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2018年4月 2日 (月)

普通の国民が幸せになれる国に

『「今は持ち家よりも賃貸が賢明」~空き家激増、住宅相場上がり目なし』(3/19 PRESIDENT ONLINE 大前研一/ビジネス・ブレークスルー大学学長)
http://president.jp/articles/-/24668

「(略)40歳前後から下の若い世代ともなると、「家を持ちたい」という欲望のほうが少ない。(略)そもそも家を買って借金を抱えることは大きなリスクだと思っている。我々世代にはまったくなかった発想で、「負けから入りたくない」と彼らは言うのだ。
我々にとって結婚して「狭いながらも楽しいわが家」を持つことは目標だったし、女性を口説くうえで車は必需品だった。5%の金利なんて給料が上がればいずれ返せると思っていた。だが、今どきの若い人は「いつ足元が崩れるかもしれないのに、そんな借金をするなんて人生負けから入るようなものだ」と思っている。極端な話、結婚して家庭を持つことだって「負け」の部類だ。(略)
そもそも住宅政策は景気対策でやるべきものではない。もっと安く家を供給できるようにするのが本当の住宅政策だろう。日本の住宅の建築コストは欧米に比べて高い。(略)
私が一番の障壁だと思うのは住宅に使われる部品や部材の供給元が限定されていることだ。ガラスもアルミサッシも石膏ボードもトイレもタイルもほとんどが独占、もしくは寡占状態になっている。(略)世界中の材料が使えるようになれば、建築費は半分になる。(略)」

少子高齢化による空き家の増加に加え、農地の2022年問題(生産緑地の営農義務が22年に解除され宅地転用が可能になる)や都心の容積率緩和など、持ち家住宅の需給バランスが大きく崩れ住宅相場に上がり目はなく、持ち家より賃貸を選択して損はない、というのが大前氏の結論だ。

初めに指摘しておくが、住宅部品や部材メーカーの独占体制云々を批判する大前氏の主張は間違っている。

例えば、住宅部品メーカーのLIXILはトステム・INAX・新日軽・サンウエーブ・TOEXといった大手メーカーの大合併の末に生まれた企業だが、これとて、新設住宅着工戸数がH9の1,341千戸(持ち家+借家)からH28には974千戸にまで長期的な右肩下がりを余儀なくされ市場自体が大幅に縮小したため、止むを得ず統合を選択せざるを得なかったに過ぎない。

また、日本の住宅建設コストが欧米より高すぎるとの指摘だが、面積当たりの建設費の平均値を比べると、イギリス(42.9万円/㎡)やアメリカ(40.5万円/㎡)、デンマーク(35.4万円/㎡)などといった具合に、実際は日本(34.5万円/㎡)より高くなっており、大前氏は自らの思い込みを捨て、きちんと情報をアップデートすべきではないか。
〈参照先〉https://archi-book.com/news/detail/94

さて、現代の若者世代が住宅ローンに二の足を踏んでいるとの指摘については、筆者自身も、社会人生活の途中で平成デフレ不況の波の直撃を喰らって所得の大幅ダウンを余儀なくされた経験から、住宅ローン(負債)を恐れ、持ち家を諦めた(そもそも住宅に興味がなかったこともあるが…)こともあり、若い世代の人たちが「借金を抱えるのは負け」、「人生、負けから入りたくない」と思う気持ちは痛いほど解る。

平成不況のせいで、ベース・アップという言葉が死後と化し、課長・係長といったポストは減り、残業=サービス残業が常態化、支給手当の類は消滅、深夜残業のタクシー代も自腹、接待やゴルフも自腹…ときた日には、数千万円もの借金を抱える気になれるはずがない。

おまけに、いまの30~40代は、平均収入の大停滞時代の波をもろに被っているうえに、夫婦揃って学生時代の奨学金ローンを抱えている者も多く、いくら低金利とはいえ、住宅ローンを抱えることに強い恐怖感を抱くのも無理からぬことだ。

実際の持ち家率は、S63/61.1%→H10/60.0%→H20/60.9% →H25/61.6%と、ほぼ横ばいなのだが、若者世代が住宅ローンに恐怖感や忌避感を覚えている以上、この先漸減傾向になるのは避けられそうにない。

筆者が新人の頃には、住宅ローン金利が7~8%でも飛ぶように捌けたものだが、いまにして思えば、当時の人は、よくもあんな高金利で借金する気になったものだと空恐ろしくなる。

それだけ景気が良かったのもあるが、何といっても一般の人々(家計=消費者)のインフレ期待や所得上昇期待が、いまでは想像できぬほど強靭であったことが、旺盛な投資意欲を支えていたのだろう。

筆者が若い頃は「借金も財産のうち」なんて言われてたが、“借金して投資してもそれ以上のリターン(収益)があるから、カネを借りてでも時間を買え(=誰よりも早く投資しろ)”というくらい投資や消費意欲が強烈で、まさに、「良いインフレ」が現実化していたと言える。

現在の住宅市況を見ると、特に首都圏の新築マンション価格上昇率の高さが目立つものの、その他の主要都市はわずかに下落している地域もあり、全体的には、きちんとした所得上昇の確度や期待値が高まりさえすれば、普通のサラリーマンでも十分に手が届く範疇だ。

そもそも、「普通の国民が普通に働けば、衣食住という生活基盤をちゃんと手に入れられる経済環境」を用意するのが、政府に課された最も重要な任務であり、財政金融政策(需要力UP)と産業開発力の維持向上(供給力UP)という両輪を回す意識さえあれば、何も問題なく達成できる目標でもある。

平成末期を生きる若者世代が住宅ローンを怖がり、借金を負けだと言い切ってしまうのは、平成時代の歴代政権が(一部を除き)まともな経済政策を打てなかったことの証左であろう。

普通に働く者が欲しいものを躊躇なく買える世の中、事業に失敗し失業しても次のチャンスがすぐに巡ってくる世の中…これこそ経世済民の目指す社会だ。
「負債の名を騙る負債」、「負債性の無い負債」である『貨幣』をフル活用して、こうした経済環境の実現を図っていきたい。

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