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2018年7月

2018年7月19日 (木)

電子マネーや仮想通貨は一大決済革命(失笑)

平成も終わりに近づきつつある昨今、流行の移り変わりも非常に速い。

ネットをだらだら眺めていると、2017年に死語化した言葉(「なう」、「とりま」、「パリピ」、「やばい」等)や2018年に死語化が予想される死語(「そだねー」、「35億」、「インスタ映え」等)が目に入ってきた。

筆者はこれに「仮想通貨」を付け加えたい。

仮想通貨が世に広まったのは昨年夏頃からと記憶するが、新たな賭博ツールに餓えた博徒どもの射幸心を擽り、年末頃に最高値を付けたものの、例のコインチェックに対するハッキング事件をきっかけに大暴落し、それ以降、冴えない相場が続いている。

もはや死に体と化した仮想通貨だが、いまだにこれを「電子決済革命」と持て囃す周回遅れのバカや、「まだ仮想通貨持ってないの?」とマルチ商法まがいの“つるはしビジネス”で信者からカネを巻き上げようとする怪しげな連中もいる。

仮想通貨を電子決済革命だと大騒ぎするバカは、LINE Payの無料送金決済サービス(※無料期間は3年間のみ)を採り上げて、「飲食店や商店などの決済手段が手数料のかかるクレジットカードからLINEに大移動する。これは銀行業の根幹を揺るがす一大革命だ」と、顔を真っ赤にして興奮気味だが、我が国のキャッシュレス決済比率(クレジットカードや電子マネーによる決済)は16~18%と、さっぱり伸びない。

そもそも、現金を原資とするLINE Payは仮想通貨ではない、という突込みは置いておくとして、相変わらずバカの妄想はたくましい。

さて、我が国初のクレジットカードは1963年の日本ダイナースクラブだと言われ、50年以上の歴史がある。
逆に言えば、50年以上も使われてきたクレジットカードの利用率が2割にも達しない以上、今後も使用頻度が劇的に伸びるとは考えにくい。

よって、日本のキャッシュレス決済比率の伸びは、クレジットカード以外の電子マネーの普及に期待するしかないが、国内における「おサイフケータイ」や「アップルペイ(Apple Pay)」などのモバイル決済は、決済機能を搭載したスマホの普及台数が3,000万台を超えているというのに、その利用率たるや、たったの6%でしかない。

巷には、“電子マネー決済が便利すぎる”、“現金払いなんて時代遅れ”とマウントを取りたがるアホもいるが、その利用率は、現金決済という分厚い壁に跳ね返され、惨憺たる敗北を喫している。

電子決済が思いのほか伸びない理由を探すのは、別に難しくない。
・電子マネーだと使いすぎないか不安
・ハッキングや窃盗による被害が心配
・使える店が少ない
・そもそも、電子マネーが何のことか知らないし、興味もない
といった現金決済派の素朴な疑問や不安を乗り越えるだけの価値が電子マネーに備わっていないだけのことだ。

電子決済派は、「現金をたくさん持ち歩かなくていいし、買い物するたびにポイントもたまるし、メリットの方が多い」とドヤ顔で語るが、電子マネーのポイント還元率なんて、せいぜい0.5~2%くらいでたいしたことはない。

そもそも、消費者の預金口座や財布の中身が薄っぺらな状態では、どれだけイキって電子マネー有効論を説いても、決済できるだけのカネが無いわけだから、利便性云々以前の問題なのだ。

件のLINE Payにしても、単なる決済ツールの一つに過ぎず、これが銀行決済の牙城を揺るがすほど成長するとは到底思えない。
たぶん、来年の今頃には「LINE Payってどうなったっけ?」→「何それ? 知らな~い」とゴミ扱いされるのがオチだ。

消費者一人一人の消費力が落ち込み、買い物の機会自体が減り続けているのに、決済手法だけに焦点を当てて“革命”云々と騒ぎ立てる輩は知能が足りなすぎる。
電子マネー決済を普及させたいのなら、現金決済を貶す以前に、個々人の懐に決済原資となるカネを大量にねじ込んでやる方策を考えねばならない。

だが、“LINEが一大決済革命を起こす”と大声を上げるバカ論者は、「国債を国内で消化できる個人の純金融資産は、およそ1500兆円、一方で国の借金は1300兆円。その差、僅かに200兆円。単純計算で金融資産の13%がLINEなどの決済サービスに移行すれば、金融機関が国債を買い入れる余力が無くなり、外国人投資家に買って貰わないと、あっさりと財政破綻する」と、聴くに堪えぬほどレベルの低い論を展開している。

何度も指摘しているが、国債発行財源は「個人預金」だけではない。法人を含む余剰資金すべてが財源になるし、必要なら日銀がいくらでも買い取れる。

バカ論者は、電子決済サービスを提供する各社の口座や、モノやサービスを消費者に提供する店の口座がどこにあるのか、頭を冷やして考えてみることだ。

電子決済に使われたカネが、円という流通・決済通貨の呪縛から逃れてブラックホールにでも吸い込まれるかのように勘違いしていることに気づけぬらしい。

反財政政策主義に固執する能無しは、無限に増殖する国債発行財源を消そうとするあまり、無理筋な暴論を唱えたがるものだが、電子マネーによる預金侵食論も、そうした愚論・暴論の一つだろう。

くだらぬ妄想に溺れ、電子マネーや仮想通貨といった小手先の道具に踊らされる前に、国債や通貨の意味をよく勉強すべきだ。

2018年7月16日 (月)

でかい口を叩くのは予算を付けてからにしろ‼︎

『旧民主の公共事業は「間違っていた」 自民・石原伸晃、細田博之両氏が言及』(7/12 産経ニュース)
http://www.sankei.com/politics/news/180712/plt1807120036-n1.html
「自民党の石原伸晃前経済再生担当相と細田博之前総務会長は12日、会長を務める各派閥の会合で挨拶し、西日本豪雨の災害に関連して旧民主党政権の公共事業政策を批判した。
 石原氏は「日本のインフラ技術があっても、これだけ大勢の方が亡くなった。『コンクリートから人へ』という政策は間違っていた」と発言。細田氏は群馬県の八ツ場(やんば)ダムが建設中止の対象になったことに言及して「ダムは予想せざる事態に対応するため必要なのだと今回また確認された」と強調した。」

北海道の道東自動車道路を「熊しか通らない無駄な道路」と揶揄したのは、いったいどこの能無しのことだったか?
小泉政権時代に消費税率を引上げなかったことが、その後の財政悪化を招いたと文句をつけたのは、どこのアホだったのか?

石原氏と細田氏は、偉そうなことを言う前に自分たちの過去恥部を省みるべきだ。

旧民主党政権は自分たちのパフォーマンスを優先するあまり、「コンクリートから人へ」や「事業仕分け」といった醜い愚策を強行し、そのせいで、公共事業費や政策経費が世間から目の敵にされてしまった。

彼らが日本の防災対策を破壊・陳腐化させた主犯の一人であることは確かだが、その源流は、旧民主党以前の自民党政権、とりわけ、橋本・小泉のバカコンビにあり、自民党の連中も同罪だ。

我が国の公共事業費(一般会計ベース)は、平成10年の14.9兆円(補正予算含む)をピークとし、その後の森・小泉・安倍・福田らの自民党政権時代に、ほぼ右肩下がりで連続カットを強いられ、平成21年の麻生政権時代にようやく下げ止まったものの、歴代自民政権が公共事業を目の敵にしてきた事実は隠しようがなかろう。

ちなみに安倍政権発足後5年以上も経過するが、公共事業費の当初予算は、ほぼ一貫して6兆円で微動だにせず、消費税増税対策の補正予算を上乗せして誤魔化してはいるものの、安倍政権の公共事業費平均額は6.6兆円と、旧民主党時代の7.1兆円より低いではないか。

産経新聞が報じた石原氏や細田氏の旧民主党批判は、強殺犯が別の殺人犯を非難するようなもので、まったく説得力がない。

そもそも、石原氏は、自分が内閣府特命担当大臣(経済財政政策)時代に出席した経済財政諮問会議で、歳出改革やPB黒字化、消費税率引き上げ、社会保障費削減を散々主張してきたことを忘れたのか?

折りしも、安倍政権は、来年度予算要求で公共事業費を含む政策経費の一律10%カットを閣議決定する体たらくで、防災・減災予算を確保する意志など微塵も感じられないが…

世間には、“安倍政権が無駄な公共事業費を爆増させている!”とあらぬ妄想を撒き散らすバカも多いが、爆増どころか、ここ3年は補正予算ベースでみると、7.6兆円→6兆円と下がりっぱなしで、昭和50年代中盤辺りと同水準でしかないありさまだ。

昭和50年代と言えば、かれこれ40年以上も前になり、その時代に整備した公共インフラは寿命を迎えつつある。
そうした過去の公共財の更新や補修需要に加えて、新規の投資も必要になるから、現代の公共事業費は少なくとも30~40兆円くらいに膨張していて然るべきだが、本来あるべき予算額の1/5~1/6ほどしかない。

石原・細田あたりのポンコツが、いくら口先で旧民主党の緊縮策を批判し、マウントを取ろうとしても、肝心のご本尊(安倍政権や自民党)の防災本気度は、旧民主党未満という情けなさだ。

彼らには、「偉そうな口を叩くのは、最低でも公共事業費を倍増させてからにしろ」と言っておく。

2018年7月12日 (木)

マスゴミは税金の使い道に文句を言うな

先週、台風7号から派生した豪雨は、西日本から東海地方にかけて大きな被害をもたらした。
本稿を書いている9日正午現在、毎日新聞の記事によると、いまだ被害の全容が判っていないものの13府県で死者102名、安否不明90人という大参事だ。

改めて、命を落とされた方やご親族の方々に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様にもお見舞いを申し上げます。

家屋の2階にまで押し寄せた洪水に家財や私財を滅茶苦茶に破壊され、救出後も呆然と佇むしかない被災者のお気持ちを思うと、かけるべき言葉も見つからない。

震災にしろ、津波にしろ、風水害にしろ、一気に街を飲み込み壊滅的な破壊をもたらす大災害の悲惨な爪痕を前にして、命さえ助かればよいというものではなかろう。

中には、家族の命と財産の両方を一度に奪われた方もいるだろう。
愛しい家族や営々と築き上げてきた財産の一切合切を理不尽な自然災害で失った時の絶望感は如何ばかりかと胸を締め付けられる思いだ。

せめて財産だけでも保険金で全額カバーできればよいが、それも難しい。

先の東日本大震災の際に支払われた保険金総額は約2.1兆円(地震保険1.2兆円+JA共済0.9兆円)だそうだが、これとて建物等の被害総額約5.9兆円の4割にも満たない。
被災者生活再建支援法に基づく支援金支給0.4兆円を足しても、まったく足りず、残りは被災者が被らざるを得ない。

毎年のように発生する自然災害の猛威に立ち向かうためにも、国土強靭化計画の速やかな実行に加えて、被災者の生活再建に対する国庫補助の充実が絶対に必要だ。

被災者を傷つけるのは、家族や知人の落命や外傷ばかりではない。
財産を喪失することの絶望感を可及的速やかに埋めてあげることが、最高かつ最大の被災者支援だろう。

さて、今回は採り上げたい話題がもう一つある。
それは、ネットで検索した北海道新聞の記事だ。

『「多様性」を支援する』(7/8 北海道新聞 「風・論説委員室から」 寺町志保)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/206811?rct=c_wind(※閲覧には登録が必要)
「カンヌ国際映画祭最高賞を受賞した是枝裕和監督「万引き家族」がヒットしている。都会の底辺で、日雇いやパートの収入と年金、そして万引で暮らす「家族」の物語。観客動員数は既に250万人を超えた。地味な作品には珍しいことだ。思わぬ反応もあった。(略)
 作品は、文化庁所管の日本芸術文化振興会から2千万円の補助金を受けている。(略)
 引っかかるのは「補助金をもらっておいて政権批判か」という非難に、思いの外、同調する声があったことだ。(略)
もちろん透明性は必要だ。しかし、金をもらえば口を出されても仕方がない、という発想の広がりを危ぶむ。」

筆者は、是枝監督の「万引き家族」に特に興味はなく、ネットでストーリーや映画評を浚ってみただけだが、老婆の年金に縋り、不足する生活資金を万引きやJKビジネスで補う家族の生きざまを描く以上、万引き=窃盗行為を善しとしない常識的な良心から、作品の設定自体に強い批判が浴びせられたのは致し方ないだろう。

実際、国内の万引き被害認知件数は11万件超、被害総額は4,600億円以上と、振り込め詐欺の12倍にも上るというのだから、貧困を言い訳に軽く扱うわけにはいかない。

万引きの主戦場となる小売業の営業利益率は平均で2%少々と、製造業の半分くらいしかなく、万引きによる経営被害は深刻を極める。
書店で1冊本が万引きされると、穴埋めのために5冊の販売が必要と言われており、軽い気持ちの犯罪が、経営者に大きな負担を課す実態を見過ごせない。

いわんや、全国で4,600億円もの万引きによる損失を埋めるともなると、販売ベースでいったいどれくらいの金額になるのか、途方に暮れる思いがする。

弱者の味方を気取り、妙な功名心から貧困をテーマにする輩は、万引きという犯罪が、別の弱者にどれだけ過酷な被害や心労をもたらしているのか、よく考えてもらいたい。

さて、北海道新聞のコラムを読んで引っ掛かったのは、万引き家族の作品評ではなく、コラムを書いた新聞社論説委員の「多様性の支援が最優先。補助金(税金)を出したからと言って作品に口を出すな」という横暴ぶりと矛盾だらけの言動だ。。

筆者は、「補助金をもらっておいて政権批判か」という非難など、正直言ってどうでもよい。

小泉と並び史上最悪の壊国政策を連発する安倍政権をまともに非難するなら、どんどんやってもらいたい。
ただし、それは、安倍政権の増税・緊縮路線や国内産業破壊につながる野放図な開放路線に対する批判であるべきだ。

今回のコラムを書いた寺町氏の主張に吐き気を催すのは、北海道新聞をはじめマスゴミ各社は、常日頃から「財政支出を極限まで減らせ! 私たちの税金を無駄遣いするな! 政府や官僚が無駄遣いをしていないか、徹底的にチェックしろ!」と世論を煽動し、税金の使い道とやらを厳しく監視してきたではないか。

にもかかわらず、自社がお気に入りの映画監督だけは特例扱いとし、『金をもらえば口を出されても仕方がない、という発想の広がりを危ぶむ』とは何事か?

それなら、行政サイドも、「私たちの税金云々と、国民やマスコミの連中から、歳出に細かく口を出される発想の広がりを危ぶむ」と文句を言われても仕方ないだろう。

寺町氏は、コラムの中で、「(税金は)決して誰かがもったいぶって渡す「小遣い」ではない」と言い切っている。
ということは、マスゴミの連中が金科玉条のごとく崇め、取り扱いに過度の厳格さを要求してきた税金の使い道とて、行政サイドの裁量で自由に決めても構わないではないか。

マスゴミ連中は、万引き一家の生きざまに同情し犯罪を助長する暇があるなら、理不尽な自然災害に家族や財産を奪われた不幸な方々の生活を救うための具体的な方策を一つでも考えるべきだ。

2018年7月 9日 (月)

インチキ論者の好きなもの。「株価と為替に精神論」

世に経済論議は尽きないが、筆者は常々、経済を「株価・為替(通貨安政策)・精神論」で語るのはジャンクの証しだと思っている。

そうした要素は、いずれも、経済政策によって生じた景気状況が生む副産物か、経済論とは何の関係もない倫理観の問題でしかないからだ。

ジャンク論者がジャンクたる所以は、“雨水を集めれば”、あるいは、“天に生贄を捧げ一心に祈れば”、きっと雨が降るはずと妄信する自身の態度に何の疑問も抱かない点にある。

『バカでもできる円安目標』(5/27 アゴラ 池田信夫)
http://agora-web.jp/archives/2032855.html
『インフレ目標に行き詰まった日銀が、外債を買うという話が出ている。理論的には、黒田総裁が1ドル=200円にペッグすると宣言して米国債を買い、日本国債を売れば、円安・インフレが起こる。これはスヴェンソンが2000年に提案したバカでもできる方法(Foolproof Way)の応用だ。もちろん政治的には不可能だが、どうなるかは容易に予想できる。
1.円は暴落して200円に近づく
2.国債の相場も暴落する。
3.財政インフレが起こって物価が急上昇する
4.市中銀行が大きな評価損を抱えて金融危機が起こる
5.日銀が一転して市中銀行の売った日本国債を買い、米国債を売る
(略)
これはきわめて簡単なオペレーションなので、私が日銀総裁になってもできる。政府の実質債務も一挙に半減するので、一石二鳥である。インフレを起こすことだけが目的なら、誰でもできるのだ。」

リフレ派の支持を得て黒田日銀が長年続けてきた異次元の量的緩和政策(=事実上のインフレターゲット政策)は、物価目標達成時期を6回も先送りする失態を犯し、もはやその成功を信じる者はほとんどいない。

異次元緩和政策に対しては様々な批判があるが、最も声の大きいのが、「財政規律を弛緩させ、財政再建の足枷になる」という頭の悪い緊縮派の意見だ。

池田氏も緊縮派の一員として、たびたび日銀の金融緩和政策に対する批判を繰り返しており、上記コラムもそうした文脈から書かれたものだろう。

彼は、スヴェンソン理論を政治的に不可能だと小ばかにしつつも、極端な円安ペッグ政策を採れば「円暴落→国債暴落→ハイパーインフレ」が起きると断じているが、頭でっかちで実戦経験に乏しいエセ理論家はこれだから困る。

彼のようなジャンク論者は、すぐに、為替をいとも簡単に調整できるとか、為替レートの変動が物価を乱高下させるかのように騙るが、実体経済の舵取りはおもちゃを動かすように簡単にはいかない。

日銀の量的緩和政策の狙いの一つには、間違いなく為替の円安誘導があるが、黒田バズーカ発射当初こそ、二年半ほどの間に円ドル80円から125円まで円安誘導できたものの、その後は、日銀による国債買い入れ額増額やマイナス金利政策、アメリカの政策金利引き上げといったプラス要因があったにもかかわらず、最近のレートは110円くらいまで戻されており、為替水準が一国の政策程度で容易に操れるものではないことが解る。

また、池田氏はコラムの中で、スヴェンソン理論に乗じて日銀が1ドル=200円にペッグして米国債を買いまくれば、簡単に物価が2倍になる(インフレ率100%)ようなインフレを起こせる、と嘯いている。

だが、政策金利が40%(‼)にもなり、IMFからしょっちゅう借金しているアルゼンチンのような問題児ですら、近年のインフレ率は22~25%程度でしかない。(※アルゼンチンペソの対米ドルレートは、ここ15年で1/7に下落)

有り余るほどの生産力を有し、政策金利がマイナスに足を突っ込んでいる我が国で、どうやれば物価が倍になるのか、ぜひ教えてほしいものだ。

仮に、円相場が対米ドルやユーロで暴落したとしても、2017年度末で330兆円にも及ぶ我が国の対外純資産が円ベースで爆増し、世界一のお金持ち国家という日本の地位が、さらに揺るぎないものになるだけのことだろう。

池田氏が、量的緩和政策や円安誘導策を批判しながらも、それに乗っかって、ありもしない円相場の暴落や国債暴落論を吐き散らすのも、ハイパーインフレの脅威を煽り、国債の増発や発行残高の膨張に悪印象を与えようとする意図であることが明確だ。

彼みたいに、為替や株価、PB云々といった小手先のキーワードを弄るだけで、“国民の生活を良くしたい”、“日本企業を発展させたい”という魂の籠っていないエセ経済論の行き着く先は、常に「緊縮政策による国家の衰亡」でしかない。

彼は、スヴェンソン氏の提案を「きわめて簡単なオペレーションなので、私が日銀総裁になってもできる」と言い切っている。

つまり、日銀の量的緩和政策の延長線上で外債の無制限購入が可能だと認めており、それなら日本国債とて同じことだから、日銀による国債の無制限買取が可能=政府債務の無効化=無限の財出が可能という結論に行き着く。

池田氏は、常日頃、日本の借金問題に怯え財政支出に反対していたはずなのに、不用意にスヴェンソン理論に乗っかることで、我が国にはそもそも財政問題など存在しないことを自ら肯定してしまったようだ。

詭弁師の経済論に足りないのは、国民生活を良くしたいというまっとうな気持ちと、論理の一貫性である。

2018年7月 5日 (木)

増税と歳出カットは家計破綻を誘発する不安材料

“経済”とは、元々、「経世済民(世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと)」を意味する中国の古語であり、国民を困窮から救い、その生活を向上させ続ける政策を指す。

つまり、国民の為になすのが経済政策であり、その果実を一身に享受すべきは、何を差し置いても「国民」であり、だからこそ、国民の代表者たる国会議員で構成される“政府”に経済活動のエネルギー源たる「通貨発行権」という大権が負託されているのだ。

巷には、「通貨発行権を持っているのは日銀だけ」なんて頭のおかしな大嘘を吐くバカ者もいるが、“通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律”の第4条1項に「貨幣の製造及び発行の権能は、政府に属する。」と明記されているのを、穴が開くまで凝視すればよかろう。

ちなみに、同法第5条には、「貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。」とされ、一見、記念硬貨以外での高額貨幣の発行はできないように思えるが、そんなものは法文改正で何とでもなる。

第6条で「貨幣の素材、品位、量目及び形式は、政令で定める。」としており、貨幣=硬貨に限定しているわけではないから、貨幣種類の通貨単位さえ改正すれば高額紙幣の発行も可能だし、日銀発行紙幣との混在が面倒なら、兆円単位の特別硬貨を発行して日銀に預け同額の紙幣を発行させればよい。

要は、やる気の問題であり、通貨や貨幣の発行権を経済活性化のエネルギーとして活用する気のないナマケモノは、端から屁理屈を並べて逃げ回っているだけに過ぎない。

いくらでも創ることができる通貨や貨幣を神格化し、国民生活や経済成長よりも通貨の信認を大切にしたがる守銭奴どもは、貨幣が国民の手に渡ることを身震いするほど嫌悪し、国民から貨幣を召し上げることにばかり熱中する。

経済を騙りながら、その本質を理解できない偽物の脳内には、常に「増税と歳出カット」しかない。


『日本の財政は「3つの大丈夫」があるから破綻しない、は本当か』(6/20 DIAMOND online 西岡純子 三井住友銀行チーフ・エコノミスト)
https://diamond.jp/articles/-/172828
「(略)いまの財政状況を考えると、世論の大きな反発を招くほどの歳出カットや税収増を強力に進めない限り、日本の財政は、もはや事なきを得ることはできないように思われる。
 だが日本ではそうした危機感はどうも低い。その理由は、市場が、詰めて考えると何ら解決策につながらないことを「安心材料」として勘違いしてしまっているからだ。それが危機的な状況に対する感度を下げてしまっているのだ。
 勘違いされている「安心材料」の代表例が、(1)日本は純債権国だから大丈夫、(2)経常黒字国だから大丈夫、(3)安定保有の投資家に支えられているから大丈夫、の「3つの大丈夫」だろう。(略)」

そもそも西岡氏の日本の財政問題に関する論点は、本質から大きくズレている。

彼女は、財政破綻があり得ない安心材料を「純債権国・経常黒字国・機関投資家による国債安定保有」の三点に求めているが、それでは950兆円もの対外純債務と60兆円もの経常赤字を抱えるアメリカの国債格付けがAaaを維持する理由を説明できまい。

安心材料なら、財務省がかつて外国格付け会社宛ての意見書に記した「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」の一文のみで十分であり、日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高 云々は、世界一豊かな日本の懐事情を修飾するための飾りに過ぎない。

国家が無限に製造できる通貨(貨幣)の返済が滞るなんて、心配する方がどうかしている。

昭和50年ころの国債発行残高は約15兆円と対GDP比でわずか9.8%に過ぎなかったが、5年物国債の利回りは8.4%にも達していた。
一方、昨年度の普通国債発行残高は860兆円を超え対GDP比で156%にもなるが、国債の利回りは5年物でマイナス0.119%、10年物でさえ0.039%という安定ぶりだ。

西岡氏には、財政破綻を怖がりたいのなら、国債発行額がいくらに達すれば破綻するのか、具体的に答えてみろと言っておきたい。

また、彼女はコラムの中で、徴税権を理由とする政府と中央銀行との統合政府論は成り立たない、日本の財政について「本当の安心材料」は大幅な税率引き上げと大幅な歳出減以外にないと主張するが、いずれも幼稚でバカげた議論である。

彼女は、中央銀行の純資産を政府の徴税権で担保できるという考えはおかしいと指摘するが、統合政府論を支持する者で政府の徴税権のみを論拠にする者などいない。
そんな変わり者は彼女が都合よく創作した妄想だろう。

そもそも、中央銀行は政府の一機関に過ぎないし、一般の国民は日銀が完政府から完全に独立した別組織だなんて考えていない。
誰もが紙幣(日銀券)を有難がるのは、「日銀=絶対的な信用力を持つ政府の一機関」だと信じ込んでいるからだ。

よって、日銀単体の純資産だけを取り出して、その多寡により紙幣の価値(通貨の信用)が上下すると考えるのはおかしい。

日銀が保有する国債金利の高騰により、たとえ日銀が債務超過に陥ったとしても、それは、政府機関の一部組織の決算がたまたま赤字になっただけのことで、政府による貨幣発行により即座に赤字を埋めてやれば済む話だ。

だいたい、彼女みたいな緊縮論者は、徴税権の捉え方が根本的に間違っている。

徴税は国家財政を潤すために国民の尻を叩いてやるものではなく、社会的不平等の是正や実体経済の体温調節のための資金量調整として行うべきもの、つまり、本来、税金というものは歳入の主軸に据えるべきものではなく、富の再配分や景気調整の一手段として副次的役割に甘んじるべき存在なのだ。

それにしても、大幅な税率引き上げと大幅な歳出減こそが財政破綻を回避する真の安心材料だなんて言い切る彼女の脳内はどうなっているのだろう?

消費税率を10%、15%に引き上げ、PB黒字化を前倒しして歳出を10%、20%削ったなら、国家財政よりも先に、国民の3~4割の家計が破綻してしまうだろう。
なにせ、我が国の総世帯に占める無貯蓄世帯の割合は34%にも達しているのだから…

景気がどれだけ悪化しても、増税と歳出カットで国民をシバキ上げることしか考えない守銭奴には、増税と緊縮で経済成長できるという明確なロードマップを示すよう要求したい。(500%無理だろうが)

西岡氏は、コラムの結びに、財政破綻につながるリスクイベントが2~3年先に迫っていると述べている。

彼女には、3年後になって日本財政が破綻しているか否か、ぜひ検証してもらいたい。
恐らく、彼女は、一向に破綻しない日本財政に業を煮やしつつ、「日本の財政状況は世界最悪、増税と歳出カット、構造改革は待ったなし」と3年前と同じ念仏を唱えているに違いない。

2018年7月 2日 (月)

詭弁師は問題を複雑化させたがる

我が国の経済が一向に不況から脱し得ない要因は、所得の絶対的水準の低さに対する強い不満と、脆弱化した雇用環境への不安感から、多くの家計が消費抑制行動に出ざるを得ないことによる需要不足である。

不況脱却のための根本的な処方箋は極めて簡単で、20年以上にもわたる「緊縮財政・規制緩和・構造改革」という三バカ政策を今すぐに排し、その逆をやればよいだけのことだ。

日本がいつから不況に足を突っ込んだのかを考えれば、すぐに答えを出せる簡単な問題だが、目の前にぶら下がっている“模範解答”を頑なに無視し、ああでもない、こうでもないと悩むフリをして珍回答を書き込もうとするバカが絶えない。

『日本経済は消費税10%に耐えられないかもしれない~深刻に低下している日本経済の基礎体力』(6/18 JBPRESS 加谷珪一 評論家・元日経BP記者)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53333

加谷氏のコラムの詳細は、上記URLからご確認いただくとして、この期に及んで標題に「日本経済は消費税10%に耐えられないかもしれない」と一般人の感覚からあまりにもかけ離れた戯言を書き込むあたり、彼の経済認識は周回遅れも甚だしい。

加谷氏の主張は次のとおり。

①本来、消費増税は景気に対してマイナスにはならない。増税により徴収された税金は、政府支出という形で国民に戻ってくるためマクロ的に見れば所得が増えるはず。

②増税による心理的な負担が消費を抑制することはあるかもしれないが、長期にわたり経済を蝕むというのは考えにくい

③消費者の不安心理がどこから来るのかを特定するのは困難。年金や医療など社会保障に対する不安や日本の財政について懸念する人もいる。

④内需が拡大しない理由として、将来不安による支出抑制、新産業創出を邪魔する政府の規制、雇用の硬直化が考えられる。

⑤内需の不振が将来不安から来ているのなら、今回の骨太の方針で増税分の資金使途に関する枠組みが撤廃された(=財政再建に充当する割合の低下)ことはマイナスに作用するかもしれない。

彼のような詭弁師は、事実を直視せずに都合のよい妄想を振り撒き、その言説は常に矛盾を孕んでいる。

まず、①で、消費税として徴収されたカネは、乗数効果のある政府支出として国民の所得を増やすと主張しておきながら、⑤では、増税で徴収したカネの使途について、財政再建(国債償還)に使う分が減る(=政府支出に充てる割合増加)と、国民の将来不安を煽り、内需不振を招くと明らかに矛盾する嘘を吐いている。

そもそも、消費税が景気にマイナスではないとか、景気に中立だとかいう妄言を吐く時点で、彼の主張のいい加減さが判る。

消費税は、日常の買い物や公共料金、家賃など、ありとあらゆる消費や購買に掛かる、つまり、呼吸したり、居眠りする間にも生じる悪税であり、国民の負担感は計り知れない。

牛丼を食べた際に召し上げられた税金が、乗数効果により1.5倍の所得になって帰ってくるから、消費税は景気に悪影響を与えないだろ? なんて惚けたことを言ってると、1円、10円単位のやりくりに苦労しているオバちゃんに張り倒されるに違いない。

税金で取られたカネが自分の所得になって帰ってくるのなら、加谷氏は、右肩上がりで増えてきた消費税収とは裏腹に、家計所得は右肩下がりで減り続けてきた事実を論理的に説明するべきだ。

また、②の消費増税が経済に長期的な悪影響をもたらすはずがない、という寝言を聞かされた日には、「お前の頭の中には蜘蛛の巣が張っているのか??」と呆れ果てるよりほかない。

消費税導入当初の税収(=納税者の税負担)は3.3兆円からスタートし、税率が引き上げられるたびに、10兆円台(3%→5%)→17兆円台(5%→8%)へと税負担は段階的に増え続けてきた。

国民にとっては、税率が3%→5%→8%へ上がるたびに税負担が累積的に重くなってきたのだから、年を追うごとに心理的負担が増して消費が抑制され、長期的にわたり経済に悪影響を及ぼすのは当然ではないか。

所得は減り続けているのに、逆に税負担は増え続け、足枷の数が年々増えるのだから、経済が長期スパンで脆弱化するのは小学生でも解る。

こんなことも理解できないバカが評論家を名乗り、プロ気取りでコラムを書いているのか?

最後に加谷氏の妄言(③④)のバカバカしさを指摘しておく。

消費者の不安心理を特定するのは極めて簡単で、身の回りにいる知人にでも聞いてみればよい。
少なくとも筆者は、「日本の財政状況が気がかりでモノを買わぬ変わり者」に出会ったことはない。

ほとんどの一般人が消費に積極的になれない理由は、所得不足・非正規雇用などの雇用の不安定さ・年金や医療縮減など社会保障への不安のいずれかに当てはまり、加谷氏がお望みの歳出改革(=緊縮財政)や社会保障改革(=社保負担増や受給条件改悪)、雇用の流動化(=正規雇用の廃止)は、それらを解消するどころか悪化させるだけに終わるだろう。

彼は、岩盤規制が新産業創出の芽を摘み内需拡大を阻害するという妄想に囚われているようだが、内需拡大を実現できる新産業とはいったい何なのか、具体的に明示すべきだ。

いい加減な識者たちは、不況の原因を規制の所為にしたがるが、規制緩和によって失われる既存産業の付加価値を補って余りあるだけの新たな富を創造できる新産業とは何か、彼らの口から明確な説明を聞いた試しがない。

もし、Uberとかドローン、民泊風情の陳腐な例しか挙げられないのなら、偉そうにイノベーションを騙るのは止めてもらいたい。

新産業が育たないのは、オールドエコノミーや家計の懐が傷み、新産業に収益をもたらすだけの購買力を失っている所為である。

数多あるゾンビ企業が目新しいモノやサービスを積極的に購入するような経済環境になれば、黙っていても新産業が創出されるものだ。
そんな当たり前のことくらい、高度成長期からバブル経済期にかけて日本に次々と誕生した新産業の往年の隆盛ぶりを見れば子供でも理解できる。

詭弁を吐き散らす妄想家の治療はまことに難しい。

なにせ、「現実を直視する」という最も簡単かつ効果的な薬を忌み嫌うのだから、彼らの治療は不可能だし、時間の無駄だろう。

治療を拒否する重病人に要らぬ労力を割くよりも、病人がバラ撒く質の悪い詭弁に騙される人をひとりでも減らすのが大切だと考えている。

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