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2018年7月 2日 (月)

詭弁師は問題を複雑化させたがる

我が国の経済が一向に不況から脱し得ない要因は、所得の絶対的水準の低さに対する強い不満と、脆弱化した雇用環境への不安感から、多くの家計が消費抑制行動に出ざるを得ないことによる需要不足である。

不況脱却のための根本的な処方箋は極めて簡単で、20年以上にもわたる「緊縮財政・規制緩和・構造改革」という三バカ政策を今すぐに排し、その逆をやればよいだけのことだ。

日本がいつから不況に足を突っ込んだのかを考えれば、すぐに答えを出せる簡単な問題だが、目の前にぶら下がっている“模範解答”を頑なに無視し、ああでもない、こうでもないと悩むフリをして珍回答を書き込もうとするバカが絶えない。

『日本経済は消費税10%に耐えられないかもしれない~深刻に低下している日本経済の基礎体力』(6/18 JBPRESS 加谷珪一 評論家・元日経BP記者)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53333

加谷氏のコラムの詳細は、上記URLからご確認いただくとして、この期に及んで標題に「日本経済は消費税10%に耐えられないかもしれない」と一般人の感覚からあまりにもかけ離れた戯言を書き込むあたり、彼の経済認識は周回遅れも甚だしい。

加谷氏の主張は次のとおり。

①本来、消費増税は景気に対してマイナスにはならない。増税により徴収された税金は、政府支出という形で国民に戻ってくるためマクロ的に見れば所得が増えるはず。

②増税による心理的な負担が消費を抑制することはあるかもしれないが、長期にわたり経済を蝕むというのは考えにくい

③消費者の不安心理がどこから来るのかを特定するのは困難。年金や医療など社会保障に対する不安や日本の財政について懸念する人もいる。

④内需が拡大しない理由として、将来不安による支出抑制、新産業創出を邪魔する政府の規制、雇用の硬直化が考えられる。

⑤内需の不振が将来不安から来ているのなら、今回の骨太の方針で増税分の資金使途に関する枠組みが撤廃された(=財政再建に充当する割合の低下)ことはマイナスに作用するかもしれない。

彼のような詭弁師は、事実を直視せずに都合のよい妄想を振り撒き、その言説は常に矛盾を孕んでいる。

まず、①で、消費税として徴収されたカネは、乗数効果のある政府支出として国民の所得を増やすと主張しておきながら、⑤では、増税で徴収したカネの使途について、財政再建(国債償還)に使う分が減る(=政府支出に充てる割合増加)と、国民の将来不安を煽り、内需不振を招くと明らかに矛盾する嘘を吐いている。

そもそも、消費税が景気にマイナスではないとか、景気に中立だとかいう妄言を吐く時点で、彼の主張のいい加減さが判る。

消費税は、日常の買い物や公共料金、家賃など、ありとあらゆる消費や購買に掛かる、つまり、呼吸したり、居眠りする間にも生じる悪税であり、国民の負担感は計り知れない。

牛丼を食べた際に召し上げられた税金が、乗数効果により1.5倍の所得になって帰ってくるから、消費税は景気に悪影響を与えないだろ? なんて惚けたことを言ってると、1円、10円単位のやりくりに苦労しているオバちゃんに張り倒されるに違いない。

税金で取られたカネが自分の所得になって帰ってくるのなら、加谷氏は、右肩上がりで増えてきた消費税収とは裏腹に、家計所得は右肩下がりで減り続けてきた事実を論理的に説明するべきだ。

また、②の消費増税が経済に長期的な悪影響をもたらすはずがない、という寝言を聞かされた日には、「お前の頭の中には蜘蛛の巣が張っているのか??」と呆れ果てるよりほかない。

消費税導入当初の税収(=納税者の税負担)は3.3兆円からスタートし、税率が引き上げられるたびに、10兆円台(3%→5%)→17兆円台(5%→8%)へと税負担は段階的に増え続けてきた。

国民にとっては、税率が3%→5%→8%へ上がるたびに税負担が累積的に重くなってきたのだから、年を追うごとに心理的負担が増して消費が抑制され、長期的にわたり経済に悪影響を及ぼすのは当然ではないか。

所得は減り続けているのに、逆に税負担は増え続け、足枷の数が年々増えるのだから、経済が長期スパンで脆弱化するのは小学生でも解る。

こんなことも理解できないバカが評論家を名乗り、プロ気取りでコラムを書いているのか?

最後に加谷氏の妄言(③④)のバカバカしさを指摘しておく。

消費者の不安心理を特定するのは極めて簡単で、身の回りにいる知人にでも聞いてみればよい。
少なくとも筆者は、「日本の財政状況が気がかりでモノを買わぬ変わり者」に出会ったことはない。

ほとんどの一般人が消費に積極的になれない理由は、所得不足・非正規雇用などの雇用の不安定さ・年金や医療縮減など社会保障への不安のいずれかに当てはまり、加谷氏がお望みの歳出改革(=緊縮財政)や社会保障改革(=社保負担増や受給条件改悪)、雇用の流動化(=正規雇用の廃止)は、それらを解消するどころか悪化させるだけに終わるだろう。

彼は、岩盤規制が新産業創出の芽を摘み内需拡大を阻害するという妄想に囚われているようだが、内需拡大を実現できる新産業とはいったい何なのか、具体的に明示すべきだ。

いい加減な識者たちは、不況の原因を規制の所為にしたがるが、規制緩和によって失われる既存産業の付加価値を補って余りあるだけの新たな富を創造できる新産業とは何か、彼らの口から明確な説明を聞いた試しがない。

もし、Uberとかドローン、民泊風情の陳腐な例しか挙げられないのなら、偉そうにイノベーションを騙るのは止めてもらいたい。

新産業が育たないのは、オールドエコノミーや家計の懐が傷み、新産業に収益をもたらすだけの購買力を失っている所為である。

数多あるゾンビ企業が目新しいモノやサービスを積極的に購入するような経済環境になれば、黙っていても新産業が創出されるものだ。
そんな当たり前のことくらい、高度成長期からバブル経済期にかけて日本に次々と誕生した新産業の往年の隆盛ぶりを見れば子供でも理解できる。

詭弁を吐き散らす妄想家の治療はまことに難しい。

なにせ、「現実を直視する」という最も簡単かつ効果的な薬を忌み嫌うのだから、彼らの治療は不可能だし、時間の無駄だろう。

治療を拒否する重病人に要らぬ労力を割くよりも、病人がバラ撒く質の悪い詭弁に騙される人をひとりでも減らすのが大切だと考えている。

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