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2018年6月 8日 (金)

強靭化の否定こそ次世代へのツケ回し

『南海トラフ経済被害1410兆円』(6/7 NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20180607/2040000137.html
「南海トラフの巨大地震が発生してから20年間の経済的な被害が、最悪の場合、1410兆円にのぼるおそれがあるという報告書を土木学会が新たにまとめました。
被害を軽減するために、耐震化などの対策を進めるよう国などに提言しています。(略)
 報告書では、巨大地震が国民生活を低迷させる「国難」になると指摘する一方、道路や海岸施設の耐震化などを進めることで長期的な被害は4割ほど軽減できるとも試算しています。
そのうえで、地震の発生確率などを考慮して今後15年以内を目標に必要な対策を進めるよう国などに提言しています。(略)
土木学会の大石久和会長は、「これだけの経済被害が生じるとは予想もしておらず、驚きだ。いまのまま巨大災害が起きたら想像もつかないようなことになる。日本が東アジアにおける小国、最貧国の一つになりかねないと考えている」と強い危機感を抱いていることを明らかにしました。(略)」

公益社団法人土木學會が取りまとめた『「国難」をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書』は非常に適切かつインパクトのある内容だ。
【参照先】http://committees.jsce.or.jp/chair/node/21

何より、阪神・淡路大震災や東日本大震災による甚大なる被害と深刻なる絶望をすっかり忘れ、時代錯誤の公共インフラ不要論に興じてきた国民に対して、“国難”、“小国”、“最貧国”という強い言葉で警告を発した点は本当に評価できる。

長期不況というぬるま湯に浸かり脳内が弛緩し切った連中は、「不況ったってネットもあるし、百均でモノも買えるし、昔より便利だろ? 公共投資なんて無駄・無駄」と妄言を吐くが、「いまのまま巨大災害が起きたら想像もつかないようなことになる。日本が東アジアにおける小国、最貧国の一つになりかねない」という大石会長のコメントをよく噛み締めるがよい。

社会機構の基本的な仕組みを理解できぬバカに限って、何の努力も投資もせずとも、いまの生活が永遠に保障されると思い込みがちだ。
しかし、もはや“先進国”という地位から片足を踏み外しかけるほど落ちぶれた日本とて、個々人の懸命なる経済活動の結果と少なからぬ投資により、何とか現状を維持できているのだ。

土木学会が危惧する南海トラフ地震や首都直下地震による被害は、日本の心臓部や大動脈たる三大都市圏に集中することが危惧され、ひとたび発生してしまえば、個人や企業の資産や生命に対する甚大な被害だけでなく、生産拠点や物流拠点が壊滅的な被害を受け、サプライチェーンや交通・通信・医療などのネットワークもズタズタに寸断されてしまう。

そうなると、ネットはおろか電話も不通、百均やコンビニの棚も空っぽというカオスな状態になり、不況礼賛主義者の連中も、ぬるま湯から寒風吹きすさぶ荒野に放り出されることになる。

土木学会の報告書では、南海トラフ地震の被害総額(20年累計)を経済被害1240兆円+資産被害170兆円=1410兆円・死者32万人、首都直下型地震の被害総額を731兆円+資産被害47兆円=778兆円・死者2.3万人と見積もったうえで、今後15年以内に南海トラフで38兆円以上、首都直下型で10兆円以上の事業費を投じて公共インフラの整備・増強を行えば、南海トラフ509兆円(減災率41%)・死者23万人、首都直下型247兆円(減災率34%)・死者3千人の減災につながると強調している。

政府や行政だけでなく、国民は、こうした貴重な提言を敬虔な態度で受け入れ、真摯な姿勢で実行に移すべきだ。

わずか数十兆円の投資、しかも誰の負債にもならぬ通貨発行で調達できる財源で、何物にも代え難い貴重な人命が救われ、数百兆円もの財産や資産が護られるのなら安いものではないか。
悲惨な災害で人生を狂わされる人を一人でも減らすことができるのなら、十兆円単位のカネなど何も惜しくはない。

報告書の試算では、南海トラフ地震対策で40兆円近いインフラ強靭化投資を行ってもなお、900兆円もの経済・資産被害を免れないが、そうした莫大な被害の復旧・復興には、大量の物資を運び、受け入れるための港湾施設が欠かせない。

だが、報告書によると、南海トラフ地震により関東から九州にかけて640か所もの港湾被害が予想されており、復興に必要な物資を受け取れないリスクを抱えている。

現在、国内の国際戦略港湾(パナマ運河を通行できるパナマックス船が貨物を満載状態で接岸できる水深14mより深い大水深埠頭を整備した港)は、東京港・横浜港・川崎港・大阪港・神戸港の5港のみで、いずれも南海トラフや首都直下型地震の被害をまともに喰らう地域ばかりだ。

こうした重要な戦略港湾のバックアップ機能をきちんと整備しないと、巨大地震が太平洋岸に壊滅的な被害を与えた際の輸送機能が麻痺してしまう。

報告書でも、港湾破壊による1年間の被害額を19.2兆円、交通遮断による累積被害額を192兆円と見積もっている。

こうした被害を最小限に抑えるためにも、例えば、秋田・新潟・鳥取あたりの日本海側にも3拠点程度は国際戦略港湾レベルの物流基地を整備しておく必要があるだろう。

また、現在、三大都市圏には全人口の半分を超える6600万人もの人口が集中しており、著大地震により被害を増幅させる一因にもなっている。

歪すぎる人口偏在を是正し、自然災害による被害を軽減させるためにも、地方への人口分散は欠かせない。

だが、疎開を強制するわけには行かぬから、行政機関や省庁、研究機関、大手企業の本社機能などの地方分散を進め、自然な形で人口偏在を解消する必要がある。

少なくとも、1000~1500万人程度が三大都市圏以外の地域に分散するよう、本社機能の地方移転に伴う思い切った減税や費用補助制度を検討すべきだ。(※移転距離や移転先の人口規模に応じて減税率や補助率を引上げ)

さて、世間には莫大な公共インフラ投資と聞くだけで、「建設コストが急騰する」、「ただでさえ人手不足なのに、移民でも入れるつもりか?」、「資源を大切にしろ(???)」といったレベルの低い非難や迷言を口にするバカ者や小人も多い。

しかし、インフラ投資の過熱は、建設・土木業界にとって干天の雨となり、雇用条件改善の財源をもたらすから、わざわざ質の悪い移民など入れなくとも、野に埋もれた国内人材の掘り起こしにつながるだろうし、将来を見据えた技術の継承や高度化もスムーズに行われ、我が国のレジリエンス力強化につながる。

人手不足など、移民促進による低賃金労働の固定化を狙う売国奴の戯言に過ぎない些末な問題であり、人手不足の解消には、巨額の財出による積極的な投資が生み出す雇用条件の改善こそが、最速かつ効果的なのだ。

日本人は、何か事故や事件を起きるたびに、「行政は悲惨な事件を未然に防ぐことはできなかったのか」と非難の声を上げるが、それならば、土木学会の提言に対して最大限の賛意を示し、諸手を挙げて賛同すべきだろう。

何しろ、今回の報告書の内容は、数十万人もの人命と一千兆円を超える莫大な被害を未然に防ぐための貴重な提言なのだから…

自然災害というものは、いつやってくるか予測がつかないうえに、永遠に起き続けるという非常に厄介な代物だ。
それゆえに、世界一の自然災害大国である我が国は、災害に強い国(=レジリエンス力に優れた国)であり続けなければならない。

そうした強靭さを維持向上させ、次世代にきちんと手渡すことこそが「次世代への最高のプレゼント」なのではないか。

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コメント

財政再建なんて言っている暇はありませんね。
目の前に迫った脅威に対処する事こそが政治でしょう。
将来の危機を見据えて手を打てるまともな政治家はいないのでしょうか?

>Kitanosakura

仰るとおりです。
「国の借金〜」の話になると、「子孫にツケ回しするのか」と騒ぐくせに、インフラ整備の話になると、急に未来や次世代のことを忘れるバカがいますよね。

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