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2018年4月16日 (月)

賃金が上がらないのは売上不足のせい

『なぜ日本の賃金は上がらないのか? 海外メディアの見る問題点』
https://newsphere.jp/economy/20180322-1
「今年の春闘では、好調な企業業績を反映し、ベースアップ(ベア)の上げ幅が前年を越える企業が相次いだが、安倍首相が求めていた賃上げ率3%を達成できた企業は少なかった。海外メディアは、日本の賃金が思うように上がらないのは、日本独特の理由があると指摘している。(略)」

外資にも外視(海外からの視線)にも弱いのが日本人の悪い癖だが、上記記事でもブルームバーグやフィナンシャルタイムズ、エコノミスト等の意見を採り上げ、日本の労働慣行に対する批判を展開している。

ブルームバーグ等の海外メディアは、日本が低賃金・低インフレに喘ぐ理由を次のように説明する。
①賃金水準が低い女性や高齢者の労働市場への流入増加によるもの
②低賃金・低福利厚生の非正規雇用の増加によるもの
③終身雇用・年功賃金制に伴う労働者サイドの賃上げ要求抑制効果によるもの
④その他、企業の内部留保が大きいこと、労組の交渉力が弱いこと、日本企業の生産性が低いことによるもの
⑤年金制度の持続性に対する若者世代の不安が消費を抑制している(年金制度が保つかどうか不安で消費に積極的になれない)

たしかに、①②が平均賃金引き下げのアンカーになっているのは事実だろう。

本来なら、(独身女性やシングルマザーは別として)旦那の給料が十分高ければ、主婦層は何も無理して働く必要はないし、高齢者とて余生を楽しめるだけの水準の年金がきちんと支給されれば再雇用で働くこともない。(どうしても働きたいという者は別だが…)

特に、非正規雇用は、企業サイドが雇用の調整弁代わりに便利に使っている実態上、被雇用者の賃金条件などが極めて不利になりがちで、雇用者サイドが一方的にメリットを享受し、被雇用者はデメリットばかりを押し付けられ、あまりにも不公正過ぎる。

これを是正すべく、本来なら非正規雇用を特殊な一部の業種のみに規制すべきだし、それが無理なら、非正規雇用の被雇用者の賃金を現状の倍近くまで引き上げ、不安定雇用のデメリット緩和措置を取るべきだ。

また、③の終身雇用制が賃上げ意欲を低下させているとの指摘は誤りだ。

終身雇用と年功序列が華やかなりし高度成長期や1970年代のわが国の平均給与増加率は、10%を軽く超え25%にも達したという厳然たる事実がある以上、終身雇用制が労働サイドの賃金要求を抑制気味にするという指摘はまったく事実無根と異なる。




(日本経済復活の会HPより)

④の指摘について、大手企業の内部留保が多過ぎることや、労組が怠け者だという部分には賛同するが、日本企業の生産性が低いとの指摘は間違っている。

企業が内部流を増やすのは、我が国の経済や需要力の伸びを悲観していることの裏返しだが、それならば、政府や官僚に対して大型の財政出動や消費税の減税や廃止といった景気刺激策を要求すべきだ。(現実には、政府は財政健全化への取り組みが足りないなどと真逆の愚痴をこぼすバカさ加減なのだが…)

日本企業の生産性が低いとの指摘は、日本人の労働コストの高さを暗に批判する意図から出たものだと思うが、そんなバカなことを言っているうちは、日本人の賃金が上がるはずがない。

日本企業の賃金が上がらないのは、経営層の脳内が守銭奴思想に汚染されていることもあるが、何といっても、賃上げの源泉になる「売上高」の低迷に真因を求めるべきだ。

下のグラフは、中小企業庁の資料から拾ったもので少々年代が古いが、国内企業の平均売上高(実質値ベース)は1980年(40年近くも昔‼)を100とした指数で見ると、全産業ベースで大きく下落しているのに驚かされる。




小規模・中規模・大企業ともに1980年代の指数を大幅に下回っているが、特に、小規模企業は1980年代/103.7→2010年以降/55.1、中規模企業は1980年代/104.7→2010年以降/51.6とほぼ半減しており、もはや壊滅状態といってよい。
むしろ、これだけ売り上げを落としてよく生き残っているものだと感心させられる。

一社当たりの平均売上高を伸ばしているのは大企業の製造業だけで、大企業といえども非製造業は1980年代→2010年以降で25%も下落しており、バブル崩壊以降、我が国の経済無策がいかに惨憺たる惨状をもたらしたのかが一目瞭然だ。

企業が力強く売上を伸ばすには、主戦場となる国内需要の旺盛さが欠かせず、需要力の増強には家計の所得増加が絶対条件になる。
そして、それを唯一可能にするのは、政府による聖域なき持続的な財政金融政策のみである。(むろん、企業側の労働分配率引き上げ努力も必要だが…)

最後に、⑤の「社会保障制度の持続性への懸念=消費抑制説」に基づく社会保障切り下げ論の詭弁を指摘しておく。

記事の中で紹介されたエコノミスト誌は、
「若者世代は将来の経済的不安から消費に消極的」→「若者を安心させるために年金などの社会保障制度を変える(切り下げる)べき」
という腐ったエセ論法を用いているが、年金支給額の減額や支給開始年齢の引き上げで若者世代が安心できるわけがない。間違いなく彼らの不安を煽るだけだ。

「年金支給が65歳から80歳に代わるのか… これで年金制度も安心だな。よしっ‼我慢していたパソコンでも買い替えるか」なんて張り切るバカが、いったい何処にいるというのか??

若者が消費を抑えざるを得ないは、年金不安ばかりではなく、現に自分の所得水準が低過ぎ、この先上がる見込みも無いからというだけに過ぎない。
そんなことは、そこら辺にいる若者に訊いてみればすぐに判ることだ。

どさくさに紛れ悪質な詭弁を用いて社会保障制度の切り下げを主張するバカには、経済記事を書く資格などない。
もう一度一から勉強し直して来い、と厳しく言っておきたい。

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