。将来不安を抱く人々は踊らされず、「老後」を見据えているのだ。(略)」

緊縮派&構造改革派の論客でもある星氏のコラムは、この後で、
「政府の財政出動で借金が膨らむ中、国民には「いずれは国債も償還しなくてはいけないし、借金も返済しなければならない」という将来不安が募っている。その不安心理が重くのしかかり、人々は貯蓄を続けて、消費は増えない。」
と続き、予想通り緊縮政策の堅持を訴える方向にズレて行く。

だが、いまの若者や働き手世代が消費よりも貯蓄や節約に強い関心を持っている、いや、持たざるを得ないのは紛れもない事実であり、これが消費にとって重い足枷になっている。

こうした現状を踏まえて、日本経済にとって最大の病根である『深刻過ぎる需要不足』を治療せねばならぬと、筆者は長期的かつ積極的な財政金融政策の発動を訴えてきた。

それは、『深刻過ぎる需要不足』を放置し病状を悪化させると、その先には『供給力の破壊』という取り返しのつかない最悪の厄災が待ち受けており、日本がこのレッドゾーンに足を踏み入れるのを真剣に心配しているからにほかならない。

需要と供給の問題は常に表裏一体であり、どちらかの不調は、必ずもう一方の劣化につながるから、双方を疎かにはできない。
買い手がいるから作り手は安心してモノを作れるのだし、作り手が便利なモノやサービスを提供してくれるからこそ買い手の生活はより豊かなものになるのだ。

筆者が需要不足解消に向けて唱える政策の主軸は、
①公共投資の促進による生活基盤や生産基盤の維持更新
②減税や社会保険料・医療費などの国民負担の軽減
③既存の社会保障制度と併存する形の給付金による実質所得底上げと需要力強化
の三点であり、緊縮主義者や構造改革主義者の連中の眼には、“身の毛のよだつたちの悪いバラまき”としか映るまい。

①に対しては、ムダ遣いだ、建設作業員の人手不足をさらに逼迫させる、インフラ投資をやっても庶民にカネは廻らないと文句を言われる。

②には、財政再建を放棄するのか、国の借金の深刻さを理解しているのかと揶揄される。

③にも、ベーシックインカム的な給付金は国民から働く意欲を奪い総生活保護化につながる、既存の社会保障制度が破壊されると批判を受ける。

だが、こうした批判や反論をする論者は、「需要不足という病」への認識や危機感が甘過ぎるし、正解が複数あるはずの政策の選択肢を狭め「Aか、Bか」の二者択一論でしかモノを考えないから、政策のバランスに偏りが生じ、庶民の生活再建への目配りが不足しがちになる。


特に、ベーシックインカムは、新自由主義者(リフレ派含む)が既存の社会保障制度の廃止とセットで騙ってきた経緯があるがゆえに、社会保障制度の簡略化的な意味合いに誤解されがちなのは非常に残念だ。
新自由主義者のいうベーシックインカムなど、社会保障コストを切り詰めたいだけのインチキ論に過ぎず、既存の社会保障とセットで行ってこそ本物と呼べる。

また、ベーシックインカムは行き過ぎた弱者救済制度であり、国民が十分な所得を得る機会を奪うとの批判もあるが、企業の労働分配率が上がらぬ原因は、マーケットの需要不足による受注収益率の低下と、経営者の資質や意識の問題であり、ベーシックインカムとは別次元で語るべき問題だろう。

ベーシックインカムが経営者を甘やかし労働分配率向上の足枷になるとの指摘は、想像の域を出ないし、これまでも児童手当や高校授業料の無償化、定額給付金、定率減税等といった給付制度はあれども、そのたびに労働分配率が大きく下がった事実はない。

今年の春闘で自動車大手は3%の賃上げ目標を立てているが、我が国の多くの家計は年収100~500万円台に集中しており、これが2~3%上がったところで、野菜やガソリン代の根上がりで殆ど吹っ飛ばされてしまう。
元々の所得水準が低過ぎるのだから、少々の賃上げなど焼け石に水で、最低でも月収を5~10万円増やすくらいのインパクトがないと、家計は積極的にカネを使う気にはなれない。


妙な倫理観に拘り、需要不足に即効性のある政策を毛嫌いするうちに、それを栄養分にする供給力が完全に劣化してしまえば、もはや取り返しがつかない。
その時日本は先進国たる地位やプライドを完全に失い、後進国化を免れなくなる。

現実には、
・人手不足や売り手市場のはずなのに、給料や初任給が全然上がらない
・原料高や燃料コスト高なのに、売価を上げられない
・大量のバックオーダーを抱えているのに、需要低下が怖くて見込み生産ができない
・科学技術の振興を謳いながら、大学の研究予算は減らされる一方 etc
といったバカげた問題が彼方此方で噴出している。

およそ世の中の社会問題の病根は「カネが無い」という一事に集約され、幸いにして現時点では、カネさえあれば相当程度まで解決可能なものばかりだ。

だが、適切な処置を施さず病状が悪化すると、供給力や生産力が極限まで劣化し、「モノを作り、サービスを提供できる人材や技術がまったく無い」という治癒不能な状態に陥ってしまう。
割りばしや石鹸すら作れない、機械の動かし方も分からず、成分や配合方法すら誰も知らない、という後進国化一歩手前の状態まで追い詰められてからでは遅い。

国内に生産ノウハウの種火が残っているうちに、燃料となる需要を投じて火勢を増してやらぬと、か弱い焔は緊縮主義という突風に煽られ、瞬く間に掻き消されてしまうだろう。

くだらない選別論に時間を割くのは本当に勿体ない。
アノ政策は国民の労働意欲を削ぐ、コノ政策は新自由主義的だ、と贅沢を言っている余裕など一秒も残っていないことを肝に銘じるべきだ。

企業や家計を緊縮思考に縛りつけるのは「売上・収益・所得不足」であり、それを大逆流させるためには、消費や投資に使える資金を分け隔てなく、しかも、スピーディーにバラまくのが何より効果的なのだ。

インフラ投資を通じて生産・流通基盤を整え、雇用や技術育成の場を創るのも良い。
家計向け給付金で国民の消費意欲を高めるのも良い。
少しでも需要力向上に資するなら、倫理面の善悪など一切無視して躊躇せず実行すべきだ。

高度な供給力や生産力さえ保持できれば行き過ぎたインフレに怯える必要はないから、カネ不足で悩めるうちに製造コストゼロのカネ(貨幣)をもっと扱き使い、供給力の維持向上に努めなければならない。

需要力が供給力の成長を支え、高度化した供給力が過度なインフレを防ぎながら、需要力の源になる所得を増やし続けるという好循環を目指せばよい。

世には、日銀のB/S上で発行日銀券(紙幣や貨幣)が負債勘定に計上されていること、また、貨幣の過度な増発が高インフレをもたらすと想像されていることを捉えて、貨幣を負債だと説明する論が一般的だ。

しかし、日銀が負債に計上する紙幣や貨幣を担保するのは、国債や貸出金などの資産だと理解されている。

では、紙幣などの負債を精算するために、どうするのかといえば、最終的に国債を換金するしかない。
つまり、国債を売却して得た紙幣や貨幣を以って、負債である日銀券(紙幣・貨幣)を精算するというバカげた結論になる。

これでは、単なる紙幣同士の交換に過ぎないから、そもそも、紙幣や貨幣に負債性なんてなく、日銀がB/Sを作成すること自体がどうかしているのだ。

また、貨幣増発に伴う高インフレを捉えて貨幣の負債性を説明するのも無理がある。

身体に栄養をもたらす食糧や水だって過剰に摂取し過ぎれば毒になるかもしれないが、だからといって、普段から食糧や水を指して毒呼ばわりする変わり者などいない。
食糧や水の本質は、あくまで健康維持と成長に欠かせない栄養分であり、それが害をもたらすのは用法や容量を誤った特殊ケースのみだ。

貨幣の存在とて、それと同じことだろう。

負債でも何でもないカネ(貨幣)を惜しみケチる心根が、国民を苦しめ経済失政をもたらす躓きになることを忘れてはならない。

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